第二章 第十六話
ということで晩御飯は父様、母様に加えてオリビアと一緒に食べることになった。どうしてこうなった。
今日仕留めた新鮮な大熊を捌くと予想以上に食べられる肉が多く、いつもみたく父様が他の村人にお裾分けしに行き帰ってくるとオリビアも着いてきたという流れだ。どういう流れ?
お裾分けしている間に母様が食事の準備をしており、父様とオリビアが来た時には準備が整っていたので現在、そのままみんなで食事をしているということだ。
「美味しそー!熊の手って食べたことない!ウィルのお母さんってなんでも作れるんだね!」
!!
わかってるじゃあないか、オリビア。母様はなんでもできる。
「あら、オリビアちゃん、いいこと言ってくれるわね!遠慮せずいっぱい食べてね」
母様もとても上機嫌だ。
「そう、僕の母様は世界一だ。ではなく、なんでオリビアがいるんですか父様?」
「うん?オリビアのヴァルヴィデア流剣術もしっかりとしたものになってきてな。そろそろ私の稽古様のスタイルをも超えそうでな、まあぶっちゃけた話オリビアも免許皆伝の段階にきていてな」
まじ!?オリビア、凄すぎる!剣を握り始めて1年しか経ってないのにもうその域に達し始めているのか!
「オリビアすごくない!?」
「本当に、1年前に剣を初めて握ったとは思えんよ」
「えっへん!」
オリビアは母さんと料理の話をしながらそれぞれの料理を食べ比べし舌を唸らせていたが、僕たちの話を聞き自慢げに胸を張る。100点満点の仕草だ。あざと可愛い!
「そこでだな。オリビアはまだ身体強化を使ってないから、さすがにそれはもしもの本番では不利だろ?だからいい機会と思ってそれを含めた魔法について軽く教えてほしくてな。今日は稽古もないし、ご飯でも食べながらと思って向こうのご両親とも相談して今に至るってわけだ。だから教えってもらっていいかウィル、母さん?」
母様?
「なんだウィル、なにか疑問か?」
「いえ、母様が魔法についてなにかしているところあんまり見てないので意外だなと思いまして」
「ウィル知らないのか?オリビアがいるから噛み砕いて言うが、母さんは結構やり手な魔法師だぞ?」
え!?そうなの!?
「母様!?」
「えーと、ごめんね、ウィル。ウィルたらどんどんよくわからない理論とか仮説とか考えることができてたから私の力はいらないかなって思ってあまり喋らなかったのよね」
うふふと笑う母様。う、魔法のこと教えてもらってもよかったのにとちょっと拗ねる反面、僕の考えを肯定してくれてたんだね。母様、自由に育ててくれててありがとう・・・少し、複雑の気持ち!
「まあ母さんの話はまたおいおい話してやろう。そんなこんなでオリビアのこと頼む。私は魔法に関してはからっきしだからな」
父様は明らかに剣技に能力を全振りだ。魔法を習わなくてもお釣りが来るくらいの剣術の能力がある。一国の王でもあったということは、国を守れるほどの剣技があったと言うことだ。だからこそ父様は魔法を極める必要はなかった。別に父様は魔力量が少ないわけではない。なんなら平均よりかは確実に多くある。でも戦闘に必要な最低限の魔法しか習得していない。それは自分の剣技に圧倒的な信頼があるからだ。つまり、父様は魔法を全然見向きもしなかったのだ。魔法に関しては本当に概要を知ってるくらいなのだろう。だから父様は僕らに任せた。適材適所とういうわけだ。
「魔法教えてくれるの?」
オリビアが聞いてくる。
やばい、魔法について語るとなると熱くなる気しかしない。僕は自分でも自覚しているが魔法オタクだ。魔法のことをついついと考えてしまう。僕の8年間の物心ついた時からほとんどは魔法と向き合ってたわけで、それはもはや対話であり、時には反りが合わなく、時には黙って寄り添っているような、なんというか、友達と言っても過言ではない存在だ。父様には限定的な固定魔法についてご指示して貰おうと思ったからその熱量は限定的に収まったが、果たして魔法の説明となるとどうなるのだろうか。
うむ、爆発しても仕方あるまあいよ。
「オリビア、今日は寝かせないよ」
「? ありがとう!」
オリビアは僕の”熱量”を理解できなかったのか最初はてな、となるがそんなこんなをひっくるめて受け止めてくれたようだ。
「私もいるからねウィル?」
父様と母様はなんかきゃーとか騒いでちょっと顔を赤らめておろおろしている。
なんかそんな変なこと言ったかな?
「はい?もちろんですよ?母様と一緒に魔法について存分に語り合いましょう!」
こうしてオリビアに対する魔法講習塾が開催された。




