バックヤードツアーへレッツゴー!!〈前編〉
よっ!!俺の名前はグゥール!ラインの兄貴分で、マノンとひだまりのクラスメイト!実は最近、魔法界ばっか行ってて、疲れ気味なんだ。そのせいでとなりの小学校とサッカーの試合があった時、ぼろ負けだったんだぜ!?最悪だろ!?
おっと、雑談はこれまでにしておいて、今回の話をするな!今回は、マノンとラインの二人の冒険で、ひだまりと俺は留守番だったから、よくわかんないんだけど、どうやら図書館のバックヤードツアーに行って、興奮した二人が、書庫の奥の扉からもう一つの書庫に行って本を読んでだまされたんだってさ。はぁ、本好きの二人はきっと簡単にやられたんだろうなぁ。まぁ、俺の説明は下手だから、みんな読んでみてくれよな!俺はサッカーの練習して来るぜ!じゃあな!!!
「リーンリーンチリリン」頭の上で激しく鳴り響く目覚ましの音に起こされて、私はグーンと背伸びする。
おはよう!私、マノン!前までは普通の本好き少女だったのだけどひだまりっていう女の子が来てから、私は本好きっていうの以外に、何かどこか変わってしまったの。そんな私、今日は土曜なのに早起きなのは理由があるの!今日は・・・私が待って待って待ち続けたバックヤードツアーの日!それも、なんと!図書館のバックヤードツアーよ!最高!今すぐ図書館の司書さんにありがとうございます!って言いたいわ!
実は、私の将来の夢は、司書なの!でも、司書に限らず、本に関われたらもう最高なんだけどね!
私がベッドの上でにやけていると、「トントン」とドアを叩く音がした。
「マノン。起きてる?朝ごはんよ〜。」
どうやらドアを叩いたのは私のお母さんのスミレだったようだ。「は〜い!今、行くー!」私は、毛布をはいでベッドからおりる。お母さんは、もう下におりたのかドアの前にはいない。そして、階段をおりて、リビングに向かった。「おはよう、お母さん。」「おはよう。マノン。さぁ朝ごはん、食べなさい。今日は、ラインくんとデートだものね☆」お母さんは、「ウフフ」と笑いながらウィンク☆する。「デッデートじゃないよ!図書館のバックヤードツアーだよ!」私は、顔を膨らませてお母さんに言う。「ウフフ。やっぱりうちの娘は可愛いわねぇ〜。」お母さんの勘違いは解けなかったが、まぁ今日、早く図書館に行かなければいけないのはあっているので早く朝ごはんを食べることにする。そして、朝ごはんを食べ終わると、食器を洗って二階の自分の部屋に向かった。
そして、二階の自分の部屋・・・
「さぁ〜て!早く着替えて準備して、図書館に行こう!」私は、洋服が入っているクローゼットを勢いよく開ける。そして、緑と赤のチェック柄のプリーツスカートと白いブラウスをハンガーから外して着替えた。そして、あらかじめ昨日のうちに用意しておいた茶色のポーチを手に取る。そして、中にペン入れ、青色の手帳を入れてからうと、下におりていった。(ウフフ♪今日は、たくさん手帳にメモするわ!)私は、うきうきしながら台所に置いていた水筒もポーチに入れる。「マノン。これも持って行きなさい。」「えっ?何これ?」私は、首を傾げながらお母さんから青色と黄色の巾着袋を受け取る。そして、ゆっくりと開いた。「お弁当だ!」「ウフフ。お母さん、昨日の夜、作っておいたの。ラインくんにも渡してね。黄色の方よ。」私は、コクリと頷くと、「ありがとう。行ってくるね!」と言って、外に出た。「行ってらっしゃい!」お母さんはにっこりと笑いながら手を振ってくれた。
「着いたわ〜!」私は、ドキドキと高鳴る胸を押さえてまた歩き出した。目の前には真っ白な壁に色とりどりのステンドグラスが貼ってある大きな図書館が建っている。「お〜い!マノン!」後ろから聞き慣れた声が聞こえて来た。「ライン!おはよう。」そうこの声は、私の友達のラインの声なの。ラインは冷静で優しくて、私と同じ本好きのクラスメイトでひそかにクラスの女子に人気なの。(わっ私は入ってないわよ!)「おはよう、マノン。いよいよ今日だな!バックヤードツアー。」「えぇ。もう私、朝から楽しみで楽しみで。さっ早く券をもらわなくっちゃ。」「あぁ!」私達は、「ダダダダダッ!」と勢いよく走り出した。バックヤードツアーのためなのだ。疲れなど、どうってことない。「あの!バックヤードツアーに参加したいのですが、券は残っていますか!?」私達は、「はぁはぁ」言いながら、司書の方に聞く。「はっはい。少々お待ちください・・・。」司書さんは、苦笑しながらカウンターの引き出しの中から二枚の券を取り出し、カウンターの上に置いた。「ありがとうございます。」私とラインはそう言うと券を手に取った。券は、本のように表紙と裏表紙があって開けるような形になっている。
