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第二章 十九話

 オリビアから僅かながら怒りを感じる。

 

「ひどい。魔法で生活が豊かになればそれでいいじゃない」


「オリビア•••」


「優しいのね、オリビア。その感性は絶対に大切にしなさい。でもね、最初は戦いといっても狩りをするために攻撃魔法や罠魔法について研究されたわ。攻撃魔法と言ってもびっくりさせたりとか、罠と言っても土が盛り上がってこけたりとか、誘導したりとか。でもそこからだんだん威力の高い魔法が開発されたりして最終的には人同士の戦にも用いられるようになったの」


「そんなの、ダメだよ!みんな仲良くしなきゃ、ダメだよ•••」


 オリビアは悔しそうに語気を弱めていく。オリビアはわかっているんだ。今の自分にはそんな大事を成す力はないと。だから行き場のない怒りは悔しさに変わっていってるのだろう。オリビアの悔しさには僕も同感だ。僕だって知っている人全員を()()()戦いたちの様に傷ついてほしくない。でも僕も”真”にすら到達してないのに、まだそんな力はない。もし、何か大きな戦いが起きたら、今ですらヴァルヴィデア王国は不安定と父様は言っていたのに•••僕はみんなを守れるだろうか。


 僕はいつのまにか唇を痛くなるほど噛み締めていたことに気づく。


「ふふ、すごい才能の塊であるあなたたちがいたら優しい将来が安泰ね。お母さんはそのとき自慢しちゃっていいかしら?」


 母様•••。


 母様は、いつも勇気をくれる言葉をくれる。僕たちの将来を疑っていない、信頼している強い支えを沿えてくれる。


「ウィルのお母さん•••私、お父さんお母さんだけじゃない。みんなのために頑張りたい」


 オリビアの目が覚悟の目に染まる。おいおいオリビアさんよ、それは僕の目標でもあるんだぜ?


「大きく出たね、オリビア。でもその大船、僕も乗っているからね?」


 オリビアと僕は見つめ合う。そしてお互い笑って拳と拳をぶつける。一緒に頑張ろうぜ、でもお前には負けないっていうやつだ。ありがとう母様、お互い前向きになれたし何よりも絆が深まった気がしたよ。母様には助けてもらってばかりだ。


「よし、2人ともいつもより一層なんだか逞しくなったわね。じゃあ話の続きいくわよ」


 母様はにこっと笑う。くぅ。もう陽はほとんどくれてるのに笑顔が眩しいぜ。父様、本当にいい母と結婚しましたね。ちょっと今後のためにもまた改めて母様との馴れ初めを聞こうと。


「それでね。賢者・マルディの時代はまだ今のマドワキア連合王国や帝国なんかの大国はなかったの。でもこの魔法の発見とその発展で人々は協力し、そして争い、いろんな事を巻き込んでいった時代になっていったわ。それで様々な小さい村や国が合わさっていって今の大国たちが出来上がっていったの。ちなみに賢者・マルディンは帝国出生となってるわね。帝国もそれにあやかって賢者・マルディン像とか建てられてるわよ」


 へえー。なるほど、そうやってここらへんの国はできてきたのね。それにしても賢者・マルディン像か。それは一回見てみたいなあ。ただヴァルヴィデア王国と帝国は睨めっこしてるって聞いたし、お国柄行けるのかな?

 

 あれ、この世界には人類を大きく分けると人間種、亜人種、魔族種がいて他には普通の動物とか魔物とか後は例外で龍種なんかが幅広くいる。今となってはなんとも思わない事柄だけどそれは魔法があるわけで、亜人種はわかるけど魔族種とか魔族ってなんなの?


「母様、亜人っていうのはわかるんですけど魔族とか魔物って昔から存在したんですか?」


「いい質問ねウィル。じゃあちょっと寄り道して次はこの世界の生きとし生けるものについて説明しましょうか!」

 

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