第二章 十八話
「魔力が見つかったのは魔法を発現する文字列が見つかったときと同じ時なの」
あ、ここら辺からはなんとなくわかるかも。歴史上の人の名前とかはなんか曖昧だったけど魔法の理論なんかは好きだからよく調べたなあ。
「オリビアのいう通り魔法を発現させるには魔力が必要よ。賢者・マルディンが魔法を発現する文字列を見つけた際、マルディンの魔力が使われて魔法が発現したの。だからよく考えたらわかる流れなんだけど、言ってみればただ単に魔力が使われて魔法が発現したってだけのことで、その初めてが賢者・マルディンだったってことね」
母様は今まで喋ってきた口を潤わすために紅茶を嗜む。なんというかすごい気品に満ち溢れている。元王妃だからだろうか、いや、これは母様の本来のものだろう。オリビアも魔法の話に食い気味になってたけど、母様の紅茶を飲む姿にも目をきらきらさせながら食い気味に見ている。
オリビアも真似しようと紅茶をもって1つ1つ大袈裟な動作をして飲む。
ノンノンノン、オリビア。母様の気品というのはマナーじゃあない。堂々とした所作と何よりも姿勢の良さなのだよ。まず風格とは自分を卑下せず、全面的に自分のやりたいことを魅せることが重要なのではないかと思う。そしてそれは態度がでかいというわけではない。その中に慎ましさもあるのだ。堂々たる所作と慎ましさが混在することでより自分という個性が際立つのだ。ようは自分の魅せ方である。マナーは統一的でだれでも不快にさせない所作にしかならない。そこに感動するその人自体の美学ははあまり感じ取れない。しかし、自分の魅せ方を貫いている人は姿勢が悪くても様になったりする。そして母様はそこにとんでもない背筋の通った良い姿勢があるので気品に繋がるのだ。オリビアよ、気品道の道のりは長いぞ。
もちろん僕は引きこもりだったので披露会の時までのお子様マナーセットだ。あれ?母様を見て育ってきたのにおかしいな。
僕は心の中でちょっと悲しみ、オリビアと共に気品を身につけていく協定を勝手に結んでおくことにした。
「それでね、まずは生活を充実させようと魔法の研究は進んだわ。火をつけたり、水を出したり、風を吹かせたり、土を盛り上がらせたり。そうやって生活に基づく魔法がまず進んでいったの。だから現在の魔法を構成する4大元素は火、水、風、土で構成されてるのよ」
あ、へえー。そんな歴史の流れがあったんだ。てっきり4大元素はポッと出てきてそういうものなんだと思ってた。
オリビアもなるほどなるほどと頷いている。
「それでね、最初は生活にとっての魔法がいっぱい研究されて今となっては当たり前になった様なものもたくさん発明されてきたわ。特にこのランプなんてそうね。火をつける魔法の発見から、持続的に魔力を貯めれる魔法石の発見、そしてそれを合わせてボタンひとつであかりがつくランプ。言ってみれば簡単だけど、こういう今となっては当たり前のものをそのときはたくさんの研究とたくさんの試行錯誤で作り上げてきたの」
「すごい•••魔法ってなんていうか、すごいだね!」
オリビアが魔法に、魔法の可能性に惚けている。
うむうむ、そうなんだオリビア。魔法にはたくさんの可能性があるんだ。僕も最初はなんとなくで魔法と向き合っていたよ。でもそうやっていくうちにどんどん魔法の奥深さに嵌っていって、もはや取り憑かれていたのかもしれないけど、いつしか魔法のことしか考えなくなったもんなあ。今は色々あったから自分の修行のことで頭一杯だけど、ある程度落ち着いたら色々考えてる魔法のことについてしっかり取り掛かりたいな。でも、オリビア。魔法は可能性であり破滅でもあることを知らなければならない。
「母様、魔法はそのあとどうなったのでしょうか?」
僕は母様に尋ねる。
「そうね、その後魔法はね。その便利さから戦いに用いられるようになったの」
昔は生活を中心に組み立てられていた魔法が、現代の魔法に攻撃魔法があることはそれだけその分野も研究され開発されたとういうこと。いつも便利なものは、いつも都合よく利用されるのである。