「うわぁ。楽しみ〜!早く始まらないかしら?」「おぉ!!あと、一分で始まるぞ!」私達は、小さい声でささやきながら時計を見上げる。
チクタクチクタク・・・
「なった!ライン!なったよー!」「おぉ!!」私達が感嘆の声を上げていると、「はぁ〜い。バックヤードツアーに参加する方は、こちらに来て下さい。」と司書さん二人が私達に声をかけた。「はい!」私達は、「他に誰が来るかな?ひだまり、さそったけど来るかなぁ?来れるかわからないって言っていたけど?」と話していると、「はい、バックヤードツアーに参加する方達ですね。お二人で間違いないですか?」「あっはい。あの、私達の他に参加される方は・・・?」私は、びっくりして辺りを見回す。図書館に訪れる人は、みんなバックヤードツアーを知らないようなすました顔をしてすたすたと歩いて行く。「実は、いないんです。でも、0人よりいいですよ。来てくれてありがとうございます。あっ!自己紹介しますね。わたしはルルといいます〜。よろしくお願いします。」司書のルルさんは、ニッコリと笑った。「私も自己紹介をしますね。私は、美月といいます。よろしくお願いしますね。」ルルさんのとなりの司書さんも、自己紹介をすると、笑った。私は、なぜかその笑いが不自然に感じた。「でわ、さっそく行きましょう!最初は、司書室ですよ〜!」ルルさんは、バックヤードツアーの旗を持って図書館内を歩き始めた。(まぁ、気のせいよね。そ・れ・よ・り!いよいよバックヤードツアーだわーー!)私は、うきうきしながら、ルルさんと美月さんの後ろをついて行った。
「はぁ〜い。ここが司書室です。」「うわぁ〜!」「おぉ!!すごい・・・!」私達は思わず中に入りそうになるのを必死にこらえる。その様子を見ていたルルさんは、「ごめんなさいね。司書室の中には、司書か、わたしのような司書研修生しか入れないと上から許可が出なくって〜。」「えっ?ルルさんって司書研修生なんですか?」「はい。美月さんは、正式に司書で、初めて会うんですけど、わたしはまだ大学生で、研修中なんですよ〜。今日の、バックヤードツアーも、審査の対象になっているんです。」ルルさんは、「頑張らなくちゃですよね。」と、少しうつむきながらそう言った。「いや、でも、研修生になれるだけすごいですよ。私もなりたいですし。頑張ってくださいね、ルルさん!」私は、自分がなれないので、ルルさんに思いをたくして応援する。すると、ルルさんは予想以上に目をうるうるさせて、「ありがとうございます〜!!はげみになります!そうだ!わたし、バックヤードツアーが終わったら、あなたを研修生に推薦しますね。」「本当ですか!!!ありがとございます!」私は、思わぬところで研修生の道を得ることが出来て、ルルさんと仲良くなれたのであった。「そのためには、名前を教えてもらわなくちゃなんですけど・・・。いいですか?」ルルさんは、お花の刺繍と本の刺繍がほどこされたメモ帳を開いて、ボールペンを取り出した。「はい!もちろんです!私は、マノンと言います!」「は〜い!でわ、言っておきますね☆」ルルさんは、うらやましいくらいの可愛い笑顔を私に向けた。(うわぁ。完全に女子力的に負けたわ・・・。)と、勝手に敗北感に押しつぶされていると、「そろそろ書庫に行きましょう。ルルさん。」「あっ!そうですね〜!話がはずんじゃって・・・。すみません、美月さん。」ルルさんは、ぺコリとおじぎをすると、まぶしいほどの笑顔で、「行きましょう!書庫は二階と一階にあって、今回は、整備が間に合っている二階の大人の書庫に行きます!」どうやら、図書館の書庫は、一階が赤ちゃんや子供のしょこで、二階は大人の書庫らしい。(なるほど。)私は、さっとメモ帳を取り出してメモをする。そして、私達は二階の大人の書庫に向かって階段を上がっていった。
そして・・・大人用書庫
いよいよ階段を上り終えて、大人の書庫に着いた。ふと、ラインを見れば、嬉しそうにしているのが一目で分かる。それは私もおんなじだ。
