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第3章 第20話

 冒険者ギルドは都市マドワキアの検問所の外、そしてその検問所のほぼ近くに位置していた。


 秘密の稽古場から検問所は遠く、この見た目でその道を行ったら目立つかなと思ったけど、あまり気にしなくてよかった。冒険者目線になると、意外にも街には全身を鎧で覆っていたりなどの冒険者らしき人物がまあまあいることに気づいたからだ。


 それで、ここが冒険者ギルドか•••。


 外観は主に石造り様で、3階建くらいの大きさ、無骨で派手に飾ってるわけではないけど、立派だな。


「さあ、行こうか」


 僕たちはギルドの扉を開ける。


 そこは、表すなら熱気に溢れる活気づいた場所だった。酒場のような印象もあり、中央の広場には大きないくつもの丸テーブルにそれぞれのテーブルに対して椅子がいくつも配置されており、そこにはこんな昼前にも関わらず飲んだくれている人がたくさんいる。そこでは大いに談話しあったり、ぱっと見で飲んでない人たちは次の受注についての作戦会議なのか真面目に話し合いが行われてたり、明らかに商業の人らしき人もいて冒険者と商談をしていたり、所々でトラブルが起きているのか怒号が聞こえてきたり、様々な光景が見受けられる。

 そして受注が貼り付けられている掲示板と思わしき付近には次の依頼を受けようと冒険者の群がりができている。

 人の身なりもそれぞれだ。高そうな防具に身を包み高貴な見た目の人もいれば、明らかにガラの悪そうな盗賊のような見た目の人もいる。人種も人間種だけでなく、亜人種なども見受けられる。


 色んな人たちがこの空間に存在し、忙しなく動き回っている。


 何も問わない、実力だけの社会だな。


「受付はあそこだな、行こう」


「すっごい賑わってるね。冒険者ギルドは賑やかな所なんだねー」


 僕たちは受付に向かう。受付には酔っ払った2、3 人の冒険者が受付嬢にうざ絡みをしている。受付嬢は慣れているのか、のらりくらりとその絡みを交わしている。


「すみま•••」


 いや、ここは舐められないように高圧的にいこう。


「すまない。冒険者になる手続きをしたいんだがいいか?」

 

「あー?」


「あ、冒険者の手続きですね。いいですよ、色々説明がありますので別室でご案内させていただきますね。ほら、お客さんですから机に戻ってくださいよ」


「シンリアちゃんよおーそれはないぜー。俺たちは今日結構な依頼頑張ったんだぜー?もっと労ってくれよー」

「仕事終わりはこのギルドの中でいっちばん綺麗なシンリアちゃんを酒飲みながら拝まねえとやってられねーのよ!」

「こんなあたかも家出してきましたみたいなガキらの相手なんて後回しでいいじゃん〜」


 いえいえ仕事ですので、と案内をしようとしてくれるシンリアという女性。確かに酔っ払い冒険者の言う通り綺麗な女性だ。街に歩いていたら男は一度は振り向くかもと言われてもおかしくはない。ていうか酔っ払いすぎでしょこの人たち。


「そのシンリアという方も仕事と言っているだろ。仕事をしていないと上から迷惑がかかるのは受付嬢だ。大人しく戻れ」


 場が、少し緊張感漂う。


「おお僕ちゃんたち生意気だね〜」

「酔いが覚めちまうじゃねぇーかよ」

「仮面とローブで隠してるつもりかも知れねえがそんな背格好どう見てもガキなんだよ。はぁーーたくよおーー、しょうがねえーなあ」


 酔っ払い冒険者のうちの1人が頭をボリボリとかいて持っている酒瓶を飲みながら僕たちの前に来る。


「シンリアちゃんの仕事を俺が手伝ってやるよ。お前らが冒険者でやっていけるかどうか()()()()()()よ」


「ヒャッハー!これは見物だぜ!」「お前もうそろそろゴールドランクなんだから手加減してやれよー」


「ちょ、ちょっと!そんなの私は頼んでないですよ!冒険者同士の争いは御法度です!」


「だから言ってんだろシンリアちゃん。こいつはまだ冒険者じゃねえ。それに足りるかどうか見てやるってことよ」


 シンリアちゃん後で褒めてよーーと他の2人も酔っ払ってハイってやつだ。それどころか、他の冒険者もどうしたどうした?と、面白いことが起きてると思って野次馬の如く集まってきた。だんだんとみんなも興奮してきてやっちまえ!殺せ!というヤジまで飛ぶ始末だ。


 オリビアはもうなんでもいいから早くしてーと言った感じだ。


 おらおらどうしたー?と受付嬢に絡んでいた酔っ払いどもは騒ぎ立てる。


 はあ。父様の言う通り冒険者っていうのは荒くれ者の集まり、血気盛ん、無法地帯ってやつだな。


 全くもって、()()()()()()


 僕は魔力を最大限にオンにする。魔力場の急激な干渉だ。


「ブグブグブグ」「う、うえぇ」「立て、ねえ•••」「え、エゲツネェ」


 対面していた酔っ払い冒険者だけでなく、どさどさと野次馬で集まっていた周りにいる冒険者も倒れていく。

 やっぱりこんなことするやつらはこれくらいで倒れるか。これじゃあどちらが評価する側かわからないね。


 •••なんか最近こんなことばっかりだな。


 でも、そのおかげか今日の魔力の起こし方はいつもよりいい感じになっていたぞ。魔力場の干渉が前よりも瞬間的なオンオフの急激な緩急がついた気がする。その影響か、急激な振れ幅に耐えられず、泡を吹いて失神するものまでいるほどだ。


