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第3章 第18話 【無くなる名前】

「ウィルよ、いいことを聞く。それは当然持つ疑問であり、このマドワキアの強さについてよくでる話題だ」


 ふはは、と面白おかしそうに話す父様。


「結論、同じくらい強い、だな」


 まあ、それはそう、なんとなく、なんとなく、そんな気はしたけど•••。もっとこう、諸説あって欲しかった!


「すまんな、そのまんまで。私もどちらが素晴らしく、強く、逞しいか語って甲乙つけ難い、と言いたいところなのだが、武の国はマドワキアの防波堤だ。そして王立騎士団も国の矛となり盾となる。つまりどちらも強くなくてはならない。どちらも破られる想定はしていない壁でもある。それはその壁を破られてはいけないからだ。だから、その2つはどちらも同じくらい強い、が答えとなる」


「なるほどー。じゃあ、王様の専属騎士と師匠はどっちが強いの?」


 父様は武の国の元国王、それはつまり最強の矛•••!そして、王の専属騎士もまた最強の矛にして最強の盾•••!オリビアの父様に対しての認識は、ヴァルヴィデアの中では位が高くて、強さは最強のうちの1人くらいの認識だ。オリビア、それが実は父様は最強のうちの1人とかなんじゃあない。ヴァルヴィデアで()()なんだ。たぶんただの疑問なんだろうけど、グッジョブ•••オリビア!僕も聞きたかったところだッ。


「ふはははは!面白い質問だ!だが言ったであろうオリビア。()()()()()()()()()()()。それが答えだ!!」


 ふははははと愉快げに笑う父様。やっぱり、父様はそのレベルか。この国で、この連合王国の中で1番と言うこと。じゃあ僕も目指す強さはそこ•••いや、その先でなくてはならないのか。遠い、けど行けない場所じゃないって思ってる自分がいるな。


 ふっと僕も笑う。オリビアも感嘆しつつ、師匠には負けないよー!と意気込んでいる。父様はまた愉快げに笑う。さて、まだまだ修行だね。



 父様と別れ、僕とオリビアは寮に帰る前に少し、街を彷徨く。ギルド登録の打ち合わせをするためだ。

 

「とりあえずギルドに登録しに行かないといけないんだけど、どう言う感じで乗り込もうか?」


「師匠が言ってたのは舐められるって言うのと、ランク昇格に支障がでるかもってことだもんね。舐められるのはどうでもいいけど、先に進めないのは嫌だよねー」


 ランクが上がればもちろん高難易度の受注も受けれる。それは凶暴な魔物の討伐であったり、位の高い重要人物の用心棒であったり様々だ。上に行けば行くほど、経験の質の差がでるのは明確だ。だから、このランク昇格の差が出るのだけは無くしておきたい。


「うーーーん。どうしたものか•••」


 本当にどうしよう?


「まあなんでもない防具とか、なんならそこら辺のお土産屋みたいなところでお面みたいなの買ってもいいけどねー」


 そうだなあ•••とりあえずそれでなんとかしてみるかあ。

 あとは僕たちの武器かな?僕の手袋はなんとでもなるけど、純白の細剣ってそんな多くあるのだろうか?あってもオリビアの剣は見ればその質の良さからたぶんバレるだろうなあ。まあ、オリビアはみんなの前で使ったことないし、まだ帯剣しかしてないから冒険者のほうで”純白の細剣”を使ってもらおう。そして学校では隠すように布を巻いて帯剣してもらおう。学校で何かするときは基本、訓練用の木剣だしね。そんで、真剣を用いた訓練とか実習の時は、申し訳ないけど別の剣を使ってもらおう。オリビアは何というだろうか?


 早速ざっとオリビアに説明。


「っていうことでさ、オリビアの剣を使いわけるっていうのはどう?」


「賛成だよ」


 あら、即答。


「わたしもね、この剣はまだわたしには()()()()()()()()だと思ってたんだ。実力の120%以上の力が出てしまいそうになるんだ。だから使うなら、まずは学校じゃなくて、実戦がいいかな」


「なるほどね」


 オリビアの剣は良すぎるからなー。良すぎるが故に、加減ができない。魔力の親和性、身体強化のバフなどなど、僕も使うなら手抜きが許されない実戦で使いたいものだ。


 よしよし。だいぶ固まってきたぞ。後は冒険者の僕たちの()()を凝ったりして完成だな!仮面とか適当に買って、ギルドで登録だ!



「とまあ、こんな感じだな。オリビエはどうだ?」


「オリビエ?それがわたしの冒険者名なの?ていうかウィル喋り方どうしたの?俺とか言っちゃって。しかも声もなんでちょっと作ってるの?」


 僕たちは街の土産屋兼雑貨屋のようなお店に入り、適当な仮面を見つけにきた。

 色々な装飾がつけられた芸術的な仮面から木などで熊などに形作られた仮面やペイントをたくさん施された仮面など、たくさんのお面が売ってある。その中でも僕たちは、無地の何も書いてない、目だけが細く切り抜かれた仮面を選んだ。


「俺はウィルじゃない。この仮面をつけている時、俺に名前は、無い」


「大丈夫?」

 

 ふむ。オリビアはどうやら正直ものすぎるようだ。それがオリビアの可愛いところであり良いところでもある。なにもマイナスでは無い。なので、この面を被っているときは極力喋らないでいてもらおう。


 僕は仮面をとる。


「オリビア、これは雰囲気だ。僕たちは正体を明かしてはいけない謎の冒険者、ならその冒険者である時はいつもとは違う自分にならなければならない。そういう設定にハマり込もうという遊び心はないのかね?」


「えー。わからないことはないけど•••なんかハタから見てるとおかしく見えるよ?普通にはぐらかせば良いじゃん」


「ちっちっち。これはね」


 僕は仮面を再びつける。


「浪漫なのだよ」


 僕は顔を明かせない謎の冒険者。名は、無い。

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