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3度目の人生を生きる男


 俺は少し前のことを思い出していた。ダンジョンでの配信を終えた時のこと。


「いきなりなんだけど、輪廻さんって誰?」

「輪廻さん? ああ。40までは冒険者やってた人でさ、『3度目の人生だし、無理したくない。スローライフ送ります』って言葉残して引退した人。今は45歳くらいかな」

「少し会ってみたいかもなぁ。あの魔人を倒したって人に」

「ここにいるじゃん」

「あれは弱ってたよ。輪廻さんに相当やられたんだ」


 ふぅんといいながら機材を片付けるエルザの手伝いをした。


__


「あー。思い出したよ。能無君。魔人倒したんだってね。遥ちゃんから聞いたよ。ありがとうね」

「いえ、たまたまです」

「たまたまで倒せる程魔人はやわじゃないよ」

「最後に良い思い出出来ましたよ」

「ん? 最後なの?」


 輪廻さんが不思議そうに尋ねてくる。俺は自分の人生を簡単に説明する。


「それでそろそろ幕を下ろしたいなと」

「なるほどなぁ。確かに辛いよね。ぶっちゃけるけどね。私も人類の為とかで戦ったことは一度もない」

「そうなんですか」

「ああ、むしろどうでも良い。私は最初の人生で守れなかった妻の為に魔人に復讐していただけだ」


 輪廻は昔のことを思い出す。


__


 輪廻天誠の最初の人生は普通のサラリーマンだった。妻はいたが、子はいなかった。輪廻は妻をとても愛していた。このまま2人静かに人生を終えられたら良い。そう思っていた。


 ある夜。空から星が降り、何もかもを吹き飛ばした。自分も家も妻も…それが輪廻の1度目の人生だ。


 彼が次に目を覚ますと身体の自由は無かった。視界もボヤけていた。何者かに抱き抱えられ、笑顔を向けられる。自分が赤ちゃんになっていることに気付いたのはもう少し経ってから。

 それからは復讐の日々、彼は自分達を殺した存在が何なのか調べた。更に転生ボーナスか。強力な恩寵とそれに耐えうる身体も得た。世界を破滅に追いやる元凶たる魔人とも単独で戦い。撃破するという偉業を成す。


 でもそれで終わりじゃないと気付く。輪廻は更にこの世界の深淵に触れ、そこで命を落とす。これが2度目の人生。


 3度目は転生する前にこの世界の神を名乗る者と接触した。記憶持ち続けて転生する者が珍しかったらしい。


「次はより強い人生を送らせてやろう」


 神からの提案だった。


「どんな力でも深い闇には敵わない」


 輪廻はそう答え、3度目の人生はゆっくり、妻を供養しながら生きたいと申し出た。


「そうか。でもまあ強くなるのって良いじゃん?」


 と、割とフランクな神から身体を魔改造され、異能をもらい、更に前世の異能も使えるようにしてくれた。更に更に人間の限界を超えたエネルギーも。


「次の人生は何か大きく動くかも。輪廻の力は役に立つ。協力するかは君次第だ」

「最後に一つ聞いて良いかな?」

「なんだい?」

「最初の人生で私を殺した者はまだ生きてるのか?」


 輪廻はそう神に問うた。


「生きてるよ。元気にね」

「そうか。ありがとう」


__


「魔改造された身体でも本当の深淵に敵わないかもしれない」


 輪廻さんが勝てないなら神木しかいない。まあ結構どうでも良い。


「君さ。私と協力しない?」

「え?」

「君は強い。驚異的にね。分かるんだ」

「確かに強いかもしれません。でも限定されてます。これを動かすにはエネルギーが必要なんです」


 俺は核、【白竜の心臓】についても説明する。


「エネルギーは残りわずか。役には立てませんよ」

「政府が持ってるかもよ。私は辞退したが、神具は役に立つ」

「神具って何なんですか?」

「神器かそれに匹敵する鎧などの装備だよ」


 そんなのくれるのか政府も太っ腹だな。


「うーん。良いです。折角の話ですが、辞めておきます」


 魔人でも死ねなかった。もう餓死することにする。


「そうか。残念。気が変わったら教えてよ」


 輪廻さんが山では繋がらないスマホの番号を教えてくれる。


「君に気に入ってもらえるようにステータスを見ていくと良い」

「良いんですか?」

「ああ」


 とは言っても武装してない状態では見えないんだよな。とりあえず目を凝らしてみる。


名前:輪廻天誠

種族:人間

Lv:♾/♾

HP:100000/100000

MP:100000/100000

腕力:20000

耐久:20000

知力:20000

俊敏:20000

器用:20000

運:10000


装備

頭:

胴体:真紅のコート

右腕:真紅の杖

左腕:

脚:真紅の靴

アクセサリー

ゴッドパワーオブストレージ

クリスタルオブフォース


恩寵

【魔を極めし者】【×△□】


「あ、う。化け物ですね。でもMPが…」

「ああ。『神の力』はMPでは表示されない。隠しステータスさ。普通の魔法や『神の魔法』をより強化したり、自身をより強化したりするのに使うためのものだ」

「そうだったんですね。でも新しい異能も見えない」

「これは神様による魔人対策だ。誰も読み取れない。大層に隠しているが、限定的な異能だよ」


 それでもなんか格好いいなぁ。


「神の力はMPでいうと、どのくらいなんです?」

「ん? そうだね。私のMPは53万です」


 5!? てかいいのかその数字!?


お読み頂き、ありがとうございます!

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