第二章 第三十一話
「まあざっと私の話はこんな感じかしらね」
母様はやんちゃな魔法師だったんだなあ。でもその知識は当時の理論の詰め合わせだったと言うことだ。その理論値を叩き出した魔法を実戦でつかえるだけでも母様の魔法師としての技量の高さがわかる。
「まあ、私も魔法のことはわかるわよって感じかな。ちゃんと論文やニュースについてもみてるしね」
え!?
「母様、その論文とかってどうやってみてるんですか??」
「普通に購読してるのよ?あら、ウィルに見せたことなかったかしら?」
ないですないです!
ぶんぶんと首を振って否定する。
「ウィルもてっきり色んなところから情報を仕入れているのかと思ってたわ。また今度貸してあげるわ」
やったーーーー!!!なんやかんや独自で走ってきたから世の中の魔法の理論とか未だにつかみきれてないんだよね。くっくっく、これで捗る!
「ウィル、魔法のこともいいが剣の方も頼むぞ。ヴァルヴィデアからはまだ何もないが、そろそろ動きがあってもおかしくない頃だ。叔父はめんどくさがりだが、めんどくさがりゆえに下準備は誰よりも入念にかける。すぐとは言わないが、それもそろそろ時期な気もする。私の勘だがな」
父様の勘は、あたる。脳筋故に流れに敏感なのだ。考える前に体が反応する。父様が言っていたある意味でのヴァルヴィデア流派の”未来視”だろう。
「はい、父様。もちろんですよ!」
とは言ってみたものの明らかに伸び悩んでるのは確かだ。こればかりは考えても仕方ないと思おう。もう父様との稽古や狩りなどの実戦で何かを掴むしかない。
「まぁでも今日はたくさんの話をしたな」
「そうね。誰かを招いてお食事なんて久しぶりだものね。お母さんも女の子といっぱい喋れて楽しかったわ」
1家バラバラとなり新しい生活は父様と母様もだいぶストレスがかかったと思う。その中で知り合いができることは少しは気が楽になったのではないだろうか。
こういうときふと考えてしまう。今頃、ロード兄様とシャーリー姉様は何をしているんだろうか、と。
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その後。
母様に借りた魔法の論文を見ていると最大の魔法陣重積数は15重と知った。いま僕が試そうとしているのは20重魔法陣だ。
••••よし、見なかったことにしよう。
たぶん安定しているのは15重魔法陣であり無理矢理となるともっと上に行くのだろう、と思おう。僕はそっと新たに作った寝るだけで魔力増幅ルーティン用の空の20重魔法陣を展開し魔力を垂れ流した。