「は〜い!それでは、中に入りたいと思いま〜す!」ルルさんは、銀色のカギを取り出すと、大人の書庫の扉を開けた。
中からは、インクの匂いが漂って来て、目の前には、ハンドルのようなものがついた棚がたくさん並び、左側には普通の本棚が、そして、その奥にはぼやけて見えないが、扉が見える。(あら?ちゃんと、メガネの度数、合わせてるのに。最近本を読むことが増えたからかしら?)私は、メガネをカチャリと上に押し上げると、目の前のハンドル付きの棚に目を向ける。「この棚って、なんですか?」「あぁ、これは[集密書架]といって、収蔵能力やスペースの節約になるまぁ簡単に言えば、固定書架って言う普通の本棚のハンドル付き動く版って事です。あっ!ちなみに、これは最近研修でならったんですけど、図書館には、開架式書庫と閉架式書庫があって、開架式書庫は、図書館の利用者が普通に手にとって見たり出来る書架、本棚の事で、閉架式書庫は、いわゆる書庫の事なんですよ。後、集密式書庫っていうのが・・・。」「ルルさん、そろそろ・・・。」どうやら、雑談時間は終了のようだ。私は今の話をメモ帳にまとめると、書庫の中をみわたす。もう説明は終わって「自由に見ていいですよ」の時間だ。私は、鼻歌を歌いながら書庫の中を歩いて行く。ラインも私と同じように歩きまわってちょこちょこ立ち読みをする。そういえば、ルルさんがいっていたが、あの集密書架には貴重な資料が置かれていたりするらしい。えいきゅう保存の本はまた違う書庫にあるらしいけど。(はぁ、何ならそこにも行かせてほしいっていうのが本音だけど・・・。さすがに失礼だからやめとくわ。)私がまた書庫内を歩き始めた時だった。ブワッと一瞬右側から威圧を感じた。その瞬間、私の背筋に寒気が走る。(ななな何!?えっ!?もももしかして幽霊・・・とか・・・。私、こんな楽しい場でもおびえなくちゃいけないの!?)今すぐ叫びたいのをこらえてゆっくりと右側を向く。そこには、書庫の入り口でぼやけて見えたあの扉がドーンと構えていた。
「こ、これだったのね・・・。よ、良かった〜。」私は心の中で(幽霊じゃなくて。)と付け加えながらへなへなとコンクリートの床に座り込んだ。
「どうしたんだ?マノン?そんなところに・・・。」「ぎゃあああああ!!!幽霊いたああああああ!!!」私は、安堵からの急展開で話しかけの誰かを指差して、叫んだ。「どうしたの!?」と、向こうの方からルルさんと美月さんが駆け寄ってくる。「ゆ、幽霊・・・。」「おい、もしかして僕の事、幽霊なんて思ってないよな?」「あっ・・・え?・・・そ、そんな事ないわよ。」私はそう言いながら、そっと目をそらして、ルルさんに話をふる。「あの、ルルさん。この扉って、なんですか?」「え?さぁ、なんでしょうかね?研修中なのでわからないです。美月さんは、分かりますか?」「あっはい。ここは、開かない書庫なんです。ちょっと前までは、開いてたんですけど、指紋認証で今違う司書さんに設定されてて開かなくて・・・。」美月さんは、「本当は、ここも案内したかったんですが。」と、残念そうに言った。(え?え?じゃあ、ここ開いてたらこの中も入れたってこと?なんで開いてないの〜!ハァ・・・。)
私はスカートに付いている汚れを払って立ち上がった。すると、向こうに行っしまったルルさんとは反対に美月さんは、こちらにやって来た。「あの、マノンさん。書庫の指紋認証、やってみませんか?」「え?でも、違う司書さんが登録してるって、美月さん、言ってましたよね?開けられるんですか?」「試してみる価値はありますよ?」美月さんはいたずらっぽく笑う。(やっちゃう?こんな機会滅多にないもの。いいわよね?)私は、コクリと頷いた。そして、扉の真ん中にある月の形のガラスに人差し指をつけた。すると、「ガチャ」と鍵が開く音がした。「え?もしかして・・・?」「開きましたね。」「うわぁ!うそでしょ!?」私はその場で飛び跳ねた。横で見守っていたラインも「うそだろ!?」と言って、私をみた。
