###
【迷子】
こんなどことも
知れぬ雑踏で
あたし 迷子
「ママはもうすぐ
お迎えにくるからね」
なんて
言わないで
お願い
「君は置いていかれた」と
「捨てられた」と
そう告げて
そしたらようやく
歩きだせる
あたしが本当に
帰る場所へ
独りきりで
【アンハッピィ・バースデー】
誕生日なんて
自分が独りきりなのを
確認するための日だ
生まれたことを
後悔する日だ
【破片】
欠けてる
欠けてる
あたしは
何かが
欠けている
欠けているんじゃないよ
君こそが
欠片だってことさ
【どこにも続かない道】
真夜中に
コンビニ行って
帰り道
どこにも帰り
着けぬ気がした
【頂点の孤独】
振り切れ
その速さで
まとわりつく
しがらみを
あの高みに
届くために
必要なのは
手助けじゃない
「踏み台」
足を掴む手
なぎはらえ
駆け登るための
足掛かりとせよ
天辺に
いけるのは一人
天辺に
いく頃には独り
【遠ざかるすべてに】
遠ざかる青空
仰向けで
落ちていくのが
夢だったんだ
遠ざかる青空
遠ざかる青空
遠ざかる世界
遠ざかる天国
遠ざかる神
さようなら
さようなら
遠ざかる青空
ぐちゃり
【アゲハの蛹】
潰してしまえ!
奴らは
醜かった過去を
無かったことにしようと
計算している
策略の美しさを
【虚ろ】
語り合った日々もあった
笑い合ったことも
罵り合った日も
今の私たちは
意志を伝えることも
困難で
君の口から漏れるのは
意味をなさない言葉だけ
こんなふうにしたのは
きっと私で
私はその罪で
君に繋がれてる
一生かけて悔いるよう
君が望んでいるから
虚ろな瞳の奥で
すべてを見張っているから
【受験生必見過去頻出問題・2】
問.あなたが殺したのは誰の(何の)せいでしょう?あてはまるものすべてを選びなさい。
(ア)家庭
(イ)親
(ウ)子供
(エ)兄弟
(オ)配偶者
(カ)恋人
(キ)学校
(ク)教師
(ケ)生徒
(コ)友人
(サ)社会
(シ)会社
(ス)政治
(セ)政治家
(ソ)経済
(タ)制度
(チ)中国
(ツ)韓国
(テ)北朝鮮
(ト)アメリカ
(ナ)ネットの住人
(二)思想
(ヌ)宗教
(ネ)世界
(ノ)病
(ハ)あなた自身
解答?裁判所でもらえるんじゃないですか?
【釘】
吹き付ける
小さな風にさえ
吹き飛ばされるのが
怖くて
事あるごとに
この足先に
鉄釘打ち付けてきた
だから私は
前に進めない
此処にいるため
此処にいるためと
打つ釘が増えるほど
歩きだすのは
無理になって
だから
此処にいるため
必死の私に
「進め」
なんて命令
無茶なんですよ
【黒い塊】
この口から
ずるり、と
生まれ出る
どす黒く
蠢く塊
名を憎悪と言う
それらは今や
部屋中を埋めつくし
そこかしこで
奇声をあげているが
捨てることなど
できるはずがない
私はそれらの親だから
醜くもおぞましい
愛しい我が子たち
【百年孤独】
僕の孤独なんて
せいぜい
百年に満たないもので
それは
人類の歴史に比べたら
ほんの些細なもので
だから
ちょっとの我慢
そうさたったの
百年の孤独
だけどああ
百年の孤独
【片足】
いつの間にか
どこへやら
片足
無くしてしまって
誰かにすがらなきゃ
歩いていけない
それを
依存
依存と
言うのなら
お前のその
片足よこせ!
【その程度ってことなのかな】
あなたのことが
好きです
好きです
好きです
大好きです
だけど
あなたの為って
思っても
がんばれないんだ
だから僕は
ダメなんだよね
だから僕に
好きになる資格
無いんだよね
【紅イ月】
ドコデソノ血ヲ
浴ビテキタノ
汚ラワシイ
【区別】
区別しましょう
区別しましょう
差別じゃないよ
区別しましょう
あなたと私は
いらない側の人間ー
区別しましょう ね!
【囚人と牢獄】
そんな気は
まったく無かったのに
あたしの手は
いつの間に
誰かの血に塗れて
傷つけることしかできないあたし
柵をください
丈夫なのを
二度と出られぬよう
囲って
閉じ込めて
誰もいない所に
打ち棄てて
逃げ出す気も起きない
あたしの牢獄
生まれてきたことから
罪だったの
【ぼくら仲良しグループさ】
やっぱりそうして
あなたたちは
馴れ合いばかりが大切で
よそ者のあたしを
認めようとはしないんだ
頭下げて
頼み込んで
一緒に馴れ合えたら
オトモダチ
くだらないね
気持ち悪いね
そんな関係
友達いない奴の
ひがみにしか
聞こえないだろうけど
気持ち悪いよ
あなたたち
【その手探して】
ある日は吹き荒ぶ氷雪の中で
ある日は肌焦がす業火の中で
「あたたかい」
ということを
忘れていた
なのにあなたが
あたたかな
手で触れたりなんかしたから
あたたかさ求め
彷徨うように
なってしまったじゃ
ないですか
あなたはもう
ここにいないのに
また今日も
探し続ける
あたたかな手
氷雪の中を
業火の中を
【坂道】
坂道を
登るのは苦しい
息切れして
休みたくても
もっと上を
目指さなければ
坂道を
下るのは苦しい
気を抜けば
転げ落ちる
さっきまでの頂点を
忘れることができない
平坦な道は
存在しない
この向こうは
ただ坂道