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今日も今日とて

(やれやれ……)

 王子は胸の中でため息を吐いた。

 実に鬱陶しい事だった。

 女が三人、三つ巴の戦いを繰り広げている。



 婚約者である公爵令嬢。

 教会が送り込んできた聖女。

 実は貴族の隠し子だったという元平民娘。

 この三人が学園の中庭で一堂に会し、壮絶な舌戦を繰り広げている。



 もともとは、王子と公爵令嬢が雑談をしていただけだった。

 これといって意味の無い、本当に雑談をしていた。

 強いていうならば、一緒に居る姿を他の者達に見せるのが目的だった。

 王家と公爵家が良好な仲であると示すために。

 そんな事までしないといけない事に辟易とはするが。



 そこに聖女と元平民娘がやってきた。

 それを王子はうとましく思った。

 公爵令嬢はなおの事。

 二人もまた王子と、その背後にある王家との関係を求めてるからだ。



 聖女は教会の代表として学園にやってきている。

 ただの聖職者としてではない。

 あわよくば王子と懇ろになり、教会の勢力を増すために。



 平民娘も似たようなものだ。

 それなりの地位の貴族の隠し子であった彼女も、それほど地位の高くない貴族代表のような立場にある。

 そんな貴族らが、ギリギリ王家への輿入れが出来そうな地位の貴族の隠し子を利用。

 王子に接近させようと画策していた。

 斜陽していた地位の高い貴族は、低位貴族の支持を受けてこれに賛同。

 神輿として担がれている。



 もちろんこの二人とその背後の勢力は正室争いなどするつもりはない。

 公爵令嬢と争うほど愚かでは無い。

 なので、側室として王子に侍る事が出来るよう願っていた。

 そうなるように様々な工作もしている。



 そんな二人に対して、公爵令嬢の背後にある勢力も色々と動いている。

 側室とはいえ、聖女と元平民娘が輿入れすれば、協会と低位貴族の勢力は増す。

 それをどうにか阻止できないものか。

 出来ないならば、いかにして勢力増強を阻むか。

 そんな事を考えて行動している。



 三者三様の思惑が絡み合ってるのが王子の周囲だ。

 当事者である三人の娘も例外ではない。



 婚約者の公爵令嬢も、教会の聖女も、隠し子の元平民娘も自分の立場や地位を確保しようとしている。

 女の序列争いというべきか。

 年頃の娘として、誰が序列が上なのか争っている。

 ある意味、猿山のボス争いのようだった。



 巻き込まれる王子としては鬱陶しいとしか言いようがない。

 これが勢力争いなのは理解しているのだが。

(こんな事に労力を割いてる場合か?)

 やるべき事は他にあるのでは、と思ってしまう。

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