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引き篭り王子の魔法研究〜みんなのために頑張りたいと思います〜  作者: fine


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第二章 第一話 【弟子】

僕たちが追放されたやってきたのは中央王国の辺境である村、ホグン村である。

ここは母様の遠い親戚が農家をしているところでもあり、その伝手で現在はこの村に住んでいる。

周りは自然豊かで森や草原や透き通った川などの広大な土地が広がっており、今は父様と共に狩や畑仕事などをこなして生活している。とても情緒ある田舎生活である。

最初は引き篭もりの影響で畑仕事のあとは全損筋肉痛になり悲鳴をあげていた僕だったが、徐々に体も慣れ、そんな日々の生活に落ち着いた今日、僕は父様に頼み事をした。


「稽古をつけて欲しい?」


「だめでしょうか?」


僕はあの時から力を求めていた。でもそれは暴力的な力じゃなくて、どんなことが起きても何からでもみんなを守れる、そんな力を。

父様は剣鬼と呼ばれるだけあって剣の力量は遥か高みに存在する。そしてその剣術は僕も王国にいるときにまだ教わっていなかったヴァルヴィデア王国に代々伝えられるヴァルヴィデア流剣術と聞く。是非とも僕はその剣術を習得したい。


「なるほど、いい目をしているな。力に溺れぬ、決意を決めている目だ」


 父様が優しい目で、僕を見る。


「いいだろう!ウィルもまた私の息子、王国のときにはまだ教えていなかったヴァルヴィデア流剣術をお前に教え込む!」


「ありがとうございます!!」


こうして、僕と父様の稽古が始まった。





家から少し歩いたところにある開けた新地に父様と僕用の木剣を持って移動した。


「まずはそうだな、私はウィルの力が知りたい。だから本気で魔術の手加減なく、俺に挑んでこい」


「父様?それはどういう••••」


「身体強化の魔法を最大にして私に挑んでこいといっているのだ。心配か?大丈夫だぞ?これでも私は剣鬼と言われた男だからな」


父様はそう言ってニッと笑った。

僕だって魔力量なら自信があるんだぞ?と少し自分の力を誇示してしまいそうになるほど父様はまあ一杯どう?みたいなテンションで言ってくる。

だったら僕だって、


「どうなってもしりませんからね?」


やってやろうじゃないか。


正面に向かい合う僕と父様。

父様は片手で木剣を持ち半身正眼の構えをとっている。たとえ木剣でも片手で楽々と持っていることからその素の膂力が窺える。

対して僕は諸手での正眼の構えをとる。


僕たちはいつの間にか言葉は無くなり、2人の間には新地に吹く風の音だけが走っている。そして、風が止み緊張感ある静寂が訪れる。

その瞬間に僕は身体強化を最大に自らに施し魔力の浮き沈みも爆発させる。

その魔力の振れ幅に父様は不意を突かれたような顔をする。あの”龍”の事件のときに思いついた魔力酔いを使った猫騙しだ。

そして一瞬で父様の後ろに回り込みその首を木剣で捉える、


「甘いな」


はずだった。


「、、、っ!!」


ぴたり、と。

僕の首元には父様の木剣の切先がまるで初めからそこにあったかのように当てられていた。

当てられているのは木剣なのにまるでこれ以上進んだら切り刻まれてしまうんじゃないかという想像をしてしまう。流れるはずのない切先からの血が首元を辿っている感覚さえ湧き出てくる。


「ウィルよ、本当にお前の魔力量と魔法の練度は格別だな。私が魔力酔いを起こすなんてこの剣を握り戦場に幾度となく出陣してきたが対人でも対魔でも起きたことなどなかった。だが、私の意識の上を乗り越えるとはな•••しかし、やはりまだ子供だな」


父様は感心したように言うが魔力酔いを精神論で覆しているように言う父様の方が明らかに規格外だ。しかも魔力酔いと言うが僕にはちょっとびっくりしたくらいにしか思えない。化け物とはこう言う人のことを言うんじゃないのか?


「ぐ、、完全に父様の虚をついたはずですが?」


「ああ、完全に虚をつかれたよ。隙も見せてしまった。完全なる不意打ちであり予想外をくらった。だから、お前は私の後ろをとったのだろう?」


••••なるほど。


「そう言うことも想定しているし、その時の対処も考えていたのですね」


「そうだ。だから私は今しがたお前のことを子供だと言ったんだ。虚をついた、よかった作戦通り、で終わりなんだ。そうじゃあない。果たしてその作戦は相手は考えていないか?予想外のときに相手はどうするか?その時自分はどこまで策をもっているか?そこまで考えて初めて戦えるんだ。ウィルよ、勝って兜の緒を締めるんだ。お前はまだ自分の考えが思い通りにいって喜んで満足している子供だ」


ぐうの音も出ない正論だ。


「確かに私は魔法の面ではお前には敵わない。そこは素直に称賛だ。だが、それでもお前は今ミスを犯し確実に死んだ。だが、訓練とはそう言うものだ。本番につなげなければ意味がない。それをこの歳で知り、体感し、実践できることは伸び代しかない。私はお前の将来がひどく楽しみだ!」


父様••••


僕は、父様が僕の父様でよかったと心から思った。こんなに僕に厳しく、そして認めてくれる親はそういるだろうか。僕は父様の全てを吸収したいと思った。


「父様、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願います!」


「死ぬ気でついてこいよ?」


にかっと心から笑う父様を見てヴァレッドさんの王の職務をやめてよかったと言う言葉を思い出した。そりゃこんな豪快な人なら書類仕事は似合わないし、こんな強い人に死ぬまで訓練に付き合ってくれるなら一生訓練に付き添って欲しいまである。確かにヴァレッドさんのいう通り、やめることでよかったと思える。


「よろしくお願いします!!」


僕は改めて父様の”弟子”となった。

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