 オリビアは1番近くでこの魔力場の干渉を何度も受けているために、もうこの変化には慣れてなんともなっていない。よしよし、これで僕らはとんでもない魔力を使い、そしてそれに耐えうる謎の冒険者に見えるだろう。いいアピールにはなったね。これで、これから誰が僕たちを子供と侮るだろうか。これだけ派手に強さを示せば大丈夫だろう。


「さて、シンリア嬢と言ったかな?冒険者の手続きをお願いしようか」

 

 服をバッとはためかせ、倒れている冒険者どもを無視して受付へ向かう。


「わ、わかりました•••。受付の横の部屋が応接室なので、そこに、入って待っていてください•••」


 朧げない足取りでシンリアさんは受付の奥に行ってしまう。近くにいたシンリアさんも多少魔力酔いの影響を受けているようだ。それでもなんとか仕事をやり遂げようとしている。おい、冒険者よりもよっぽどしっかりしてるじゃないか。



「それでは、説明を始めさせていただきますね」


 応接室に入りちょこんと席に座ってしばらく待っていると、息を整えたシンリアさんが説明に現れた。


「まず冒険者について、冒険者はいわゆる何でも屋です。各所の受注依頼をそれぞれ冒険者が受けて遂行するのです。それはソロでもパーティでも構いません。しかし、全ての依頼が受けられるわけでもありません。冒険者はランク制で、危険度が高い依頼などはそれぞれのランクで管理されていて、それぞれ受けられる依頼の限度があります」


「報酬はいいけどその分危険性が大きいものとか、重要性が高いものは高ランクじゃないと受けれないってことだよね」


 オリビアの言う通りで、ランクが依頼を受ける上で重要になってくる。そのランク昇格が障壁にならないよう舐められない様にこんな格好して、さっきも受付でどんぱっちやったんだよね。大丈夫かな?

 

「その通りです。ランクは主にルーキー、ブロンズ、シルバー、ゴールドランクに分かれます。このバッジがそのランクであることの証明です」


 おお、すごい。

 机に木製、銅製、銀製、金製の手のひら台のバッジが置かれる。それぞれツヤは消されており、模様などはなく、中々に渋い見た目をしている。


「でもこれ複製されるんじゃないの?どうやって本物ってわかるの?」


「これは特殊なバッジでして、初めに流した魔力のみしか反応しなくなる素材で構成されています。なので」


 シンリアさんが全てのバッジに魔力を通していく。


「ほう」

「わあ、綺麗だね•••」


 そこにはツヤが消されていたはずのバッジが、それぞれの色に輝き、その表にはマドワキアの象徴である獅子の紋章がシンリアさんの魔力で光浮かんでいる。


「こんな感じで特定の魔力に反応するのです。お2人も試してみてください。たぶん魔力が流れないと思うので」


 僕たちはそれぞれバッジをとって魔力を試しに流してみる。


 おお!すごい!魔力が流れないというか、全く受け付けられない。流れる気配すらもない。


「こうやって証明できるので安心してください。しかもその素材は冒険者ギルドでしか流通していませんので複製もできません。ちなみに、紋章はここマドワキア支部はマドワキアの象徴である獅子の紋章ですが、他に行くとまた違う紋章だったりしますよ」


 へえー、それは面白い。他の支部の証明バッジも見てみたいな。


「ここまでで何か質問はありますか?」


「それぞれのランクってどのくらいの冒険者割合なの?」


「正確にはわかりませんが、ルーキー、ブロンズ、シルバー、ゴールドの順で1割、5割、3割、1割くらいですかね?ルーキーはすぐにブロンズになれることと、ゴールドは一握りの人にしかなれないっていうのが特徴ですかね」


「なっるほどー。あれ、でも今さっき絡んできた酔っぱらいの人、もうすぐゴールドとか言ってたけど、あんな強さなものなの?」


「いえ、あれででもですね、一応ここら辺では最近めきめきと成長してきた冒険者パーティだったんですよ。正直実力はかなりあります。ですが•••魔力差であんな一方的に•••。あなた方になら、もう1つのランクを言ってもいいかもしれませんね」


 もう1つのランク?


「アンオブタナイトランク。ゴールドランクの上、このマドワキア連合王国全土で数人しかいない最高位ランク、です」


 ふむ。上には上がいるということだろう。まあ、そんなことより、


「シンリア嬢よ、ランクシステムのことは何となくわかった。して、俺たちのランクは何になるのだ?」


 結局、今の自分の立ち位置が重要だ。マニュアル通りに全員ルーキー始まりなのか、それともある程度の裁量で上から始めれるのか。


「それがですね•••」



 瞬間、応接室のドアが勢いよく開かられる。



「シンリア!!”魔物大挙襲来(スタンピード)”だ!!!今、レガテリア王国付近の荒野で発生したとの通達があった!!!!駆り出される冒険者を全員派遣だ!!!!!」


 とんでもなく焦って平常心じゃない職員の報告。ドアの向こうでも職員や冒険者たちが騒いでいるのがわかる。シンリアさんも突然の事態で頭が追いつけないのか、空いた口が塞がっていない。

 

 何だか、面白くなってきたじゃあないか。


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