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ワガママ女神様と異世界で同棲することになりました

2023年8月、熱中症により死亡。享年16歳。男性。職業:学生。サッカーの合宿中水分補給を怠ったこと、炎天下の異常気象の中動き回ったこと。


すべてが祟った。高校一年生のサッカー部人生、俺の青色とは言い難い青春がすべて失われてしまった。


みんなは輪廻転生という言葉を知ってるんだろうか。死んだものは転生し、新たな生命を全うするとういうものだ。人間から別の生き物へ、または別の生き物から人間へなっていくというもので、人間から人間に転生するのは稀だと思う。前世の記憶は引き継がれ、何かしらのタイミングで思い出すこともあるとかないとか。


さーて、俺は何に転生するのかな?鳥がいいなー。1番楽だ。生態系の頂点だからな。天敵も少ないしな! だって空だよ空!空の天敵は空にしかいないんだ! まあ、強いて言うなら人間くらいかー。植物にだけはなりたくないね。何が楽しいんだあんなの。などと意識が薄れていく中俺はそんな呑気なことを考えていた。


正直な話をすると、友達なんてほとんどいなかったし、部活動の先輩にいじめられていた俺にとってはこんな世界いらないぐらいだ。しかし、ここは現実だ。漫画とか小説とかの主人公みたいに異世界転生なんてあるわけないし、でも輪廻転生があるとすれば鳥か人間になりたい。もしくはオオスズメバチとかキイロスズメバチとかだな。あいつら強いし。などと考えてたら頭から声がした。


「起きなさい、起きなさい!」


お母さん?というよりかは同級生?女子高生ぐらいの女の子の声がする。もう転生してたのか。これは今幼馴染か姉妹に起こされているゲームとかでよくあるシチュエーションだな。ぬほー!なんだか興奮してきたー!などと考えながら目を開けると、生徒会室にいた。


「おはよう ねぼすけ」


どうやら頭から声がしたのは上から俺の顔を覗き込んでいたかららしい。いいかおをした女だが表情を見た限り少し怒っているらしい。悪かったって、生徒会室で寝るなんて心外だよな。とりあえず座っている椅子から降りようとすると、俺はロープでギチギチに縛られていた。起きてそうそうなんでこんな目に遭わなくては…はっ! これが俗にゆうご褒美ってやつか! 美少女に椅子に縛られ、罵られる。なるほど意外と悪くないかもな….?


「冴えない顔してるわね、あんた。」


うっさいな


「私はあなたたちがいうところの女神様ってところね。それでここは神の座とでも言っておこうかしら?あんたは死んだのよ。」


などと俺の周りを回りながら解説してくれた。


「なんで生徒会室なんだ?」


「私ね、意外とここ気に入ってんの。あいにくメンバーは私しかいないけど、それに、みんなの1番思い出の場所って学校じゃない?それで、自殺とかした大人たちの心を安らげるためにこんな部屋にしてるわけ。」


などといいながら椅子に座り、windows99くらいのパソコンをいじり始めた。


「あんた、なんか面白いゲーム知らない?神様って基本退屈なの?付き合って」


いちいち偉そうだなこいつ。あっえらいのか。


「ほーら!早く教えて!」


「そんな古いパソコン使ったゲームは知らないがカードゲームでもやるか?」


「いいわね、アナログゲーム。相手ひとりもいなかったし。」


寂しいなこの神様という職業は。


「何やるの?」


「ペンポコカードバトルしか知らん。」


「そう! じゃっやりましょっ!」


いちいち可愛いなこいつ。こんな美貌を持って俺は生まれたかったよ。


 


そして幾つかの時がたち…


「それじゃあ俺はフレアユニコーンで攻撃。」


「くーっ! もう一回!もう一回!」


これで25勝5敗もう十分やっただろう。


「カードゲーム変えましょ! ポーカーでどう?」


「小学生以来だな…よーし!」



そして…


「ストレートフラッシュ...」


「きゃああああーーー!!」


これでポケカ含めて35勝15敗


「もー!なんなのよ!」


「お前、本当は友達いないんだろ? まっ、そんな性格じゃ当然か…。」


「うっ、うっさいわねー!!」


結局、いろんなゲームを互いに疲れるまで遊び尽くした。


「はぁはぁもうダメ…。」


「次…どうする…。」


「ちょっと休憩…。」


彼女は机に突っ伏した。俺も同じように突っ伏した。


「今日はとっても楽しかったわ! また遊びましょ!」


「ん? ああ。それじゃあ、俺は帰るよ。」


帰る…どこにだ? 俺は死んだんだ。帰る場所なんてない。それに今俺は神様とゲームしてたんだ。俺はかなり自分がすごいことをしてることに気がついた。


「すぐに遊べるように、短命なやつに転生させるわ。」


「おいおいちょっとまった! どういうことだ!」


「私、あなた以外と遊んだことないの。死んだ人たちは私と遊ぶより、転生してチヤホヤされたいだとかの一点張り。神様って他にもいるけど、神様同志の接触は不可能。もう嫌になっちゃうの、だから嬉しかったの。だから、私のわがままとはいえ、短命な生き物に転生して、死んで私とまた遊んで欲しいの!」


そうか…そんな理由が…。


「なあ、一緒に転生しないか?」


「え?」


「もし神も転生できるなら、一緒に色々やらないか?またゲームしたりとかさ。楽しいこといっぱいしないか?」


なんだかプロポーズみたいだなこれ。


「神様も転生できるけど…でも…転生したら神には戻れないの。それが怖くて…。」


「じゃあそうだな…。互いに不老不死にでもなってー…。」


これじゃ本当にプロポーズみたいになってしまうから止めた。神様だぞ。


「嬉しいわ。」


え?


「そんなこと言ってくれる人今までいなかったもの! いいわね!」


ん?え?はあ?脳が処理に追いつかない。


「あんた、私と同棲しなさい!」


「はあああああああぁぁぁぁーーーー!?」


拝啓 お母さん お父さん ワガママ女神様と異世界で同棲することになりました

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