出会い
「何してるの?」
艶やかな長い髪。小ぶりな唇。白い肌。その少女を構成するもの全てが、魅力的だった。
「・・・・・可愛い」
「かわっ・・そんなこと言っても、結婚してあげないんだからね!」
おっと、口に出してたみたいだ。ん?結婚?
「え、俺今結婚しようなんて、言った?」
「と、とにかく、結婚はダメ!」
「ええ・・・・・」
俺結婚しようなんて言ったかな?言ってない気がするんだよな。・・・・・てかちょっと赤くなった顔可愛い。スマホの待ち受けにしたい!
「・・・・えっと、取り敢えず自己紹介しよう。俺は清水晴斗。君は?」
「私は石田雪。よろしくね!」
「・・・えっと、よろしく」
「ところでどうして君はそんな所にいたの?」
「えっと、川を見に来たんだ。君は?」
「・・・・・・・・・・私も・・・・一緒かな?あと、雪って呼んで。私、固くるしいの嫌いなの。私も晴斗って呼ぶから。」
「わかったよ。雪」
「どうしたの?」
「ただ呼んだだけ」
「何それ。おっかしいの。」
なぜだろうこの子と喋っていると、空っぽの心が幸せで満たされていく。
「どうしたの?急に変な顔して。」
「別に。雪と話してると落ち着くなって」
「本当に?嬉しい」
雪は、本当に嬉しそうに、笑ってた。
俺って単純だな。さっきまで死のうと思ってたのに、可愛い娘と喋っただけで、今は、生きたいって思ってるんだから。
雪と出会わなかったら、今頃どうなっていたんだろう。飛び降りていたかな?それとも、怖くなって飛び降りなかったかな?まあ、どっちでもいいや。・・・・もしもなんて、ないんだから。
「私、そろそろ行くね。じゃあね、晴斗。またどこかで会えたらいいね!」
「じゃあね、雪。本当に会えたらいいね。」
彼女は、どこかへ歩いていった。
「俺も帰ろう」
俺の家も燃えたから、今日からは親戚の家に住まわせてもらう。確か、俺と同い年の女の子がいるって言ってたな。仲良くなれるといいな。
「こんにちわ。今日からお世話になります。」
「あら、晴斗君、大きくなったねえ。もう、・・・大丈夫なのかい?」
きっと、心の状態のことを言っているのだろう。
「昨日は、取り乱してすいませんでした。」
「いいのよ。皆、晴斗君の立場だったら、ああなってただろうから。」
叔母さんは、悲しそうに言った。それはそうだろう。姉を失ったんだから。
「そろそろ、あの子が帰ってくるころだと思うんだけどね。」
「ただいま~」
「あ、帰ってきたみたいだよ。」
「お母さん、え、・・・晴斗?」
「何で雪がここに?」
「それは、ここに住んでるからじゃない。晴斗こそ何で?」
「僕も、今日からここに住むからだよ。」
「「ええ!?」」