第二章 二十八話
「す、すごい、すごいよウィル!なんかわかんないけどウィルの魔法は綺麗だね!全部の魔力が抜けなく使われてるみたいで・・・」
!!!
「いいところに気づくじゃないか、オリビア君!!魔法を使う時に魔力が溢れ出ることを溢出現象って言うんだけど、僕はこの溢れ出る魔力が勿体無いと思ってね、全部溢れ出さないように心がけているんだ。わかってもらえるなんて嬉しいよ」
「一応まだ溢出現象が大きい方がすごいって認知だからね、世の中は」
母様がはあ、もうこの魔法オタクはって顔で説明する。それは驚愕なのだろうか、呆れなのだろうか。
「ふふ、ウィルがやってることの凄さを尊敬してるのよ」
母様!なんてフォローも優しいんだ・・・
「なるほど、わたしもスムーズな魔法になるように頑張る!ねえねえ、今さっきの魔法の発現ってどうやるの?」
「ごめんオリビア、話が逸れたね。まず、さっきやったのは紙にあらかじめ書いた文字列に対して魔力を通したでしょ?今度はその文字列自体を自分の魔力で作るんだ」
こんな感じでね、と言って僕は魔力で空中に身体魔法の文字列を書く。
「えええ、なにそれ!」
「これはね、魔力を通す時に魔力が体外に出るのを利用してその感覚で文字列を書くって感じ。でも書くっていう感じだと遅いからイメージでもはや魔法を発現させるって感じだね」
僕も言っててよくわからないけど、この違いはもう慣れていくしかないと思う。
「言ってることはなんとなくわかるけど・・・確かに魔力自体でかけば魔力はもう通ってるわけだからすぐに発現するわけだ。その微妙な差は1分1秒を争う場面ではとても重要になってくるね」
「そうそう、そうやって昔の人は考えたらしいよ。無茶苦茶だけどすごい効率的だよね。考えた人は天才に違いないよ」
歴代の偉人たちのその時代では絵空事だと言われていたことが知識と技術の上で成り立ち、現代では日常になっていることに身を置いていることはとてもなんていうか、こう、グッと感情的な気持ちになるよね。
「じゃあいっぱい覚えなきゃいけない魔法があるわけだあ。やっぱり強くなるのに近道はないんだね!色々頑張るぞーー」
両拳を作り、ふんすっと意気込んでいるオリビア。可愛い。尊い。そしてオリビアの意気込みは本物だとわかるから、とても尊敬する。
僕はこんなに切磋琢磨できる同世代の子にあえて嬉しいよ。一緒に頑張ろう、オリビア。
「でも、ウィルはさ、訓練の時もっと血管が這うみたいに身体強化の魔法発現してない?あれは何か違うの?」
「おおお、そうそう!実は身体強化の魔法はさらに上があるんだ」
そう、それが最終段階。
「魔力で魔法文字列を書いて発現させるのは一般的。でもこの身体強化のイメージは体表面に発現して漠然と身体能力が上がる感じなんだ。でも、そこから達人の武闘家が自然と到達し発現させてるやり方、体を駆け巡る身体強化魔法がある」
僕はこの身体強化の魔法にたどり着いたのは、筋肉の線維1つ1つをイメージして身体強化をしようと試みたときだった。筋肉に染み込ませるように身体強化をするにはどうしたらいいか?僕は考えた。突き詰めて突き詰めて行くと、そうだ!血流に身体強化の魔法文字列を流すように発現させれば筋肉の線維1本1本どころか細胞まで強化されるに違いない!!と試行錯誤してやってみたら行き着いた。きたあああああと感動していたが父様もなんか自然とできていたらしい。達人は違うなあと思ったけど、やっぱり身体強化の弱点、そして行き着く先は個々の深部までの強化になるのだろう。そういう部分に考えついたということは僕の感性はこのままで大丈夫なんだろうと後押しをされた気分になった。
「とりあえずオリビアは魔力での魔法文字列の描出からの魔法発現!その後に駆け巡る身体強化だ!」
「うん、そうだね!まずは1歩目をしっかりしないとね」




