選択肢1、少し不安な五月九日 選択肢2、気疲れしそうな五月九日
突然ですが、今回の話から物語のメインヒロインを決める投票を行いたいと思います!
この投票は、これからの物語のヒロイン(御蔵、新城)のどちらをメインに置いた話を先に書くか、
決める為の投票です。たとえ選ばれなくてももう一人のヒロインの話は後で書きます。
なお、メインヒロインが決まった話では、
選択肢で主軸になっているメインヒロインの話のみが、起こった事になります。
期間は、三十話が書かれる土曜日の23時59分まで。日曜日になってからのものは数えません。
方法は、感想の一言にヒロインの名前(御蔵、新城)を書くだけ。
ただし、最初に書かれている方しか数えません。
そして、投票は一人一回までとします。
以上が投票の注意事項です。感想待っています。返信は出来ませんが。
選択肢1、「御蔵さんに話をしてみよう」
「統|御蔵さんに話をしてみよう」
心配なのは御蔵さんが逃げ出すかもしれない事。
直前で逃げられるのを止めるより、説得した方がいいだろう。
「統|なるべく今日中に話をしないとな」
こういうのは早ければ早い程いいはず。明日には引き合わせられるようにしよう。
「統|放課後に話してみるか…」
新城さんには…明日話せばいいだろう。あの人に断られる心配は無いだろうし、
嫌がられても押し切ればいい。それぐらいしないと駄目だろうからな。
「統|うまくいけばいいけどな…」
さっきの事を追求されない事も含めて。
そんな不安を抱えて、教室に昼飯を食べに戻った。
「統|斯く斯く然然なわけなんだ」
「要|…いきなりそんな事を言われても分かりませんよ…」
「統|うん、そうだろうね」
だって、斯く斯く然然としか言ってないし。これで分かると言う方がおかしいから。
放課後になってすぐに、御蔵さんに話をしに行こうとしたが、昼休みの事を蒸し返されたくなくって、
少しボケてみたけど、すべってしまったみたいだ。
「統|まあ、分かりやすく短めに言うと、御蔵さんに会わせたい人が居るんだ」
「要|会わせたい人、ですか?」
「統|そう。実はその人の事で悩んでて、同じクラスの人なんだけど御蔵さんに力になって欲しくて」
「要|…何で悩んでいるんですか?」
「統|…たぶん会ったら分かると思う…」
本当は御蔵さんのいじめを止めるためだけど、まあ悩んではいるし、問題は無いだろ。
新城さんの事を御蔵さんがどうにか出来るとは思わないし。
「要|私で力になれるでしょうか…」
「統|絶対に出来る、とは言えないけど、話を聞いてくれるだけでも十分だから」
「要|それなら、その人は誰なんですか。同じクラスの人なら、どんな人か分かると思うんですけど…」
「統|えっ?う~ん、そうだなあ…」
新城さんの名前を出したら、逃げられそうだな…だって正反対だし。教えない方がいいよな。
「統|偏見を持たないようにするために名前は出せないけど、
まあクラスの中心に居る、人の話を聞かなくて、周りを振り回すような人かな」
「要|…よく、振り回されるんですか?」
「統|うん…いつかストレスで倒れる気がするくらいは振り回されてる…」
回数は少ないけど、一回ですごくストレスが溜まるんだよな…相性が悪いんだろうか…
その点で言うと、御蔵さんにはそこまでストレスを感じないな。
いや…新城さんに感じるストレスが多すぎるから、そこまでじゃないと感じるだけだと思うけど…
「要|悩み事って、その人の事だったんですね。…それと、私の事も…ですよね?」
「統|ちっ違うよ!あれはただ言い間違えただけで…」
「要|そうなら、あんな言い間違いはしないと思います」
「統|ううっ…確かにそうだけど…」
どっ…どうしよう…正直に言うべきなのか?いじめの事じゃなくても、言いにくいような気が…
「要|言えないような悩みなんですか?もしかして…私を脅すつもりなんですか…?」
ああっ!このままだと、あらぬ方向に誤解されていく!…もう誤魔化さない方がいいな…
「統|そんなつもりじゃないよ。ただ…昨日の御蔵さんは話しかけてもたった一言しか言わないから、
それが続くのは嫌だなって考えてたら寝れなかっただけだよ…」
「要|それは…ごめんなさい…」
「統|いや、別にいいんだよ、謝らなくても」
謝られても何も変わらないし、謝ってほしいわけでもないんだし。
俯き気味になっている御蔵さんに、やっぱり言うべきじゃなかったなと思ってしまう。
「要|これからはちゃんとします…」
「統|あまり気にしなくてもいいんだけどな…」
「要|でも、私のせいで国東君が寝不足になったのに、気にしないでいられませんよ…」
「統|別に御蔵さんだけのせいじゃないんだけどね…」
というか、変に重く考えてないか?
