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第二章 五十五話


 よし。

 “基礎勉学”の試験は参考書通りの系統で問題なく解けたと思う。僕はケアレスミスがないか念のために何周か吟味して間違いがないかを確かめる。うん、大丈夫。


 そして1科目めの時間の終了を告げる鐘の音が学校に鳴り響く。


「はい、終了だー。みんな答案用紙を前に送れー」


 あれ、そこは人力なんだ。と心の中で突っ込めるくらいの余裕はある。

 まあ一箇所のものを配るより散り散りになった物を全てかき集める方がとてつもなく労力を要するし、一気に収集するとかそんな魔法はあるんだろうか?と冷静に分析できるくらいの遊び心も残っている。


 ふううう。深呼吸深呼吸。このまま何事もなく難なく行くぞ。


「じゃあ30分休憩して次は”魔法分野”の筆記試験だからなー。25分後には席についておくように」



「では。”魔法分野”筆記、始め」


 鐘の音とともに2科目めが始まる。

 “魔法分野”の筆記•••僕は問題に目を通していく。これも参考書の系統と一緒だ。よく筆記問題を勉強していて良かった。作戦通りこの筆記を詰めてなかったら合格はまずあり得ないだろう。それほど過去の問題と傾向が似ているのだ。でも、まだ油断はならない。それだけこの筆記については少しのミスも許されないからだ。


 僕は問題をしっかり読み解き、解答を記載していく。よし。魔法分野、僕の得意というか好きな分野でもあって滞りなく解けていく。問題も標準問題だしここは大丈夫だろうと言う自信にもなる。だからこそ凡ミスだけは避けなくてはいけない。吟味重要吟味重要。


 ん?


 最後の設問に差し掛かった時に今までにはない系統の問題がある。


『あなたの得意な魔法を書け』


 どう言う、意味だろう?自分の得意な魔法について語ればいいのか、得意な魔法の系統について書けばいいのか。しかも余白は1ページまるまる。何を書けばいいのか、なんならなんとでもとれる問題だ。


 自己PR型の問題、なのだろうか。


 僕は何を書けばいいか、悩んでしまう。得意な魔法ってなんだ?どれもこれも僕の魔法は改良中だからなあ•••それとも哲学的な話なのか?

 やばい、沼に嵌っているような気がする•••いや待てよ。僕がずっと使ってきていて得意かどうかはわからないけど出題者を試す的な意味でもできそうな魔法があるにはある。なんだが答えのないような問題だしどうせなら採点的にどう判断すればいいのかわからないようなびっくり解答をしてやろう。そうすれば0点にはならないはずだし。


 僕はこの解答に魔法の説明とかではなく、()()()()()()()()()()()


 余白も大きくありちょうどのサイズだった。まあ他の”魔法分野”の筆記の問題はあっている自信あるしこの設問で0点でなければこの科目の筆記は大丈夫でしょう。


 それから最後の確認で何回か吟味していると終了を告げる鐘の音が鳴り響く。


 ふー、よし。2科目め終了だ。


 終了した今、時刻は昼前。昼休みが与えられて午後から”魔法分野”の実技と自己PR型の”実技”の時間だ。これは休憩なく受験者が個々に順番に呼ばれ、別室で行われる。実質始まれば試験が終わりだ。


 実技は筆記と違って記憶を辿り、知識としてアウトプットし、解答を考えて構築するといった労力に比べれば少し反射的な部分が多くなるはずだ。だから後はパッションで、思いっきりやって試験終了だ。

 


 昼休憩。


 僕はオリビアと校舎の中庭で昼ごはんを食べている。昼ごはんは宿泊所で提供された普通のサンドイッチだ。試験の緊張感もあり味はあんまり感じないし空腹感もあまりない。でもとりあえず栄養補給って感じだ。


「ウィルはさ、今さっきの最後の設問なんて書いた?」


「あの得意な魔法かけってやつ?」


「そうそう」


 オリビアもあの問題を気になっていたようだ。


「僕は今まで使ってきてた魔法の魔法陣を描いたよ。説明とかはなしで」


「えええ。結構尖ったことしてない?」


 え、そうかな?ちょっと不安になってきたぞ。


「いや、なんか書く余白も多かったからさ。出題者をびっくりさせようと思って描いたんだけど、やばかったかな?」


「やばくはないと思うけど、自己PR型の設問と思うからみんな自分がこれだけ凄いんだぞっていうふうに書くんじゃないかなって」


 凄さ的には僕も負けてないものを描いたと思うんだけど•••やばい冷静になってくるとめっちゃ不安になってきた。大丈夫でしょうとか何分か前に言ってた自分を叱ってやりたい。試験に魔物が潜んでいるってのは冷静な判断がてきなくなるって事なのか?


「お、オリビアはなんて書いたの?」


 とりあえず話題を逸そう。


「わたしは改良した初級魔法の魔法陣1つとその改良したことについて書いたよ」


「あ、へー。なるほど。確かにそんな感じで書けば魔法も改良してるし改良するために至った考え方も持ってるぜってアピールできるのか」


 目から鱗、さすがオリビア。優秀だ。


「•••ウィルって時々なんか突き抜けたことするよね。ねえ、わたしウィルと学校行きたいんだからちゃんと受かってよ?実技含めたらウィルは絶対大丈夫なんだから。実技、ちょっと派手くらいにしてもいいんじゃない?」


 オリビアがずずずいっと僕に詰め寄る。うう、僕だってオリビアと通いたいよ•••。

 オリビアの顔をちらっとみる。僕に詰め寄っていることからか眉間に皺がよりジト目になっている。今日もお目目が大きく、その綺麗なまつ毛が長い。いつも通り可愛いオリビアだ。その不変さに癒させる。


「オリビアを見るとなんだか安心するよ、午後からも頑張れそう」


 オリビアがばっと離れる。そのまま俯きがちにサンドイッチをもぐもぐと食べる。

 あれ、なんか不機嫌にさせちゃったかな?


「ウィルの馬鹿」


 あれーー??

 

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