第3章 第60話 【結果発表】
「明日いつ稽古する?」
僕とオリビアはいつもの稽古を終えて明日の予定を確認しようとする。
「え、ウィル明日あれだよ?」
あれとはなんぞ?むむ、なんかあったっけ。待ってなんかあった気がする。あ!
「あれか!」
期末トーナメントの出場者が張り出される日だ!
うわあ、ちょっと緊張するなあ。多分大丈夫だと思うけど結果を見るまでは安心できない性なのかもしれない。
「なんか、緊張するよね!」
オリビアも同じ気持ちみたい。
「だから、明日はみんな大丈夫だったら打ち上げとかあるんじゃないのかな?」
「確かに!それは楽しそうだね」
「まあ誰かが落ちたら、その時は粛々と稽古しよ」
うわ、なんか別の緊張感も出てきたぞ。
▽
発表当日。
「うわあ緊張するぅ」「みんなで行くのは嫌だったんだけどな•••」「いいじゃないか、俺たちはみんな1つで頑張ってきたんだから、散るも散らぬも関係ないさ」「いや、俺は自分だけ落ちたらきまじーよ」
一緒に勉強してきたみんなで学校へ向かう途中。それぞれが不安を口にする。
「なんだかわたしも緊張してきたよウィルっ」
オリビアもそわそわしている。
みんなの気持ちも十分わかる。僕だって緊張している。結果が伴わなければ、惜しいなんて言葉は言い訳にしかならない。それをみんな十分にわかっているからこその緊張感だ。そしてそれだけ、みんなが本気になっていることがわかる。
学校に近づくにつれ、緊張感がピークに達してくる。そしてなんだか周りの空気もぴりついている気がする。
そんなこともお構いなく、中等学校の門の前に、結果が張られているであろう大きなボードが建てられている。
「うわあ見たくないかも!」「あほか!」「でもわかるわかるですぞおお」
なんか僕もそわそわしてきたよ!
しかしそんなことをしても前には進めない。みんなで顔を見合わせて意を決して見てみる。
そこにはズラッと生徒の名前が64名書かれている。
わかりやすいように特撰クラス、A、B、C、Dクラスの順に大会へ出場できる生徒の名前が書いてある。
僕らは•••••あった!
「ウィル!あったよ!」
オリビアはぴょんぴょん飛び跳ねて僕の背中をばしばし叩いてくる。よかったぁーーー。僕も安心したよーーー。
よくみると特撰クラスは全員の名前が書いていた。しかも僕ら以外来てないってことは、自分たちは期末トーナメントに行けることに確信を持っているのだろう。こればかりは流石としかいいようがない。僕もまだまだ頑張らなくちゃ。
と、他のみんなは————他のみんなは掲示板に釘付けになっている。ど、どっちだ?
「あっ••••た」
「え?」
「あった!あったよ!ウィル!期末トーナメントに行けるよおおおお」
1人が僕に抱きついてくる、というかもはや泣きついて来ている。
「俺も!俺もある!」「待て待て待て俺の名前もあるぞおおお!!」
ちょ、ちょっと、と思うまもなくそれを皮切りに他のみんなも押し寄せてくる。僕はもみくちゃにされてもう何が何だかわからなくなって来た。
落胆したものは誰もいない。ここにいるオリビア以外の勉強を共にして来た全員が僕に押し寄せて来ている。つまり、
「みんなでトーナメント出場ってことだね!」
そう言うこと!
うわああああと声にならない声でみんなが喜んでいる。他のみんなから騒ぎすぎて白い目で見られているし、また変な噂立ちそうだし、ていうかみんなも目をつけられるんじゃないの?とか思うことはいっぱいあるけど、何よりも————本当に良かった。今はこの喜びに溺れよう。うん、本当に押しつぶされて溺れそうだけど。
▽
「ありがとうウィル。勉強は努力ということを思い知ったよ」「誰かが勉強していればそれを上回る努力をするだけってことがわかった」「実戦はこうは行かないんだろうけどな•••」「でもここまで来れたのはウィルのおかげだよ。ありがとう、ウィル」
ある程度もみくちゃにされてから、みんなが落ち着きを取り戻す。僕は僕と言う原型を留めているのだろうか?とりあえずは結果が貼られている校門から離れた場所に移動する。
それで、みんな僕に感謝の意を示してくれてるけどそれは違うぜ。
「それは違うよみんな。僕はみんなを手伝ったにすぎないよ。結局はやるかやらないかは本人次第だよ。だから、最後までやり切ったのはみんな自身。僕のおかげとかじゃない。みんなの成果だよ。ね、オリビア」
「うん!みんなが頑張った結果だよ!」
ばちこりとオリビアの笑顔がみんなに刺さる。
「オリビア姉さん•••」「尊い•••!尊すぎる•••!!」「俺、やること決まったよ•••」
みんながオリビアの眩しさにやられてしまった。最後呟いた君は一体なにを決めたんだい?変なことはよしてくれよ。
「どうする?とりあえずみんなで出場決めたし仮祝いみたいなのする?」
「いや、やめておくよ。ここまで来たら俺らも最後まで走り抜く」
みんなの熱意が伝わってくる。僕も心の奥底が熱くなるのを感じる。
「ほんで、勝っても負けても、終わったらみんなで打ち上げをしよう。よければウィルたちも来てくれないか?」
僕とオリビアは顔を見合わせる。そんなの答えは決まっている。
「もちろん!」
よーし、僕らも最後まで稽古で強くなれるところまで強くなろう!
▽
余談であるが、その後にオリビアファンクラブが秘密裏に設立された。やることが決まったといった君が設立したらしい。おいおい、これが君のやることだったのかいな。けしからんな。もちろん、僕も入会しました。




