第二章 二十六話
「ウィル、これはお母さんのただの質問なんだけど、それは”根源的文字列”ではないのよね?」
「あ、それ父様にも聞かれましたけど違いますよ。違う文字列なのに同じ効果なんですよ、僕が見つけたのは。なので”根源的文字列”は更にその共通点やもっと根本的な深さのなにかだと思ってます。」
「2人とも難し過ぎるよーーーー」
オリビアが何度目かのオーバーヒートをする。
「大丈夫、オリビア。”根源的文字列”っていうのは僕が見つけた4大元素の素の素みたいなものだよ。それ1つでさっき言った系統の本質を表す効果を持っている全ての生みの親みたいな文字列だよ。たぶん」
本当は素の素の素の素の素の素の素の素の素の素の素の素の素くらいだけど。
「おぉ。そう言われるとわかった気がするかも!今日学ぶこといっぱい!帰ったら学んだことまとめよ〜」
「あらごめんねオリビア、気が利かなくて。メモする紙とペンがなかったわね」
「ううん、いいよ!ありがとうウィルのお母さん、ちゃんと頭に入って持ち帰るから大丈夫!」
「まあまあ、良い子ねオリビア。でもたぶん魔法の説明の時に使うと思うから持ってくるわね」
えへへ、と笑うオリビア。うん、それ結構すごいこと言ってるよオリビアさん?
オリビアは本当に頭がいい。僕なんてうんうん唸って何年間もかけて言語化できたというのに。普段は元気っ子だけど、接してきて理解力、記憶力といった基本のスペックは遥かに高い気がする。
「よし、ということでオリビア、これが魔法のはじめってやつだ。4大元素の使い方、役割、そしてその細分化。これらがまずは魔法のさわりってこと。でもこれから話すのはさっそく例外で無属性魔法について。そしてその使用方法だッ」
「無属性魔法?でも、いよいよだね!」
オリビアのやる気は充分。あれ?というかオリビアって魔力の操作できるのかな?
「ところで初歩の初歩なんだけどオリビアって魔力の操作できるの?」
「うん。あんまり実際に使ったことはないけど魔力を通せるくらいのことはできるよ」
まぁ、それはそっか。8歳にもなれば普通に使う時もあるし、そこら辺は大丈夫ならオッケー。
「じゃあ後は使って練度を上げていくだけだね!まずは父様が言ってた身体強化の魔法だね。身体強化っていうのはさっそくだけど、今さっきの4大元素の魔法から外れていてこれはただの個々に作用する魔法なんだ。何かがなければ発現しない魔法、だからそういう魔法たちは4大元素の魔法ではなくて、無属性魔法っていう一括りになるよ。これが無属性魔法だね」
「ふむふむ。4大元素の発現は事象の発現だけど無属性魔法は何か対象がないとダメってことなんだね。あ、だから身体強化は自分を対象にした無属性魔法ってことだね!」
うんうん、理解はやくて助かる。別に理解レベルが高すぎて動揺してはいないよ。
「完璧だねオリビア。じゃあ理論的なことは一旦置いといて早速、身体強化の魔法をしようか。母様、紙とペン借りるね」
僕は身体強化の魔法の文字列を母様が持ってきてくれた紙に書きあげる。
「オリビア、身体強化の魔法は単純だ。素の能力を、筋肉の質を単純に押し上げる魔法だ。だから魔法陣のような複雑な術式ではないからこんな感じの文字列だけ。それで鋼のような肉体であったり人外の速さに身体能力を押し上げれる。とてもコスパの良い魔法と言える。でもだからこそ、インファイトでは複雑や魔法を使うより身体強化の練度の差がとても重要になってくる。だからまず最初に覚える魔法は身体強化なんだ」
それは重要だね、とうんうんと頷いて文字列を眺めるオリビア。
さて、まずは第一段階、”ただの用意された文字列に魔力を通す”だ。




