↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やるべき事を放棄して無用な騒動を引き起こすのだから、それに乗っかってどこまでも行こう  作者: よぎそーと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/7

こんな事のために失った、とても大きなものを

 終わりは唐突だった。

 何がどうなったのか、才媛は学校を放逐された。

 王子だった国王に接触してるのが、どこかの誰かの気に障ったのだろう。

 それが誰なのかは分からない。

 ただ、ある日才媛の姿が学校から消えた。



 国王はその足取りを追った。

 いきなり消えた者の行く手を追った。

 手がかりは無かったが、それでも探した。

 才媛の視点、考え方。

 それを今後の宮廷で活かしたかった。

 参謀や知恵袋として傍においておきたかった。

 なんだかんだで好意も抱いていた。

 それが恋愛感情なのかは分からなかったが。



 運が良い事に居場所は見つかった。

 場末の売春宿だった。

 なぜそんな所に、と思ったが、それよりも才媛を救助するのが先だった。

 身請けをして治療をほどこす。

 体も大分弱っていて、病気にもかかっていた。

 治せるものなら早く治したかった。

 しかし、それは治せる類いのものではなかった。



 末期状態まで進んでしまった梅毒。

 それが才媛をむしばんでいた。

 もうどうにもならなかった。

 そんな才媛は、助けてくれた国王に向かって、

「残念です」

 いっそ穏やかと思えるような表情で呟いた。



「殿下が即位して始まる治世。

 この目で見たかったです」

 それが出来ない事などもう分かっていたのだろう。

「でも、あの世があるなら、そこからこちらを眺めていようと思います」

 彼女に出来るのはそれだけだった。

「殿下と話が出来て本当に楽しかったです」

 それが彼女から伝えられた最後の言葉になった。



 そんな彼女の最後を看取り、国王はため息と涙を漏らした。

 このような最後を迎えてよい人物ではなかった。

 貴重な人材を失う事にもなった。

 何より、彼女の周りにあった穏やかな気配。

 それを永遠に失った。



 どうしてこうなったのか、原因を探っていった。

 何者が関与してるのかを確かめていった。

 知ってどうするのかは分からないが、知らずにはおれなかった。



 ただ、あっさりと生徒を学校から追放。

 足取りも掴ませずに売春宿に売り飛ばした者達だ。

 さすがに全てを知る事は出来なかった。

 断片的な情報を得るのがせいぜいだった。



 それによれば、あらゆる勢力・派閥が関与してるという事だった。

 公爵令嬢・聖女・元平民娘だけでなく。

 王族も含め、様々なものが才媛を危険視していた。



 才媛は国王に近い位置に自然とおさまっていた。

 このままでは側室になるのでは、と誰もが危惧していた。

 そうなったら、勢力図が少し面倒になる。

 才媛を中心にして新たな勢力が生まれる可能性もある。

 そうなれば、他の勢力・派閥の発言力が低下する。



 そうでなくても、才媛の存在は脅威だった。

 普段の接し方から、王子が重用する事は確実とみられてもいた。

 そうであるならば、例え正室・側室でなくても、重要な地位につく可能性がある。

 どれだけ発言力を得る事になるのか。

 想像するだけでも頭が痛くなる。



 これが一番の問題だった。

 王子が自分たちの声を聞かなくなるのを、何よりも恐れた。

 だから各勢力と派閥は才媛の排除に乗り出した。

 この時ばかりは各勢力・派閥が協力体制をとった。



「おそらくは、梅毒も彼らによって植え付けられたのではと思います」

 それくらいやりそうである。

 売春宿に放り込んで隔離。

 そこで自然に死んだように見せかけるために、病原菌を植え付ける。

 感染者を優先して交わらせる事もやっていたのかもしれない。

 そうまでして確実に排除したかったのだろう。

 自分たちの利権を守るために。



 その為に貴重な智慧を失った。

 それが国王には許せなかった。

 国の統治に、未来の発展に大きく寄与する可能性があった。

 それが派閥の都合で潰された。

 あり得たかもしれない発展が消え去った。



 大いなる可能性よりも自分の都合を守る。

 そんな各勢力や派閥というものに何の価値もない。

 おそらくその時からだろう。

 国王が各勢力と派閥を潰そうと考えたのは。



 その為に国が危機にさらされる。

 滅亡する事もありえる。

 それでもかまわなかった。

「こんな連中のために…………」

 貴族や教会などの勢力のために国を長らえさせるつもりはなかった。

気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。