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詩イ殺ス。  作者: 八田硝子
20/28

+++

〈食べて〉




たった一発の

銃弾で

この心臓は

撃ち抜かれた


どうか食べてね

撃ち抜いておいて

捨て置くなんて

しないで


食べて

どうか

食べて


骨まで

しゃぶり尽くすくらい

食べて







〈終末はどうしようか〉




ねえ

終末は

どうやって過ごす?


家族に囲まれて

眠るようにとか

ポックリと

なんて

そうはうまくいかないよ


眠っているうちに

天変地異やなんかで

即死ってのも

なかなか出会える

奇跡じゃないね


痛くない

苦しまない

幸せな

終末って

難しいもんだね


ねえ

終末はどうやって過ごす?



できれば君と

一緒がいいな







〈Don't disturb〉




夢の中ならあたし

綺麗なお姫様になれる


Don't disturb

Don't disturb


夢の中なら

イカれた連続殺人者でも

けして死なない

被害者にも


Don't disturb

Don't disturb


どうか目覚めない夢を

起こさないで


Don't disturb!







〈バイ菌バイバーイ〉




てめぇ俺を

「バイ菌」っつったな?


待てよ!

ほらほら

バイ菌がお前の手を

掴んでいるぞ


バイ菌に羽交い締めに

されているぞ


バイ菌に

キスされてるぞ


バイ菌はさらに

○○○をする気だ!




ほらほら

俺はバイ菌なんだろ


だったらお前は

バイ菌移された奴だ


お前もバイ菌だ


バイ菌仲間だやっほう!


やーい

バイ菌!

バイ菌!

バイ菌!!!







〈逆上がり〉




青空を

蹴飛ばしたくて

逆上がり

憎らしいほど

晴れ上がった空







〈足下〉




足下ばかり見る


下に何人いるかだけを見る



上を見ると

腹がたって

虚しくて

悲しくなるから



足下ばかりを見る


自分未満のものだけを見る







〈未来〉




未だに来ざるものに

どうして皆

そんなに期待できる?


根拠なんてない

オプティミスト


信じられるわけが




未だ来ざるものを

怖れる私は

あなた方より

賢明


根拠なんてない

ペシミスト


賢いと

思ってる







〈いつまで〉




いつまで

いつまで


笑い続ければいい




いつまで

いつまで

いつまで

いつまで




疲れた







〈君までトリップ〉




ばっちりと

キメていこうぜ


さよなら

いいトリップを


バッドトリップは

ごめんだね



それじゃあ



トべ!

トべ!

トべ!

トべ!

トべ!

トべ!




君のところまで

トんでけ

トリップ


キマっただろ?







〈隣を歩く幸せ〉




隣を歩く

幸せを

胸に刻んで

おきましょう


私が歩けなくなったら

私を背負ったりしないで


私を置いて

進んで欲しい


隣を歩く

幸せを

忘れずにおこう



あなたが遠ざかる靴音を

聞くその日までの



束の間の







〈人体愉快〉




人の体というものは

なかなかに面白いもので


あんなに憎くて

殺したあなたの

楽しかった

出来事ばかり

思い出されるのです



脳が罪をあがなえと



ひどく奇妙な気がします


どうも滑稽な気がします







〈アニバーサリー〉




カレンダー

紅く印を

つけた日は

あなたに殺意を

覚えた日







〈火の鳥〉




この想いは火の鳥

未だ熱く燃え続ける


この想いは火の鳥

燃え尽きてしまえば

甦ることが

できるというのに


まだ燃えていたい火の鳥

この身が焼き付く苦しみも


まだ手放せない

まだ燃えていたい火の鳥


あなたへの想い

この想いは火の鳥







〈眼鏡〉




眼鏡に跡がつくから

泣くのは嫌だよ


眼鏡をはずしたら

ただでさえぼやける視界が

涙でさらに

ぼやけて見えた




不鮮明な世界に

滲んで

消えたい







〈ヤマアラシのジレンマ〉





近づいたら

針がささるとか


離れると寒いとか


関係ないよ




僕は一人

丸まって

外に武器を向けながら

暖まる


一人でも僕は

暖かい







〈プレゼント〉




贈り物をしよう

大好きなあなたに


骨も内臓も

潰れるくらい


身動きなんて

できないくらい


重い

重い

想い




プレゼント

受け取ってね

大好きよ







〈行く道〉




狂気笑うな

行く道だから


老いれば君も

行く道だから


ある日突然

落ちる道だから


狂気笑うな

行く道だから







〈癒えぬ傷〉




あんまり多すぎて

もう自分でつけたのか

他人につけられたのか

わからない


塞がりそうになるたび

自ら開いて

血を流させるから

いつまでたっても

治らない


いつか膿んで

腐ってしまえばいい



治す気なんてないの

致命傷になる日を

その日を

待つの







〈エンドロール〉




殺してくれるなら

あなたがいいなぁ



銀幕に映し出される


「THE END」


書いてくれるなら

あなたがいいなぁ







〈リトルプリンセス〉




ねえパパ

あなたの大事な私を

傷物にしたくって

耳朶に貫通式


ねえパパ

あなたの大切な私を

傷物にしたくって

あの男の前で

足を開く


ちょっと痛かったけど

とても愉快だわ

あなたの嘆く顔

目に浮かぶから


ねえパパ私もう

あなたのかわいい

お姫様じゃないのよ


だからその手で

触れないで

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