「開けてみましょうか。」「えぇ!?い、いいんですか?勝手に開けて・・・。」私はそう気にするようなことを言いながらも内心は行く気満々で扉を見つめる。そこでふと、扉の真ん中にある指紋を押す月の形が目に入った。(あれ?なんだか月ってひだまりらへんに関係なかったかしら?)私がそう心の中で浮かんだ考えに首をかしげていると、美月さんが、「ふふふ。大丈夫ですよ。ちょうど図書館に置きたいと思っている資料があるはずだから・・・という口実にすれば。」私はその言葉を聞いて、「いいですね!!!」というと、ラインの方を振り返った。すると、まだ何も言っていないのにラインは「はいはいわかった。」と手を振って扉の方を見た。「まだ何も言ってないのになんでそう言うの?」「顔を見れば分かるよ。・・・それに俺も行きたいしさ。」ラインは最後小さい声でそう付け足すと、美月さんに「お願いします。」と言ってついていく。(こういうちゃんとしてるところが女子にモテるのよね。)私は『ラインファンクラブ』の女子たちが私をファンクラブに入れようと奮闘して言っていたラインのいい所を思い出して「ハァ」とため息をついた。(あぁいけない、いけない。せっかくのバックヤードツアーで、しかもこんな興味をそそられる書庫に入れるんだから!)私はそう心の中で思いながら、「お願いします!!」とラインと同じように美月さんに言うと月の形がある扉の書庫に入っていった。
中には壁に沿ってたくさんの本棚があり、入りきれなかった本が机の上に積まれている。その机の隣には、書見台が別に置かれている。私はタタタ!と走っていくと、「うわぁ!!!うそでしょ!?すごい!どこ見ても本だらけだわ!!ライン!ここ最高ね!!!」と叫んで、高揚した頬を冷ましながら後ろにいるラインの方を振り返った。ラインも、見たことの無い本を目の前にして、抑えきれないように「そうだな!!!最高だな!!!!」と叫んだ。私はコクコクと頭がくらくらするくらい頷いて、美月さんのほうを向いた。「美月さん!!あの、ここの本って読んでいいですか!?」美月さんは考えるように頬に手を当てながら、「・・・読んでよさそうな本だったらいいですよ。選んでくるので待っていてくださいね。」美月さんは微笑むと、壁側の本棚から二冊の本を抜いて持ってきた。「この二冊でしたら大丈夫ですよ。・・・私はルルさんを呼んでくるので、読んでいてくださいね。」「はい。ありがとうございます。」私とラインはそういうと、早速書見台に付いている椅子に座った。「うわぁ、すごいわ!図書館の机は普通のなのに!!これは帰ってひだまり達に言わなきゃね!!」「そうだな。・・・だけど、内容は秘密にしような。」「そうね。せっかく特別に読ませてもらうんだもの。」私達は「フフフ」と笑うと早速本を開いた。私の開いた本は、表紙には何も書いていないけど、色々とゴツゴツしたふちどりなどがほどこされていて少し手が痛い。だが、私がそんな呑気な事を考えて入られたのもほんの数秒だけだった。(何この本?)私は最初のページにあった目次を見て眉を寄せた。
『魔法界と人間界の男の子』
目次の一番上にそう書いてあった。(なんで魔法界っていう単語が本に出てくるの?もしかして、古い物語?ファンタジーものとか?そうだよね?)私は訝しげな顔になりながら次のページをめくった。
そこには目次に載っていた文が新聞の見出しのような感じで載っていて、その左下には大きな岩の写真と小さな岩のかけらのような物が載っている。(まさかの古い物語でもなんでもなくて、新聞記事だったわよ!?どういうことよ!?)私はそこから下の本文を読んでいった。
"人間界にある虹の岩を人間のひとりの男の子が小さく割り、その中に吸い込まれたという事態が起こった。それを月の鏡で確認した月の国の姫が人間界から虹の国にそのかけらを届け、虹の国の城で厳重に保管される事になった。また、虹の国と月の国によると、虹の岩のかけらの中から男の子を助け出すには、その日一緒にいた女の子の力が必要とされる。この事件により人間の・・・"
そこから先は読むことができなかった。
(これって、絶対つばさだわ。虹の岩・・・。山で花つみをし終わって、集まるところにつばさが決めた所にこの写真みたいな岩があったもの。それに、この時につばさがいなくなったのだから。・・・そう考えたら、私がこの女の子?)私はこの事を心の中にとどめる事ができずに、ラインの方を向いた。