段々と悪い方に思いつめていく御蔵さんは、きのこが生えてきそうなくらい落ち込んでいた。
「統|普通に話をしてくれるだけで十分なんだけど…聞いてる?」
「要|どうやって謝罪の意を示せば…体を差し出せば少しは気持ちが…」
「統|待って!それはさすがに待って!」
そんな事されたら、今後気まずくなるじゃないか!
ちょっとどころじゃない過激な発言が出たため、止めないわけにはいかなかった。
「要|ううっ…そうですよね…私みたいな体じゃ差し出す価値も無いですよね…」
「統|違う、違うから…」
気持ちがどんどんと沈んでいく御蔵さんに、何と言えばいいのか困ってしまう。
というか…体の問題なのだろうか…?別に言う程悪くは…って、考えが変な方向に行ってるな。
「統|そんなに気に病むなら、悩み事を解決するのを手伝ってくれない?その方が助かるんだけど」
「要|あ…そういえば、最初はそんな話をしていましたね…」
「統|うん。俺としては、無理強いする気は無いけど…何かしたいならこれで気が済むかなって」
嫌なら嫌で断ってもいいよ。ついでにそう言っておく。
…嫌だと言われたら何が何でも頷かせるつもりだけど。
「要|…それでいいんですか…?」
「統|それだけでいいんだよ」
「要|………」
ん~…まだ押しが弱いか?あとちょっとな気がするけど…
「要|私が…国東君の悩み事を解決したら…今までのことを許してくれますか…?」
「統|許すも何も、怒ってたわけじゃないんだけど…
分かった、全部終わったら今までの事をお互い水に流そう」
駄目押しに何かもう一言言うべきかな?と思っていたが、
さっきよりも顔を上げた御蔵さんの様子を見るに、どうやらその心配は要らなかったようだ。
「統|それじゃあ、相手にも話をしないといけないから、詳しい事は明日話すよ」
「要|わかりました。それじゃあ、また明日に」
「統|さよなら、また明日」
教室を出ていって帰っていく御蔵さんを見送った後、説得が上手く言った事に、安堵の胸をなでおろす。
「統|次は新城さんだな…」
今度は面倒な事にならなきゃいいんだけど…
いや、あまり考えないでおこう…暗くなりそうだ…別のことを考えよう。
まだしていなかった帰り支度を手早く済ませ、自分も教室を出る。
その時、ふと御蔵さんが顔を上げた時に少しだけ見えた、御蔵さんの顔が頭に浮かんでどきりとしたが、少しだけしか見えなかったのにどきりとするわけがないと思い、
気のせいだと思うことにして家に帰った。
選択肢2、「話をするなら新城さんかな」
「統|話をするなら新城さんかな」
新城さんなら簡単に受け入れてくれるだろう。まあ…話を聞いてくれたらだけど…
「統|…やっぱり止めておこうかな…」
いや、御蔵さんの事を考えるとそれは出来ない。
それに、結局は新城さんにも話をしないといけないんだ。面倒な事は手早く済ませるべきだろう。
「統|明日…いや、今日の放課後にしよう」
御蔵さんは明日でいいだろう。…断られるだろうけど、ごり押ししてでも納得させる。
それでも駄目なら、逃げられないようにしてみせる。…そこまでしたくは無いけどな…
「統|少しでも何とかなればな…」
少し前にあった新城さんとのやりとりを思い出すと気が重くなるけど、
