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第3章 第16話

 父様と向かい合う。


 やはり、あの時の足がすくむ様な圧は今の父様からはない。ただ、もちろんの如く、父様に隙はなく、また父様の佇まいは僕の一挙一動を見逃さない様で、僕も攻めようがわからない。


 攻撃的な圧力に呑まれるのではなく、その父様の身構え自体に呑まれている。


 なんなんだ?これが歴戦の佇まいというのか?


 瞬間、父様の稽古用の双剣のうちの1つが僕の喉元に迫る。


「ッ!!!」


 僕は練習してる瞬間的な魔力のオンオフを試みる。一瞬の、わずかな父様の剣の緩み、咄嗟に僕は首を捻り父様の剣をぎりぎりで避ける。


 攻撃が、全くわからない•••!


 それから父様の猛攻が始まる。父様のスタイルは変わらない。ただ、その剣は異質だ。前と打って変わって、全てに置いて圧が乗っていない。だから全くどこに剣が来るかわからない。最大の経験から基づく究極の予想であるヴァルヴィデア流剣術の”未来視”と父様の魔力を追うことがなければ、目の前で剣を振るっているのにも関わらず、恐らくその剣に気づくことができないだろう。それほど存在が希薄な剣なのだ。だがその剣からは冷淡な殺気が乗せられている。


 不気味だ。不気味な剣だ。


 冷や汗が背中を伝う。それは父様の剣撃をなんとか凌いでいるというのもあるけど、父様の剣が怖いと、本能が反応している。切られるとか、殺されるとか、そんな恐怖じゃない。剣自体が理解不能で、存在自体が怖いのだ。

 

 ただ、僕だって防戦一方というわけにはいかない。希薄な剣撃を潜り抜け、僕も攻めに転じる!


 父様の双剣両方が通る()を見極める。袈裟斬り、そして逆の剣は何にでも反応できる様に予備として挟み込む様に構えられている————ここだ。


 身体強化のムラで父様の一瞬の隙をつき、父様の懐に入る。そのまま流れる様にその双剣の根本を両手刀で軽く弾き払う。父様の剣撃の軌道は中断される、が、別の剣撃の軌道に切り替わる。


 父様の攻めのレパートリーはえぐい。止まることがない。だからこそ、この希薄な剣撃はさらに脅威が増す。


 でも、この好機を見逃す僕じゃない。


 その切り替わる一瞬の間に、父様の身体に掌底を喰らわ————


「!?!?」


 ————気づいたら後ろの木までぶっ飛ばされていた。


「ゴフッ」


 遅れて、呼吸ができないくらいの衝撃が鳩尾付近に喰らっていたのだと、息を吹き返して気づく。


 な、何をされたんだ?


「ふははは、ウィルよ。今の私によく対抗してきたな。さすが、私を負かしたほどの”真”の到達者だ。うむ、やはり”真”の者との戦いは、死を覚悟をするほどの糧となる。そして、これで1勝1敗だな」


 やり返したぞ、と言わんばかりの笑みだ。父様、実の息子に対して大人気ないですよ。いや、これはそんなのを関係なしに僕を認めてくれているのか。そんなことよりも。


「なにを、したんですか•••?」


 最後の、全くわからなかったぞ。


「ウィルがその感想なら私の仕上がりも順調だな。今教えるのはオリビアに悪い。フィードバックは2人まとめてだ」


 まじでなんだったんだ?オリビアと父様との稽古中に考察だ。



 それから、オリビアの健闘虚しくも父様が1本をとった。


「オリビア、また上に登ったな。さらに自分の型を形にしつつある。もう”真”の領域まであと少しだな」


 そういう父様。外から見てたけど、やばい。今の父様は異次元の強さだ。実力がどれだけ距離が空いているかわからないほどの差がある。強さの、得体が知れなさすぎる。父様に勝ったことが嘘の様だ。

 

「復習にかかろうか。ウィル、今の私はどうだ?」


「全く、強さがわかりません。強さの質が掴めないというか•••」


 正直に答える。まじでわかんない。でも、思うことはある。


「ただ、常に意識の裏側にいるような、そんな感じがします。父様の存在自体を把握することが難しいような•••」


「それわたしも思った!師匠の剣どころか、師匠が目の前にいることも見落としそうになるくらいだよ」


 どうやらオリビアも同じ感想の様だ。


「うむ、いい感性だ。お前たちは非常に筋がいい。今までしっかりと研鑽を積んだ証だな。今となってはお前たちは私の1番弟子たち、強さを共有するのも師の役目というもの。この考え方は言うなれば、”虚実”の考え方だな」

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