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第3章 第52話

「伝言?」


「お前のとこのモルガンとかいうギルド長がいるだろう。そいつに冒険者と騎士の件、レガテリア王このヘル・レガテリアがあいわかったと伝えといてくれ。お前さん、アンオブタナイトだろ?ギルド長に会えるだろ?モルガンによろしく言っといてくれや」


 やっぱり国王様でしたか。金髪のオールバックの威圧感がさらにましましだね。

 それにしても冒険者と騎士の件ね•••今後の訪れるかもしれない戦に備えた何かかな?ここら辺はマドワキア連合国家の国家秘密か。アンオブタナイトの僕らでさえ、諸々が決まってから詳細が伝えられるようなことかもね。

 ちょうどマドワキアに帰る、さらにギルド長に会いやすい僕らがいたってことか。目敏い王様だなあ。野生の嗅覚ってやつか?


「わかった。伝えておこう。それだけでいいか?早くこんな堅苦しいところ出て行きたいんだが」


「ガハハハ!まあ、そういうな。そうだなー、”毒の魔女”キルカは今でも冒険者ギルドに出入りしているか?」


 理事長?


「キルカ・エカテスか?今は見ないな」


「そうか。昔はよく出入りしてたんだけどな。まあ、あいつも学園で忙しい身分か。しかも変装してるし相当用心しなきゃ普通は見分けれんからなー。ま、”殲滅”の、追加ですまんが、キルカに会う様なことがあったら今年の学園戦も楽しみにしとるわって言っておいてくれ」


 学園、戦、だと?なんだかわくわくする言葉じゃないか!

 大体名前で想像がつくが、あとで陽キャで情報通なオリビアに聞いてみよう。


「まあ会えたら伝えておこう。もうないな?じゃあ帰らせてもらうぞ。帰りの案内してもら————」


「最後に」


 レガテリア王が前から消える。いや、()()()()()()()()くらいの、無駄のない一瞬の間合いの詰め。

 いつの間にかレガテリアが王がその巨躯を曲げ、僕の肩に手を置いている。


「わしの愛娘に手を出したらタダじゃおかねえ」


 とんでもないくらい低い声で忠告をしてくる。おいおい王様もシンラ姫のこと過保護大好きなのかよ!兄君たちといい、この子にしてこの親ありだな!

 君たちのシンラ姫に対する愛情はわかったよ。でも、それは残念ながら僕が決めることじゃない。


「全く、それを決めるのは俺たちじゃない。姫本人だろ。親、兄弟なら姫の意思を1番大切にして欲しいもんだな。それと」

 

 僕はレガテリア王が僕に肩ポンをすると()()に、レガテリア王の首元に手を持ってきている。そして()()()()()レガテリア王の後ろを取り、いつでも抜剣できるように手を剣に添えて立っている。

 

「ここと背中に、虫がついてるぞ?」


「嘘だろ!?」「父上の、後ろをとるか」「本気ではないといえ、父上の後ろを、ね」


 レガテリア王は強い。もう1つの”武”の国の前王の父様と同じくらいに。でも僕たちはその前王の本気と、死闘ともいえる稽古をしてたんだ。忠告の意味あいからか、本気じゃないと思うけど、そんな手抜きの間合いの詰めなんて、完全に()()()()()()()()()。本当に、舐められちゃ困るよ。


「レガテリア王、貴殿こそ見誤るな。俺と戯れるなら、本気でこい。このように、興が覚める」


 僕は父様と約束したんだ。もう負けないって。だから手抜きのレガテリア王なぞ、悪いけど僕の相手ではないぞ。オリビアだってそういう気持ちだ。戯れに僕たちを呼んだのなら結構。だけど、戯れでも喧嘩を売られたら僕らは負けない。これは父様との約束であり、父様の弟子を背負っている僕らの覚悟だ。


「ガハハハハハハ!!やぁっぱり面白えなお前ら!!こんな久しぶりに面白えと思ったのはヴァルヴィデアの前王くらいか!?シンラよ!いい男を連れてきたな!!」


 はい、わたしの未来の旦那様ですので、とシンラ姫は顔をあからめる。うむ、可愛い。もう可愛いのは仕方ない。だって可愛いんだもの。もう抗うことはやめよう。可愛いを受け止めてこそ、理解が深まるのだ。じゃなくて!

 やっぱりレガテリア王はヴァルヴィデアの前王、僕の父様と知り合いだったんだね。なんだか偉い人が僕の家族のことを褒めてくれるとなんだかこっちも嬉しいね。


「まあお前さんの言うとおり、見誤っておったわ。相当な強さだな、お前ら。しかもムメイとか言ったか?お前話だけじゃあ魔法を使った後衛って聞いてたが、()()()相当だな?ガハハ、こりゃまじでやり合ってみてえのお」


 レガテリア王は体をお越し、少しばかり闘志を見せる。が、冷静になり力を抜く。


「うむ、それはいつかにとっておこう。時間を取らせたな”殲滅”。このわしが実力を見誤ったこと、1つ借りにしてやる。なんかあったらいつでも言え。力になれることならなってやろう」


「ふん、一生とっておいて欲しいものだな。貴殿を倒したとなると、後のことがやっかいそうだからな。後者についてはいつか頼らせてもらおう」


「ガハハ!よく言うわ。口も達者で面白えなあ。お前ら、今日はもう夕暮れだ。都市マドワキアに帰るとなっても夜遅くなるだろう。レガテリアに泊まっていけ。レガテリアの、何かあった時用の懇意にしている、良い宿をとっている。人払いも済んでる。そこで仮面でもとってゆっくり休んで帰れ。勝手に呼んだせめてもの礼だ」


 ふむ。そうだな、確かに今から帰ると相当に遅くなるかもしれない。期末トーナメントまで1ヶ月間、授業はなく自習となっているし、ここいらで少し羽を伸ばすのもまた良きだな。しかも、せっかくのレガテリアだ。ロード兄様について少し調べよう。レガテリア王から困ったらいつでも頼っていいっていう言質もとったしね。ロード兄様について知ってることがあったら語って頂きたいところだ。


「言いたいことは山ほどあるが、今日は色々あって疲れた。早くその宿とやらに行かせてもらう」


「今ごろマドワキアだったのにー」


 ほんとに、オリビアの言うとおりだ。まあしかし、無料(ただ)でレガテリアに来れて、無料(ただ)で王族御用達の良いところに泊まれると、プラスに思うことにしよう。


 結局、あの御者がまたきてくれて、僕らはレガテリア王宮を後にした。最後はシンラ姫に見送られた。兄君たちの殺意付きだったけど。兄君たちの愛だね。僕には真逆の方向量だけど。これが好きの量だけ憎しみの量になるというやつだろうか?愛とは世の中の真理かもしれないと、見送られる際に背中に殺意を感じながらしみじみと思ったのだった。

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