第3章 第25話
アディはいつものように少し口角を上げて、不的な笑みを浮かべながら見える化君のところまで歩いていく。
「よーし、いってみよー」
ノーマン先生のやる気のない合図と共にアディが魔力を込める。その魔力の色は紫、と言うには黒い。その色は黒紫色といった色かな•••なんか色に引っ張られてるかもしれないけど、禍々しさを感じる。
魔法陣がアディの魔力に満たされていく。でも、なんかこれ、おかしい?魔法陣がアディの魔力に反発してる?いや、アディの魔力が魔法陣に反発しているのか?ちょ、ちょっと待ってこれ、魔法陣が、魔法陣が崩壊するぞ!
魔法陣にアディの魔力が満たされんとする時、つんざく、ガラスが粉粉に割れるような音が教室に響き渡る。
魔法陣の崩壊音だ。
「あーあ、やっぱりこうなっちゃうかー。すみませんね先生、僕の魔力はちょっと特殊でして。相容れない他人の魔法があるとそれに反発しちゃうんですよ。しかも僕の意識関係なくね。申し訳ないです。この適性装置、無駄に、なっちゃいましたね」
魔力の反発?なんだそれ?基本的に魔法陣は器だ。その魔法陣の崩壊の要因が魔力なら、容量以上の魔力を注ぐことくらいしかこんな現象の原因は思いつかない。今さっきのはアディが大量に魔力を注いだように見えない。なのに魔法陣は崩壊した。容量に依存しているわけではない。本当にアディの魔力が嫌がって魔法陣を壊した?魔力自信に意志があるとでも言うのか?
教室は2連チャン全属性適性が出たときとは裏腹に静けさに包まれている。普通ではないこの状況に理解が追いついてない。
普通ではない•••一般枠で特撰クラスに入るって言うのは普通ではダメなのかもしれない。アディも何かしらを秘めているのだろう。それが恐らく、彼の強さの秘密だ。
「•••よし、まあこれで全員だな。一般枠のお前ら、中々面白いものを見せてくれたな。さすが一般枠から特撰クラスに入ってくるものは1味も2味も違うな。内部進学組のお前らも負けるなよー。みんなで切磋琢磨して強くなってくれ。よし!適性検査はおしまい!昼休憩だー」
うん。僕もいいものが見れた。オリビアも無事全属性適性の結果でよかった。だいぶ勉強して魔法に対しての理解を深めていたからね。適性は才能じゃない。理解力なんだよね。まあそれに対して向き不向きはあると思うけど。
アディの魔力については、昼休憩の時に色々聞いてみようかな。
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昼休憩を合図する鐘の音がなる。
僕たちはいつものように寮特製の昼ごはんを持って一般枠の3人で揃って中庭で食事をする。寒さが無くなってちょうど昼はポカポカと暖かく、自然を感じられて心地良くご飯が食べれる。この時間と空間が僕は好きだ。
さあ、今日のご飯はいつも通りサンドイッチ。今日はスパイスの効いたぴりっとしたチキンにしゃきしゃきのレタスとトマトを挟んだサンドイッチだ。量はボリューミーで満足度もいつも通り非常に高い。
ではいただきます。
うむ!チキンのスパイスが瑞々しい野菜たちによって際立てられ、しかしその瑞々しさで辛くなるだけでなく、甘みも加えられていてとてもハーモニー豊かだ。今日もうまうま、だ。
「ねぇアディ。魔力の反発ってなんなの?」
「ウィル君直球だね。もっとこう無駄な会話の寄り道とかしながら聞いてくると思って楽しみにしてたのに」
「魔法関連のことはどうしても気になるんだ。僕もこう、考えたんだけど、自分の興味の方が勝っちゃったよ。すまないね。秘密なら秘密でいいんだけど•••実のところ、どうなんだい?」
私、気になります。
「はぁ、まあウィル君は魔法バカと聞く。仕方ないね」
失礼な。勉強熱心といい給え。
「まあ秘密でもなんでもないから教えるよ」
わーい!
「あそこでも言ったけど、僕の魔力は僕の意思に反して気に入らない魔法陣は受け入れないんだよ。もっと気に入らなかったら今回みたいにその魔法陣と反発して魔法陣を壊しちゃうくらいにね。本当に、ただそれだけ。でも僕たちのレベルになると自らの魔力による魔法陣生成がほとんどでしょ?だから困ることはないし、みんなとの差もないんだ。本当にそれだけなんだよ。まあ特異体質ってやつだね」
良い無駄な機能だ、とアディは目を閉じて天を仰ぎ、自分に天性より備わっている無駄に酔いしれている。
ふうむ。そんなことがあると言われればそんなものなのかな?まあ、世の中には理解の範疇に及ばないことが数え切れないほどある。考えても仕方ないことのうちの1つなのだろう。新たな事実を知れたことを喜びに思おう。
「僕だってウィル君とオリビア君の全属性適性の方が気になるよ。しかも2人とも珍しい色の魔力だ。黄金色はその美しさから時々耳にするけど、白色は色自体に物珍しさは感じにくいけど、聞いたことがないね」
そうなんだ?今まで周りからもなんとも言われなかったからなんとも思わなかったけど。確かに聞いたこともないからそうなのかな?うむ、よくわからぬ。
「ウィルが言ってたけど適性は才能じゃないんだよ、アディ。適性は理解の深さなんだよ」
「ほう!それは実に興味深い!あまり考えてこなかったよ。結果として全属性の適性ならその理論は合ってるんだろうね。さすがウィル君、魔法バカなだけあるよ」
「馬鹿にしてる?」
そんなたわいもない話をいつも通りしてると、ある人物が近づいてくる。
「あ、王子様だ」
「これは、重要人物のお出ましだ」
アーサー殿下だ。
「楽しい会話のところ申し訳ないね。少し、ウィル君を借りていいかい?」
どうやら僕のことをきぼんぬらしい。




