第4話 異世界
そこで今の状況を考える
大きな枯れ木に腰を掛けて辺りを見廻す
大きな木の枝から風に揺れた葉の隙間から日光が差し込む
殆ど人が立ち入らないのだろう、地面は水分を含んだ落ち葉が埋め尽くす。
これだけ人が入らない場所ってことだよな?
山道から外れた場所?
「本当にここは何処なんだ?」
誕生日の日から予想外の事が起こりすぎて訳が分からない。
現実を受け止められない
夢?
何とか納得しようとするが、森林の匂い、少し肌寒い空気、動物の鳴き声、これは夢では無く現実としか考えられない。
テレポート?
もしかして樹海にでも飛んだのかな?
それともよその国のジャングル?
ありえない話だが、とにかく何処かにテレポートしたことだけは事実だ。
何か物音がしないか耳を澄ます
あれ?
かすかに水の音がするような・・・
とにかく何かしらのヒントになるかもしれない
僕は水の音がする方角に歩き始めた。
木が密集している所は光を遮るので薄暗い。少し木々の間隔が広い場所は陽が差しているので、昼間だと認識出来た。
木の密集地帯は落ち葉に水分を含んでおり、足を踏み入れる度にズブブブッと踝まで沈んでしまう。
最初は靴に水が入らない様に気を付けていたが、途中から諦めてしまい、100mも進む間には靴の中は水浸しになり、靴下はビショビショである。
「あ~気持ち悪い」
気温も高く、まるで夏の様な暑さである。厚手の学生服を着ている僕の額から汗が流れ落ちていった。
水の音が近くなってくる。
水の音がする方向は、明るくなっている。
やっとの思いで水の音がする場所まで辿り着く
「川だ!」
幅は2,3mぐらいで大きな岩と岩の間を水が上から流れている。
いかにも川の始まりらしき上流だ。
そして、川を少し下った方角から激しい水しぶきの音が鳴り響いている。
滝?
案の定、川を少し下ると目の前の小さな川は流れ落ちている。どうやら滝上だったらしい。
少し横から見ると滝の全容が見えた。
高さが20mぐらいある崖で、3か所から水が流れ落ちている。
その1か所の水が僕の見つけた上流部分であった。
滝の下を覗くと滝つぼがあり、そこから下流へと続く川が見える。
とにかく滝の下まで行こう
滝から少し離れた場所を通り滝下に辿り着く
体力的には疲れないのだが、何が出てくるか分からない緊張感から神経的に疲れていた。
滝の下には水が溜まっており、僕は近づいて溜まっている水を眺める。
「綺麗な水だな」
森の中は枝が太陽を遮っていたので薄暗かったが、ここでは太陽の光が眩しく体も暖かくなってくる。
「それにしても暑いな」
こんなに汗をかくのは、何時ぶりだろう?
ゴクン
この川の水が美味そうに見える
「飲んでみようかな?」
辺りに人影は見当たらないので、飲める水なのか確認できない
水辺まで足を運ぶ
両手を差し出して水を掬う
「冷たい」
水に口をつけようとした瞬間
(飲むな!)