御蔵さんの、ひいては自分のためにしないといけない事だ、嫌でもやらないといけない。
「統|でも…嫌なんだよなあ…」
頭ではやるべき事だと分かってる。でも、気が進まない事は変わらないんだよな…
気持ちはどこまでも後ろ向きだった。
放課後になった。
これだけじゃあ俺の心情は伝わらないだろうからもう一度言う、もう放課後になってしまった…
昼休みから今まで、頭の中では話すのを止めようか、止めるべきだ、止めてしまおう、
という考えで満ちていた。
[統|やっぱり、止めようか…」
俺が何かしても、御蔵さんへのいじめが無くなるわけじゃないし、
いじめがあったって知られても、俺のやってる事が絶対にばれるわけじゃないんだから。
「統|うん、やっぱり止めておこう」
「美|何を止めるの?」
「統|自分が嫌だと思うことだよ。それよりも何か用?」
「美|驚かせようと思ったのに、全然驚いてくれないなんて面白くないなあ」
…あれで驚かせようと思ってるんなら、ばればれだからね…
忍び足は足音が聞こえてたし、窓には何かしようと考えて、
にやつきながら近付いてくる姿が映ってたんだから。それに、二度も同じ事で驚いてたまるか。
「統|驚かせるためだけに来たならもう帰るから」
「美|付き合い悪いなぁ。せっかく友達以上恋人未満になったんだから、話しに来たのに」
「統|…だったら普通に話しかけてよ…」
「美|普通に話しかけたよ?」
「統|忍び足で近付くのは普通じゃないから!」
いや、忍び足にはなってなかったと思うけど…脅かそうとするのは普通じゃないだろ。
「美|まあ、そんな事は置いておいて」
「統|…今までああだこうだ言ってたのは一体…」
「美|だって話したい事じゃないから」
「統|確かにそうだろうね…」
それなら尚更普通に話しかけようよ…言っても無駄だと思うから言わないけどさぁ…
「統|それで?俺に何か話したい事があるなら聞くけど?」
「美|ああ、そうそう忘れてた」
「統|忘れないでよ…」
忘れるって事は大した事じゃないよね?帰ってもいいかな?
あまりにも新城さんの態度が適当すぎて、話を聞く気が無くなってきた。
「美|あたし、国東君に聞きたい事があるんだけど」
「統|聞きたいこと?」
「美|国東君、昼休みからあたしの事を見てたよね。ずっと気になってたんだけど、何で見てたの?」
そんな事を聞かれるとは欠片も思ってなかった。
新城さんは気になったから聞いたんだろうけど、俺にとっては予想外すぎて数秒固まってしまった。
「統|…見てたの気付いてたんだ…」
「美|誰でも気付くよ。しかも、あたしを見た後に頭を抱えてたから、明らかに変だったし」
「統|それは確かに変だろうね…」
俺の方はまったく気付かれてると思ってなかったよ…
というか、昼休みからって事は最初からかよ…そこまで様子が変だった覚えはないんだけどな…?
「美|やっぱりさ、あたしの事考えてたんでしょ。本当の事言ってよ~からかったりしないから」
「統|笑いながら言ってる時点で信用できない」
「美|そこはほら、気にしない気にしない」
「統|気にしない方が無理だと思わないかな?」
「美|そうかな?そんな事ないと思うけど」
俺にはからかう気満々に見えるから、すごく気になるんだけどな?
