第二章 四十九話
「ウィルよ、実の父にそう怪しげな顔をするな。この人のアドバイスは本当?みたいな疑心暗鬼な顔を向けるでない。父だって傷つくこともある」
「ウィル、わからないこともないけどお父さんも考えあっての事よ。王になったほどの人なんだからいくら脳筋と言えど馬鹿なことはしないわ」
は
「ちょ、ちょっと母さん•••」
尻にひかれる父様、夫婦仲が良い証拠だ。じゃなくて、確かに父様ほどの脳筋であろうとも何かそういう理由があるはすだ。父様が今まで生きてきて感じた何かがあるのだろう。どういうことなんだろ?
「どんな学校であろうと、例えそれが最高峰の王立学校であろうと、皆が皆ウィルのように達観した考えを持っているわけではない。どんな優秀な能力があろうとやはりみんな子供であることに変わりはない。言葉では表せない事がある。感情で語り合う事がある。そういう時に拳で語り合わなければわからない事があるんだ」
至極、真っ当だ。父様の言うことはよくわかる。僕のことを父様は評価してくれているようだけど、僕だって言葉で伝わらない事があった時にどう言う風に伝えればいいかわからないことだらけだ。
「言葉で伝え様がわからない時、その人の考え方に向き合うためには喧嘩であろうと買わなければわからない、ってことですね」
「うむ」
相手のことをわかろうと思ったら喧嘩であろうとなんだろうと受け入れなくてはならない。相手と直接会わなければわからない、それが対話であるかもしれないし、拳であるかもしれない•••伝え方は千差万別だものね。
「大人はもっと厄介でね、言葉を伝えれるけど、なかなか自分の心情を曲げる事ができなくなるの。だからね、言ってもわからないなら実力行使でってなることがある。だから大人社会になっても結局戦いはなくならないわ」
大人になればなるほど、長く生きれば生きるほど自分の考えは確立していく。だから大人同士は曲げれない気持ちと気持ち、心情と心情、自分の信念と信念のぶつかり合いになっちゃうってわけか。
「それも含めて今からぶつかり合い、喧嘩であっても受け止めてってことですね。そしてその後どうするか、大人になったときのためにも学ばなければですね」
学校って勉強だけじゃないことも学べるところだ。人との付き合い方、相手の意見の受け方、意見の伝え方、物事の捉え方、人生観、たくさん教わり、学ぶ事がある。それだけでも学校へ行く理由になる。
「やはり、ウィルは聡いな。うむ、安心だ!」
いやー、今日はいい日だとぐびぐびと父様はエールを流し込む。母様がまだ朝なんだからほどほどにね、と宥める。
「学校•••楽しみだ!」
ところで、オリビアはどうするのだろうか?
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「僕は今後やっぱり学校に行こうかと思うんだけど、そのー、オリビアは今後どうするの?」
オリビアが今後どうするか聞きに、僕はオリビアの家に来てみた。ここまで共に切磋琢磨したオリビア、よければこのままオリビアと一緒に学校でも切磋琢磨していきたい。
「もちろん、わたしもウィルと一緒に学校に行くよ」
オリビア即答である。
「ほんと!?やったー!僕もオリビアと一緒にいきたくてさ!いやー、これまでオリビアと頑張ってきたじゃん?だからこれからも一緒にいたいなって。本当に嬉しいよ、オリビア」
ゴホッゴホッとオリビアが咳き込む。喉に何か詰まったのかな?
「ん゛ん゛。ふー、よし」
咳払いをして調子を整えるオリビア。なんだか不意をつかれたけど平静を装ってるような仕草で可愛い。
「ていうかなんでウィルは急にそう思ったの?」
「えーと、父様と母様がね。なんだか色々と忙しくなりそうみたいで、ここから引っ越すかもしれないってなったんだ。だからいい機会かなあと思って、父様と母様の元を離れて学校に行こうかなって」
「まあ、もうそう言う時期よね•••わたしも、ウィルたちのおかげで”力”に関してはだいぶ自分のものにできてきたと思っているの。後は自分の見聞を広げたいと思ってる。だからわたしもウィルが行くならその時期なのかなって」
おお、よしよし。オリビアがいればとてつもなく心強い。
「ちなみにどこに行く予定なの?」
「もちろん、目指すはてっぺん!王立中等学校だ!!」
「え!?王立!?いける!?わたしたち!?あそこ超超超、超難関だよ!?!?」
学校は都市にある都立や、その他にも王国から支持されてその地域の領主によって作られている学校や教会などによってボランティアで作られている学校などがある。その中での王立は、その名の通りマドワキア王の直下の学校だ。そして王と名がつく故に学校の質を落とさないために王立の学校はマドワキアの都市に1つずつしかない。そしてその小中高等学校はまとめて1箇所にある。正しくトップオブザトップ小中高等学校なのだ。
「オリビア、僕たちは今年で9歳だ。中等学校への受験に1年間猶予がある」
「でもあそこ、ほとんど貴族しか行かないようなところだよ?わたしたち大丈夫なの?」
「大丈夫。あそこには”一般枠”がある。たださらに超狭き門だ。つまり•••」
オリビアがごくり、と唾を飲み込む。
「この1年間、死ぬほど勉強しよう!!!」




