第二章 第十四話
「4大元素の細分化?」
父様はさらに疑問が深まった顔をする。そんなに一般的なことじゃないのかな?僕の知識はあの引き篭もり期間の限られた本でしかないからその後はほとんど独学なんだけど、そういう僕が考えるようなことは誰かが考えていて、もう一般的なことなのかと思ってたけど、え?違うの?
「父様、まず4大元素は火・風・水・土で成り立っていますね?」
「あぁ、それは一般教養の範疇だな」
「この4大元素を主軸に魔法が構成されて行きます。では一体何を持ってその4大元素は魔法の主軸になりえるのでしようか?」
そう、僕は火だから燃えて攻撃的な魔法になる、風だから風を吹かし物を動かすとかの固定概念がどうしても性に合わなかった。火だから、風だからなんで?という疑問に陥ったのだ。そして極め付けは水の魔法の派生で回復魔法が使えるというのがある。もはや僕の魔法の考え方の点と点は線では繋がらずに孤立してしまった。だから火だからではなく、何を持って火に成し得たのかを考えたのだ。
「ふむ。つまり?」
「火は燃えて攻撃的な魔法を構成できるとされています。でもこの”燃えて攻撃的な魔法”って一体なんなんでしょうか?そこで僕は火とは、力の源である熱量、つまりエネルギーを生み出す系統という位置付けで考えてみました。さらに火系統の魔法を分析していくと一定の文字列がありました。それは色んな表現方法であったり色んな表現のされ方をしていたんですが、全て効果はほぼ同じでした。そしてその効果とは魔力をある力に変えることだったんです!」
そう、これが火系統の攻撃的な魔法たる所以であったのだ。でもその文字列はあくまで魔力を力に変えるだけ。つまりなにか他に方向づけがないとただエネルギーがそこにできて発散してしまう、それだけでは何も意味をなさない文字列。
「その文字列に”形”や”燃える”と言ったいわゆる方向づけが加われば初級魔法”炎球”になるのです!」
このなんでもない文字列は僕が寝て起きるだけで魔力が高まるルーティンで使ってる魔法にも利用されている。その文字列を干渉させあってただただ魔力を吸い取る魔法となっているのだ。それにしてもこれを見つけた時僕は衝撃を受けた。僕が本で学んだ魔法は基本的に典型魔法文字列というのを組み込んで魔法を構築するとされていた。基本的に文字列は決まっていたのだ。その文字列をさらに分解して魔法を読み解いたのが今回の細分化というわけだ。魔法はとても複雑に見えて案外にも規則正しく並んでいる美しい学問であったと同時に、その深淵たる基礎を垣間見え、感じた瞬間だった。さらに言えば”形”や燃えるといった”状態”に関する文字列が存在するということは、それは魔道具などに利用されている付与にも繋がると言うわけだ。しかし文字列にも付与できるものや現象としてしか発現しないものもあり、ただ並べるだけでいいというわけではないけど、いやあ魔法って奥が深すぎ。でもそれに血が沸いて肉が踊っちゃうんだよね!
「・・・」
僕が恍惚な表情をしていると父様がドン引きしていた。
やばい、魔法について聞かれたことないし、魔法について誰かに語ったことないからすごいテンション上がってしもうた。父様、僕はあなたの血のつながった実の息子ですよ?そんな遠い目をしないでください。
「つまり、4大元素の根源的文字列に近いものを使っていると言うことか?」
「それぽくいうとそんな感じです」
なんか流れで肯定しちゃったけど根源的文字列って、聞いたことはあるけど、なんか本の片隅に載ってたような・・・
「ウィル、たしかに昔と比べて魔法の解明は進んできた。現在の魔法は多く文字列を干渉させ文字列は長く、そして多い文字列で魔法を発現させる風潮だ。そしてそれをまた干渉させあってできたのが今の魔法陣だ。しかし、ウィルの言うように魔法とはもっと奥が深く、そしてもっと単純なもので支えられているのではないかと言う学者もいた。文字列がさらに細かくなりさらに根源的に明瞭化した文字列をそのまま根源的文字列と名づけ、それを探すことが魔法学の発展とする派閥もある」
!!
そうだ。根源的文字列は魔法の最も奥をあらわす文字列。
「父様、確かに聞くだけならそれに近しいものと思われるかもしれませんが、そんな大層なことではありません、、、。あくまでこれは共通する文字列であり、またそれがたまたま同じ効果を示しているだけに過ぎないのです。その同じ効果を示している何かが根源的文字列と僕は思ってます。残念ながら僕もその先があると思い試行錯誤しましたが未だに試行錯誤の段階です、、、」
そう、僕が見つけたのは所詮共通の文字列。そしてそれを工夫しただけに過ぎない。だから僕が使う魔法はそんな大それたものではないのだ。
「すまん。しかしウィルの話を聞くとどうしてもそれを想像してしまってな。魔法は奥が深いな」
「はい!そうなんですよ!っと、違いましたね。今は熊に使った魔法でしたね。すみません、父様。ついつい熱くなって色んなことを喋ってしまいました」
「いや、構わん。とても興味深い話だった。また聞かせてくれ。それで、あの魔法は風の魔法か?」
「さすが父様です!そうです、あれは風の魔法をアレンジしたものです」
「1風靡いたからな。でもどのように作用してるかわからん」
捗る!捗るよ父様!!父様の純なる疑問の合いの手が魔法を語るのに捗るよ!!!
「父様、それはですね、風を細分化してわかったことは風の領域は物に対して方向量を与えると言ったのがわかったのです!」