それ以前に、本人を前にして言える事じゃないから言わないようにしているんだし。
「美|ほらほら、言って楽になりなよ。もう誤魔化せないんだから」
「統|言い方おかしいよね?俺、そこまで追い込まれてないよ」
「美|さあ、早く本当の事を言って。楽になれるよ」
全然聞いてないし…なんかもう、段々と面倒臭くなってきた…
どうでもいい気もするし、いっそ言ってしまうか。
「統|そんなに聞きたいなら、寝れなくなるくらいの悩み事が何か聞かせてあげるよ」
「美|やっぱりあたしの事を考えてたんだね。でも大丈夫だよ、今から素直になればいいんだから」
「統|まだ何も言ってないのに何を言ってるのかな?」
絶対に見当違いな理由だと思ってるよね?少しは人の話を聞こうよ…
あまりにも自由すぎる新城さんに、呆れを通り越して羨ましく思ってしまう。
…悩みとか無いんだろうな…
「統|新城さん…俺が悩んでるのは、新城さんが人の話を聞かなくて、
自分勝手に振る舞ってる事だよ。さっきみたいにね」
「美|えっ、そうだったんだ。気付かなかったよ」
「統|そうだろうね。気付いてたら自制するだろうし」
「美|むっ、それって酷くない?」
「統|誰かを寝れなくする程の振る舞いをしてる人に比べたら酷くないよ」
「美|ううっ…何も言い返せないかも…」
少しは悪いと思ったのか、反省している様子を新城さんは見せている。
…でも、言い返せないかもっていう部分は納得出来ないなあ…かもは要らないって…
「統|新城さんが聞きたかったのは、こういう事だったんだから言わないようにしてたんだ。
今更聞かなきゃよかったって言っても、俺のせいじゃないよ」
「美|それは分かってるよ。…だけどそっか。今まで気付かなくてごめんね」
「統|謝って欲しかったわけじゃないから、別に謝らなくていいよ」
「美|そうなんだ?じゃあどうして欲しかったの?」
「統|えっ…いや別に…」
待てよ?ここであの話をするべきじゃないか?今なら聞いてくれてるから、
話を受け入れてくれるかもしれない。…よし、話すか。
「統|…大した事じゃないけど、一つだけやって欲しい事があるんだ」
「美|やって欲しい事?どんな事かな?」
「統|わけがあって、同じクラスのある人と仲良くしたいんだけど、
上手くいかなくて。新城さんに協力してもらいたいんだ」
「美|それってあたしじゃなくてもいいよね?
というか、誰なの、その人?そもそも、何で仲良くしたいの?」
「統|頼めるのが新城さんくらいしかいないんだよ。
名前は会えば分かるから今は言わない。理由は、言えたら懇切丁寧に説明してる!」
疑問に思うのは当然だけど、一気に言わなくてもいいじゃないか!
こっちは言えない事が多いんだよ!自業自得だけども!
「美|なるほどね~…あたしにしか頼めないんだ。理由やその人の名前は気になるけど、
知らなくても問題無いだろうし、いいよ、手伝ってあげる」
「統|助かるよ。…でも、知らなくていいなら聞かないで欲しかったな…」
「美|ちょっと気になって聞いただけだし、答えてくれないなんて思わなかったんだもん」
言わないのは、御蔵さんの尊厳を守るためだからしょうがない…よね?
誰かしょうがないって言ってくれるよね?
「統|とっとにかく、手伝ってくれるなら、明日詳しい話をするから」
「美|そうだね。もう放課後だし、そういう事ならもう帰るね、それじゃ、また明日~」
「統|また明日」
手を振り、教室を出ていく新城さんに手を振り返した後、勢い良く机に突っ伏した。
額が痛いが、そんなのはどうでも良い。
「統|これで…よかったのか?」
もう遅いけど、止めておくべきだと思い始めてきた。…何か悪い事が起きないといいんだけど…
この嫌な予感が当たらない事を願いたかった。