第二章 八話
父様とオリビアとの稽古が始まり月日が経った時、いつものように朝ご飯を食べに起きると父様が険しい顔で新聞を見ていた。
「どうしたんですか父様?」
ちなみに今日はパンとスクランブルエッグだ。そのまま食べてよし、卵をパンに挟んで食べてよしという組み合わせ技もありながらシンプル故に味も朝、昼、晩全てにおいてカバー可能な広い利便性の面も持つ相性最強の効果抜群の朝ご飯だ。
そんな朝ごはんにも関わらずに険しい顔をしている父様、もしかしてお腹でも痛いのかな?
「いや、ヴァルヴィデア王国のことが載っていてな」
おっと、これはだいぶ真面目な感じだ。
「ど、どうされたんです?」
「新国王は私の叔父がなったようだ。前国王の兄だな。ウィルも確か何回かあったことがあるよな?」
「はい、わかります。おじさんってみんなで呼んでた人ですよね?」
父様の叔父さん、つまり僕の爺様の兄弟。僕の爺様は早くに亡くなった。その後はヴァレッドさんが言う通りにその時1番強かった父様が国王に選ばれた。ではなぜおじさんは国王の候補にならなかったのか?強さは父様くらいに強く、なによりも頭がとても賢かったらしい。爺様もよくおじさんにはその知恵を借りたと言う。それなのになぜ?それは単純明快でただ単に超面倒くさがりだったからだ。そして自分でなんでもできるしなんでもそつ無くこなせれる、だからこそおじさんは自分が王になる資格はないとも言っていた、気がする。あれ?それならなんで今なったんだろう。しかも今60歳くらいじゃなかったっけ。
「でも父様、ヴァルヴィデアはなんでそんなに王が決まるのに時間がかかったのですか?しかもおじさんって超めんどくさがり屋であんなに自分は王の資格はないとか言ってませんでしたっけ?」
「あれだけの被害を受けたからな。ヴァルヴィデアの復興にはまあ1年ちょっとかかっても不思議ではない。しかも”血の披露会”の後ということもあってきな臭くてな、その復興の間の牽引役を無欲な叔父に頼んだんだ。そしてそこからそのまま国王になったんだろう。でもそこが問題だ」
「あの無欲なおじさんがそのまま国王にならざる得ない状況だった、ということですね、、、」
「うむ。ウィルはわかりが早くて、なんというか、本当に聡明だな。助かる。いったい誰に似たのやら」
「あなたじゃないってことは私かしらね、ふふ。なんだか物騒な話をしてるわね」
そう言って家事を終えた母様がやってくる。みんなが揃ったところでとりあえずいただきますをする。
うん。やっぱり、母様の料理は今日もぴかいちだ。うまい。
「母さん、あのまま叔父が国王になったらしい。どう思う?」
「うーん、やっぱり一連して何かしら仕組まれてたのだと思うわ。あの叔父様が国王になることはないと思うし、でもその叔父様が判断して国王の座についたということは相当何かが裏で動いていたと見ていいと思うの。そしてそれが叔父様のメッセージでもあると思うわ」
なるほど、そんなおじさんだからこそ国王になったことで分かる人には分かるということを伝えてるんだな・・・でも一体誰が?なんのために?
「一体どういう目的なんですかね?」
パンをちぎり、その上にスクランブルエッグを乗せもそもそと食べる。
「そこまではわかっていないらしいが、ヴァルヴィデアの近くにある帝国絡みが妥当であるとは思うが、、、。でも一概には言えない。帝国ではなくまた別の勢力かもしれんし、マドワキア全体の内部的な問題かもしれない。もしかすると将来的に私に声がかかるかもしれない、、、。ウィル、時間がいつ途切れるかわからんくなった今、稽古を少しばかり切り詰めてやるぞ。私の全てを叩き込んでやる。代々ヴァルヴィデアは身体の出来上がりを考慮して高等教育が終わる頃に”真” に至れるように稽古をしていた。もちろん天才と言われるものたちはそれ以前に至れたものもいる。ちなみに私は10歳で至った。ウィルよ、私を超えれるか?」
「はい父様」
僕はいつでもやる覚悟はできている。
「僕も守られる側ではなく、守る側になれるように頑張ります!」
そう、僕は誓ったのだ。誰からでも守れるそんな力をもった人間になると。みんなのために頑張ると。
「無理はしないでね、ウィル」
優しい母様を悲しませたくはない。強い父の後ろではなく横に立ちたい。僕は一層強くなるために力を入れ、まずは食事と思い目の前のご飯をガツガツモリモリ食べる。
「うぐっ!?」
勢いよく咽せるのであった。
「はは、ウィル。時間はないとは言ったが、何事も焦らずだぞ」
食卓に笑顔が戻り、今日が始まるのであった。




