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            EP2 ああ、やっぱりか…。 パート1

 この国にはどうやら、``自分と妻以外の二人以上の前で婚約を宣言すると、必ず責任をもって妻を幸せにしなければならない。例えどんな種族だとしても。``という謎すぎる法が存在する。また奴隷売買基本法によって、``ほかの人間のの嫁、婚約者、奴隷などを勝手に売買してはならない。``という法もある。ということで俺が言ったことはこの世界においてとてつもない効果を発揮するのである。リザと男たちが、ほぼ同時に立ち止まった。

「今、なんて…?」

リザに問われ、こういう嘘が嫌いだと勘違いした俺はとっさに謝ろうとしたが、

「本当にいいの?その、私で?」

もじもじしている、リザの可愛さに負けて俺は思わず、

「ほ、本当だ」

と答えてしまった。

「そういうことなら早く言えよ…」

男たちが赤面している。何が何だかわからない俺だけが、場違いな気がしてならなかった。実際、この方を知ったのはこのずっと後のことだった。


 結婚、それは日本ではごく普通に行われていること(特別な理由がある場合は省きます)だが、こっちの世界では特別な意味があるらしい。

``魔族と結婚した者は、血のつながりを持たなければならない。``

俺はしばし絶句を余儀なくされた。全く訳が分からない。

「大丈夫。痛くないから。心配しないで。ね?」

明らかにテンションがおかしいリザが嬉しそうに顔を赤らめている。

「そうはいってもなぁ…いいのか、俺で?」

と聞いてみると、

「アマネがいい!いやその…ダメ…?」

もじもじしながら元の世界で妹にされていた、俺にとって効果抜群な魔法の言葉、``ダメ…?``を言われてはもう太刀打ちでいない。

「分かった!分かったからそんな顔するな!」

サクッと攻略された俺をよそにリザは背を向けてガッツポーズをしている。本当に何なんだこのかわいい生き物は。

 リザとの結婚はいたって簡単なものでリザの血を飲むだけだった。

「じゃあ、口開けて。あーん♡」

完全に俺にデレデレなリザは歯止めがきかず、口移しで血を飲ませようとしてくる。

「いいよ自分で飲むから!」

「え~」

何とか頑張ったが、到底勝てるはずもなく結局彼女に押し倒されたので諦めることにした。リザの唇が俺の唇と触れ合う。柔らかい、などという不純な考えが頭をよぎったのは言うまだもないいだろう。そして徐々(じょじょ)にリザのの舌が入ってきた。初めてなのだろう。少し震えており、焦っているのが分かる。頭をなでてやると、安心したように震えが止まった。舌を伝って血が流れてくる。どこから流れているのだろうと思ったが、考える前に飲み込まなくてはならなくなった。ごくん。まさか、ファーストキスをこんな形で終えるとは、一体誰が思っただろう。

「終わりだよ。ありがとう私をもらってくれて…」

その顔は今にも泣きだしそうだったが、それがうれし泣きなのは、この笑顔を見ればすぐに分かった。初対面の時は、もっとクールな人かと思ったが、人は見かけによらないというのはこういうことなのだろう。今の俺にデレデレのリザはもはやあの時とは別人である。

 「旦那様ってよんでいい?」

突然の質問に頭が一瞬追いつかなかった。

「旦那様?呼び方ってことか。今まで通りアマネじゃダメなのか?」

素朴なぎもんをぶつけてみた。

「普通は旦那様のことは、旦那様って呼ぶけど?それにまた私がさらわれることがないように、呼び方で回りにアピールした方がいいと思うし…どうしてもアマネがいやって言うんだったら今まで通り呼ぶけど…」

リザが落ちこんでしまうのでどうにかしたいが、旦那様と呼ばれることに少し抵抗というか、恥じらいがあったため代案を聞くことにした。

「じゃ、じゃあ他の呼び方とかないのか?」

「耳を貸して。―とかですよ?」

あまりにも過激すぎたためやめておこう。

「ごめんじゃあやっぱりアマネで頼む」

「分かりました…」とリザがしょんぼりしながらいってきた。しかし、俺にも考えがないわけではないのだ。

「大丈夫。いい考えがあるから」

リザはきょとんとしていた。

※ちなみに男たちはキスの下りあたりで見ていられなくなったようでいなくなっています。

こうして、俺たちは無事結婚した。


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