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詩イ殺ス。  作者: 八田硝子
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【君に捧ぐ愛のウタ】



この世界が欲しいなら

それくらいあげるから

どうか僕のものに



ほらね

こんなに汚れることすら

厭わないんだ


君の為に

流す血なら

いくらだって


ワガママばかり

欲しいものは

手に入れたい

君だから


そのために

なんだって奪える

僕がいる


そんなところで

笑ってないで

ご褒美のキスくらい

頂戴


まだまだ足りないなら

この世界くらい

壊してあげるから



この世界が欲しいなら

それくらいあげるから

どうか僕のものに

なってください


血塗れのプロポーズ

どうか答えてください







【3つの答え】



日本人の平均寿命は80歳程度である。



A・80年も生きられるのか



B・80年しか生きられないのか



C・80年も生きなければならないのか







【強い強い強い愛】



あのね

だから

そんなふうにね

強く抱き締めすぎるから

みんな潰れてしまうんだよ

聞き分けのない

子供みたいに

しがみつくけど

その腕の中で

愛するものは

悲鳴を上げて

絶命する


君の愛って

そうなんだよ

とても強いけど

強すぎて

殺してしまうんだ







【二人の世界】



ここは二人の世界

二人だけの世界

素敵ロマンチック



おまえがいなけりゃ

世界は我が物



お互いそう思っているから

なかなか動けずにいるよ



二人だけの世界

なんて美しい







【かくれんぼ】



かくれんぼするもの

この指とーまれ



あの子の消しゴム

かくれんぼ


あの子の教科書

かくれんぼ


あの子の上靴

かくれんぼ



もういいかい

まーだだよ



そしたらあの子が

かくれんぼ



もういいかい

まーだだよ



見つけてなんて

あげないよ







【いない世界】



小さな頃

自分がいない世界を想像して

怖くて眠れなかった




自分がいない世界を

望んで望んで

眠れない







【誰も知らない救世主】



この世の誰だって

私自身だって

死んでしまって

かまわなかったのに


あなたただ一人が

死んでしまうのが

許せなくて


私は未だ

世界を終わらせずにいるんだ




皆はもっとあなたに

感謝すべきだと想うよ







【ちぃぷ・らぶ】



愛をください

チープなのでいいのです

見栄えさえよければ

すぐに壊れたって


愛をください

ディープでなくていいのです

とりあえず今の

最悪な気分

晴らしたいだけ


「本物の愛」なんて高級品

不相応でしょう?

別にいいのです

偽物しか食べたことが無い



安っぽい

愛をください







【空行く君へ】



飛び立て君よ

翼もて

 

大空目指し

高く高く


一番高くを

極めたら



この手で打ち落としてあげよう



自由落下の

気分は如何






【脱け殻生活】



朝起きて

君を想って

朝飯喰って

君を想って

顔洗って

歯を磨いて

君を想って

君を想って

君を想って

君を想って

君を想って

君を想って

昼飯食べ損ねて

君を想って

君を想って

君を想って

君を想って

君を想って

君を想って

夕飯無理矢理流し込んで

君を想って

君を想って

風呂入って

君を想って

寝る

君を想って


君がいなくなってから







【無音の声】



ああ

今日も

誰ともしゃべらなかったな




心はこんなに

叫んでいるのに







【優しい君が嫌いだよ】



自分が痛むことばかり

気にしていたから

君も痛かったなんて

気付きもしなかった


僕は悪い奴なんだろうか


君はいつだって

僕が痛むのを心配して

自分が痛むそぶりなんて

見せもしなかった


優しさに

気付きもせずに


なんでだよ

なんで


いつの間に

僕より大きな

痛みを抱えて


僕より先に

いなくなるなんて


ひどいよ

僕はまた痛くなった


痛いよ

痛い







【濡れ羽色した】



屋根の上から

少女に語りかける



美しいね

お嬢さん

私と同じ色だ



何が?



問うた娘の衣は

薄紅で

ちいとも烏の黒じゃない



何、魂が、さ



少女は烏見上げ一言



そんなに美しく

黒くはないわ

もっと

汚れた色よ







【許されざる】



許すことが

美しいのだと

人としてあるべき姿だと

知ってはいるけれど




醜くても

人ではない何かに

なったとしても



あなたを許すことは

私にはできないから



許さないことで

自分を保てるから







【大人になるということ】



泣けば誰かが

なんとかしてくれた

幼い日々は

とうに過ぎ去って




もう私は

歩いていかなくては

涙が

止まらなくとも







【神様の神様】



みんなのお願いを

叶えてくださる

神様


では神様のお願いを

誰が叶えてくださるの?


誰も叶えてくださらないの?


とてもかわいそうなので

私が神様の神様に

なってあげる




さあ

跪いて

私を崇めなさい


神よ!







【世界の終わりに、僕は】



もし明日

世界が終わるのなら

僕は何をするのだろう



見たくない顔ばかりだから

家には居たくないな


会いに行きたいほど

好きな人もいない


どこか独りになれる場所

探すだろうな



最後に何か食べるかな?


いやきっと

お腹もすかないだろう


だってきっと

わくわくして

その瞬間を

待っているから



世界の終わりを見て死ねるなんて

とても素敵な死に方だよね







【賢い君は】



感情ぶつけて

傷つく度に

君は一つずつ

賢くなって


にこにこ笑いの奥に

本音押し込む技を覚える



誰かさんが

感情むき出しでいるのを見て

馬鹿にしてるくせに


もう馬鹿になれない自分に

いらだってにこにこ笑いで

涙流すんだね




賢くなるって

悲しいね







【俺たち妄想伝説】



殺したら

伝説になれるかな




死んだら

伝説になれるかな




ゲームの勇者様じゃあ

ないんだから







【ご連絡】



残念なお知らせです

君は社会不適合者です


実に残念なお知らせです

君は生存不適格者です


まことに残念なお知らせです

君はそれでも生きねばならぬ

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