だが、なぜかラインもさっきまでの私のように眉を寄せて本を凝視していた。(どうしたんだろう?)私は不思議な気持ちと不安な気持ちが混ざった複雑な感情で「ライン。」と名前を呼んだ。すると、ラインはハッとしたようにこちらを向いた。その顔には、先程までの訝しげな感情などみじんもない。何というか、私が驚かせたからか、目が丸くなっている。(ご、ごめんね。ライン。)私は心の中で謝りつつ、本に載っている内容、つばさと関係があるかもしれない事、この記事に載っている女の子が私の可能性がある事を伝えた。「・・・つばさは前、月の国で色々とあったから覚えてるでしょ?」「・・・あぁ。あの偽者だろ?・・・大切なやつって言ってた。」「ちょっと!『やつ』って!!私、そんないい方してないわ!!」「・・・」いつも過激的ないい方はしないラインだが、今日はなんだかちがう。(どうしたんだろう。・・・っていうか、今はそんなこと言ってる場合じゃなかった。)私はラインの様子をちらりと伺う。私が注意したから怒ったのか、それとも別の事を考えているのかわからないけど、その顔は完全に無表情だ。私が声をかけようか迷っていると、後ろから「コツコツ」と足音が聞こえてきた。(あ!美月さんかな?よかった〜。ラインに話しかける話題が出来たわ!)私は、本当に美月さんかを確認して、「ライン。その・・・さっきは色々ごめん。あと、美月さんが帰ってきたわよ。」とためらいがちに話しかけた。するとラインは、ゆっくりこちらを向いて、「こっちこそごめん。・・・美月さんが帰ってきたんなら、この本の事を聞いてみようぜ。」と言って、いつものように笑った。私は「うん。」と言って、ホッと一息ついた。(仲直りできてよかったわ〜。それに、美月さんに聞いたら何かこの記事についてわかるかも。)私はそう考えながら、先に美月さんのところへ歩いていって、話をしているラインを見た。その時、私の頭の中にさっきのつばさの話をしていた時のラインの顔が浮かびあがった。その時には頭に血がのぼっていたせいか、私の注意を嫌そうに聞いていると思っていたラインの顔が今考えると、ふてくされたような顔に見える。(気のせいよね。ラインにかぎってそんな顔を私に向けたりなんて・・・)私は頭を左右に振ってその考えを否定していると、ラインがこちらにやってきた。
「マノン。さっき言ってた本の事、美月さんに聞いたんだけど、あんまりよくわからないらしくて・・・マノンから話してほしいんだってさ。」「うん。わかったわ。」私はそう返事をすると、美月さんのところへ歩いて行った。美月さんは、私が近づいてきた事に気づくと、柔らかい微笑みを浮かべて、「説明をさせてしまってごめんなさいね。二回も説明させてしまっているけれど、内容が複雑で・・・。」私は申し訳なさそうにそう謝る美月さんに「いいえ。こちらこそすみません。」と言った後、ルルさんの姿をさがした。確か、美月さんはルルさんを呼んでくるために書庫から出て行ったはずだ。いないのはおかしい。(それに、もしかしたら研修のカリキュラムが変わって何か知っているかもしれないもの。人間界も関係するし、この図書館の書庫にも関係するんだから!)だが、美月さんの発したことは、私の想定外の言葉だった。「もともと連れてくる気なんて一ミリもないですよ。私がマノンさん達を帰しておくというと、さっさといなくなりましたよ。・・・さあ、あなた方には、姫にあってもらわなくては。フフフ。」(はい!?)平気でそう叫ぶ美月さんに私は心の中でそう叫んだが、美月さんは今までとは違う、怖い笑顔を私に向けた。
こんにちは♪お久しぶりの月夜です!!!
今回のお話は少し・・・というか、とても遅れてしまって・・・!すみません!!!今回は前編ということで、本文の最終文は書かずに終わっています。
では、さっそく今回のお話の説明にいきたいと思います!(次回の内容をもらさないように気をつけて・・・)
今回は、本好きのマノンとラインがバックヤードツアーに出かけるお話です。
いやぁ〜!!もう、私にとって一番出したかったバックヤードツアーが、いよいよ出てきましたよ!!実は、マノンとラインが本好きなのは、私自身が本が大好きで、同じ本好きの人がいたら嬉しいなぁという願いというか、思いからなんです!!そんな本好きの二人、秘密の書庫に入って、つばさと思われる記事を見つけます。その時のラインとマノンの会話でのラインの言葉やそのあとの司書、美月さんの対応・・・色々と思いがありそうな不穏な状況!!これからどうなるのか!?次回にはまたまた新キャラ登場なので、お楽しみに〜☆★♪