第3章 第59話
冒険者ギルドへ夕方前に着いた。
とりあえずシンリアさんにブラッディベア討伐について報告する。
「シンリア嬢、ブラッディベアなんとかしておいたぞ」
「ありがとうございます。レガテリアから連絡が来ておりました。しかもブラッディベアクイーン率いる群れだったんですよね•••すみません、クエスト内容が間違ってまして•••冒険者を危険に晒すようなことをしてしまいました•••」
レガテリアから連絡が来てたのか、群れだったことに驚いていたのと、クエスト内容が違っていたことを謝ってくれる。
緊急クエストだしそんなものじゃないのかな?
「そう謝るな。有事だったんだ。むしろ人を派遣しないともっと甚大な被害が出ていた。あの時では最善の情報と手配だったぞ」
「わたしたちが直ぐに駆けつけれるようにしてくれてありがとう。シンリアさんが直ぐに知らせてくれたおかげだよ」
「ムメイさん、オリビエさん•••」
まあ、こういう命の駆け引きをしている仕事を扱っていると、気が憂うことも続いてくることもあるだろう。しかも、今は各地でネームドが発生しているという。ギルド側もしんどい時期だ。心なしか、ギルド内のいつも騒いでいる冒険者達の雰囲気もしんどそうだ。試験があるから僕たちは3週間ほど関与できないけど、情報だけは時折ちゃんと入れておこう。
「ところで、ブラッディベア討伐のお金が送られてると聞いたが、貰えるか?」
「はい!届いてますよ。今回は群れで、またブラッディベアクイーンもいましたから結構良い値段になってますよ。確か、200ゴールドです!」
ホワタ!?
「それ桁間違ってるんじゃ、ないの?」
オリビアさんもドン引きだ。
「いえ、これくらいにはなると思いますよ。ネームドクイーンが率いる群れは大被害になりかねません。その被害を止めれたのなら、これくらいの報酬であってもおかしくないです。まあでも、本当はレイドで戦うような内容ですので、本当はここから山分けなんですけどね」
さすがアンオブタナイトランクです、と微笑んでくれるシンリアさん。
「報酬は10ゴールドでいい。あとは全部冒険者ギルドで使ってくれ」
「え!?どう言うことですか!?」
「今慌ただしいだろ?ギルドにとったら少ないかもしれないが、これからも今の状況が続くと入り用が必要になってくるだろ?俺たちは少しギルドに立ち寄れないからその間の手間賃だと思ってくれ。なに、俺たちはランク優待でお金について困ることはない」
オリビアに聞かずに事を進めたけどよかったかな。オリビアの方を見てみる。オリビアは仮面でわからないけど、小声でグッジョブと言ってくれた。オリビアも同じような考えだったみたい。よかったよかった。
報酬の件でてんやわんやしているシンリアさんが、なんやかんやで報酬を用意してくれる。
「おっと、そういえば」
金貨を受け取る際に、そういえばレガテリア王から伝言がある事を思い出す。
「モルガンはいるか?」
「ぎ、ギルド長ですか?」
ちょっとまだ落ち着きがないシンリアさん。今はあんまり問題になること言わないでほしいッって感じが顔に出ている。
「申し訳ございませんが、ギルド長は最近の魔物の発生や被害などの報告でちょっと忙殺されており、対応が難しい状況です•••」
あら。まあいいか。レガテリア王には直接言えって言われたわけじゃないし。あれ?どうだったっけ?まあ、伝えればいいよね。
「レガテリア王から冒険者と騎士の件、あいわかったと伝えておいてくれと言われた。俺は伝えたからな。ではまた何かあったらあったら教えてくれ」
ぽかーと口を開けて固まるシンリアさん。キャパシティオーバーしちゃった•••。
ま、まあ伝えたからいいよね。僕たちはそのまま固まったシンリアさんを後に冒険者ギルドを外に出た。
▽
「ねえオリビア、学園戦ってなにかわかる?」
場所は変わって秘密の特訓場。仮面を含めた装備を脱ぎ動きやすい服装になり、リラックスしながら、レガテリア王にいわれた学園戦というのをオリビアに聞いてみる。
「学園戦はマドワキアのそれぞれの国の学校の優秀な人を集めての競い合いだよ。マドワキア中央王国からはほとんどが王立学校からかな?期末トーナメントの上位が選ばれるらしいよ」
「マドワキアのそれぞれの国•••それってレガテリアとかヴァルヴィデアからも来るってこと?」
「そうだよ。”武”の国、”魔法”の国、”商業”の国、それぞれ2つの国ずつが参加するらしいよ。どう?楽しくなってきた?」
「楽しいのは楽しいけど•••」
なんだかドキドキしてきた!
「ヴァルヴィデアも来るってなったら、なんだかちょっとそわそわというか、ドキドキというか•••」
宙に足が浮く感じ?
「ふふっ。ウィルからしたら故郷だもんね。みんなに強くなったウィルを見してあげたらいいじゃん」
微笑むオリビア。可愛い!なんだか浮ついた心が穏やかになってきた。可愛いは正義は万国共通だ。
「試験内容はどんな感じなの?普通に戦い合うの?」
「それもあるけど、それぞれの分野での戦いかな?武道だけじゃなくて、魔法、後は計算について、とかね」
計算、か。
「この国は武、魔法、商業で成り立ってるからその能力勝負ってわけだ」
「そうだと思う。国同士の個人戦であり、団体戦って感じかな?詳細はまた近くにならないとわからないから、詳しくは期末トーナメントが終わってからだと思うよ」
学園戦かあ。面白そうだ。
しかし、とりあえずは期末トーナメントだ。ブラッディベアクイーン率いる群れを倒し、レガテリア王族達とも対峙して、気合いはバッチリ。よし、どんとこいだ。




