EP2 悲劇 パート1
いつも読んでいただきありがとうございます!
これは200年前の悲劇の物語…。
444年前クリファ(転生前のアリア)は魔大陸の魔王家に父と同じアークエルフとして生まれた。その頃はまだ魔大陸は開かれておらず、平和だった。政治は魔王を中心とした王政で、クリファはそこのお嬢様にだった。クリファは魔族の中で飛びぬけて魔法の才能があった。アークエルフの固有魔法``スペーサー(空間魔法)``を自由自在に操り、魔族で使える者が3人しかいないウェブスット(体から出る糸を操る魔法)をも使えた。しかし、それだけではなかった。銀髪の優美な容姿を持ち、頭脳明晰だった。誰も思いつかなかった技や製品などを次々と発案し、魔大陸の文明を60年分は進めたのではと呼ばれている。そんなクリファだったが幼いころは気性が荒いせいか友達はあまりいなかった。魔王の娘ということであまり外には出なかったためさらに人との接点がなくなっていた。そんな時、彼女はとある一人の少女に出会った。
433年前、クリファが当時10歳の時だった。家にこもりっきりでは息が詰まると、お忍びで外出することになった。そうして、花が多く咲き乱れる庭にやってきた。そこでクリファが花を愛でていると、突然話しかけられた。
「お花は好き?」
声の主は同い年ぐらいの女の子だった。
「え、ええ」
突然のことにいつものとげのある態度も忘れて、戸惑いながら答えた。
「私も好き!特にね、これとか!」
その花は白く小さい花だった。しかし、その色合いや雰囲気がクリファも好きだった。
「私もよ。私はクリファ。あなたは?」
そうすると、女の子は慌てた様子で、それでいて嬉しそうに
「あ!ごめんなさい失礼だったわ。私はワリュザーレ!言いにくいからワリューって呼んで♪」
「じゃあ、よろしくねワリュー」
「うん!ところで私ね、友達欲しかったの。よかったらなってくれないかな?」
その提案は、クリファにとって願ってもないことだった。
「ええ!是非お願いするわ!」
「わーい!やったー!」
はしゃぐワリュー見ていると、クリファも自然と笑っていた。それはとても無邪気なものだった。それ以来、二人はよく同じ場所で話すようになった。雨の日や、風が強い日、風邪を引いた時以外はほとんど会って話をしていた。下らない世間話や、クリファが家から持ってきた図鑑を見たり、庭を走り回ったり、色んな事をして遊んだ。
そんなある日、ワリューから大事な話があると呼び出され、いつもの庭に来ていた。
「そうしたのワリュー?急に呼び出して?」
「その、私謝らなくちゃいけなくて…その、嘘ついてたの。あなたに」
深刻な表情で彼女は続けた。
「私、ヴァルキアス家っていう家のエルフで、お父様に将来仕える方に会ってきなさいって言われて、あの日あの庭にいたの」
クリファは自分の疑問をぶつけてみた。
「それの、どこが嘘なの?」
「だ、だって、それはその…何ていうか」
「私は別にいいわよ?それよりずっと一緒にいられるって知れてうれしかったわ」
ヴァルキアス家は代々魔王の側近として仕えてくれているエルフの家で、クリファの側近もそこから選ばれるはずだ。
「そう?」
少し目が潤んでいるワリューに聞かれてクリファが「そうよ」と優しく返してやれば、ワリューの表情はパーと明るくなり、「ありがとう!」と言って抱き着いてきた。こうして、二人のわだかまりも解消し、友情はより一層強い絆となった。
しかしそれでも、悲劇の時は刻一刻と迫っていた。
悲劇まであと、230年。




