EP3 洞窟にて パート1
洞窟には、分かれ道の一つもなくただ曲がりくねっているだけだった。
「グラン」
不可視で回避不可能の重力がモンスターたちを襲う。エルフの固有魔法``グラン``である。そしてそれをさっきから淡々と連発しているのは、家の``嫁``である。彼女のせいで俺の出番は全くない。
「大丈夫か?そろそろ魔力切れじゃ…」
「大丈夫。400年分の魔力よ?そう簡単に尽きないわ」
「それならいいんだが」
「アマネは自分の心配してて」
返す言葉もない。そう、彼女の方が圧倒的に俺より強いのである。俺はこの世界に生まれた人ならだれでも持っている、スキルを持っていない。魔力はそこそこあるらしいが、それでもスキルが無ければほとんど意味がない。リザは「時期身につくわよ」と言ってくれたが、一向にそんな気配はしない。
バサッ
音がした方を見てみると、リザが倒れていた。
「リザ!」
急いで駆け寄る。おそらく、魔力切れだ。
「大丈夫か?」
「うん…思ったより消耗が激しかったらしいわ。ごめんなさい…あんな大口を叩いておきながらあなたに迷惑をかけてしまって…」
「気にするな。とにかく少し休もう」
「ええ」
このまま進むのは危険と判断し、俺たちはモンスターが湧かない安全地帯に避難した。のだが…。
「リザ、ちょっといいいか?」
「なぁに?アマネ?」
「これ、いつまで続くんだ?」
安全地帯に入っ途端飛びついてきた。そのまま俺はリザを甘やかしている。俺はすごく恥ずかしいのだが、リザに言わせれば「これくらいに仕返しは当たり前」だそうだ。