第二章 第二十九話 【魔法師の母】
ふわっと。金色の魔力がオリビアの身体を包む。
うん、すごいスムーズに魔力を使えてるし魔法文字列も崩れていない。父様との訓練を思い出しながら適切な身体強化のタイミングなどを図ることを想像しながらやっているのかな?具体的シチュエーションを想定しながらの魔法練習、だからすぐに使えるようになったのだろう。さすがオリビアだ、オリビアの勤勉さが伺える。
「いいねオリビア。たぶんその感じだと戦闘で使い物になると思うよ」
「うん、だいぶ感覚が掴めてきたかな?あとは訓練で使っていくしかないね!でもさ、ウィルの”駆け巡る身体強化”はどうするの?」
「”駆け巡る身体強化”は説明するのがちょっと難しいんだ。うーん、なんていうか説明しても自分の身体じゃないからイメージしづらいっていうか•••。今の身体強化を使っていると父様との訓練に限界が来ると思う。そこで初めてイメージが振り切って自分の身体の使い方を知って、”駆け巡る身体強化”に辿り着くと思うよ」
血管を駆け巡るっていうのが僕のイメージだけど、それは血流に乗せるというイメージが僕の中にあったからだ。父様は筋力1つ1つに染み込ませるようにって言ってたから、これは本当に自分の筋肉を知った上で行き着く先なんだと思う。まあ、血流に乗せるっていうのは全て一緒だと思うけど結果をわからないとこれは過程を想像できないと思うんだよなぁ。
「わかった。ウィルがそこまで言うなら言葉だけじゃ説明できない要因あるんだね。オッケー!わたしはとりあえずまだ自分の身体の限界も知れてないし、まだまだわからないことだらけだから今は頑張るのみだねっ」
ふー、と身体強化の魔法を解きオリビアは1呼吸おく。
「他の魔法は、まずは身体強化の練度を高めてから教えるね」
今のオリビアに近道なのは身体強化の魔法をマスターすることだ。
「•••言っとくけどその”駆け巡る身体強化”ってやつも身体強化の魔法の最奥の魔法だからね?まあでも、子供でその領域に辿り着くのは多くはないけど少なくもないわね。ウィルの言う通り感覚の問題だからか、有名な騎士や格闘家、武闘派の貴族の子供達は結構早い段階で使えてるような気がするわ。だからきっとオリビアも諦めずに今の訓練を続ければ習得できるわよ。頑張って」
母様もオリビアを応援してくれる。オリビアはニコッと笑い応えてくれる。うんうん、オリビアがいるだけで家の中がきらきらだ。可愛い+笑顔=正義の完璧で究極の方程式が見えるぜ。
「まあ、今日はこんなところかしらね。外もうっすら暗くなってきたし、ここら辺が村の土地といえどもオリビアの家まで林とかあるしそろそろ帰る準備をしましょうか」
コンコンと扉を叩く音がする。
「ちょうどですね、母様。オリビア迎えがきたよ」
今日はありがとうございましたとオリビアの両親が迎えにきた。父様も察したのか挨拶に現れてちょっとした雑談をしてから解散となった。
「ウィル、いっぱい練習しておくからね」
帰り際にオリビアが僕に言った言葉。ふふ、オリビアは本当に努力家だな。僕も負けちゃあられない。魔法の話を久しぶりにして僕も魔法欲がふつふつと湧いてきたぞ。よーし、今日は魔法についてしっかり練り込んでいくぞおおおお。
「さて、ウィル。私のことについて教えてあげるわ。時間はあるかしら?」
心の中でめらめらと魔法欲を燃やしていると母様が自分についていろいろと教えてくださるようだ。
そういえば父様が母様は結構やり手な魔法使いだったと言ってたっけ?確かに、その話はだいぶ気になるぞ•••魔法についてはいつでもできるし、母様について聞いてからでも全然問題ない。
「大丈夫ですよ!母様はどんな魔法師だったんですか?」
「お、母さんの話か!母さんは結構すごかったんだぞー」
オリビア一家を見送り父様も会話に参加する。おお、父様目線の母様もみれるのか、これは楽しみだ。




