兄と妹の恋物語
うちは数年前に母親が病気で亡くなっている。
親父が再婚すると聞かされ俺はその場で棒立ちになった。
俺は何度も停止しかけた思考をフル回転させようとした。だが、いくら考えても全く分からない。理解不能。
そして、追い打ちかのごとく
「もう、すぐそこまで来てんだわ」
は?え?もう来てんの?
「ど、どうも〜拓海くん。あ、新しいお義母さんですよ〜」
うっわ!超美人スタイルも良いし、何より胸デカっ!
「おい親父、こんな人どこ探しても普通は見つかんねぇぞ」
「お、落ち着けって説明はまた後だ、とりあえず家入るぞ」
━━落ち着かないまま、リビングへ行き
「えっと……とりあえず紹介する。白石志帆さんと蜜柑ちゃんだ」
白石志帆(??)親父が連れてきた再婚者。美人でスタイル抜群、その上、胸がデカい。大抵の人の理想の女性像だ。
白石蜜柑(9)志帆さんの連れ子で、普通に可愛い小学4年生。か、勘違いすんなよ俺は別にロリコンじゃねぇからな。
「よ、よろしく〜」
「……よろ……しく……お願い……します……」
「あ、よろしくお願いします……じゃなくて、親父説明しろ!」
「いやな?説明しろと言われてもなぁ」
「だって、なんかやばい事しねぇと親父がこんな美人な人と再婚出来るわけねぇだろーが」
「失礼な、父さんだって無理だと思って告白してみたら案外OK貰えたんだぞ」
「マジ……で?そうなんすか、お義母さん」
「はい〜」
おいおい、マジかよ何でだどうしてだわからんぞ、全くもってわからん。
「ち、因みに親父のどこに惚れたんすか?」
「え〜、恥ずかしいこと言わせないで拓海くん、全て……よ♡きゃっ、恥ずかしっ///」
身体をくねらせて顔を真っ赤なのを手で隠しながら恥ずかしそうにそう言った。
全……て……あの、親父の全てに惚れた?
「息子の前で恥ずかしいこと言わないでくれよ〜、志帆〜」
照れながら恥ずかしがる親父。
は?何このお惚気ムードついて行けねぇぞ、ツッコミの意味でも話の意味でも。
「あ、後しばらくは蜜柑ちゃんをお前の部屋で寝てもらったりするつもりだから、その辺はよろしくな」
「んなっ!」
「てことで、今日は解散」
━━次の日の朝。
昨日は色々あったな……
一緒に蜜柑が寝ているこの状況は傍から見たら相当やばい絵面であろうと俺は思いつつベットから立ち上がろうとした瞬間……
ん〜〜
はひっ?
後ろから聞こえちゃまずい様な声が聞こえた。
「み……蜜柑……?」
「ん?ん〜おはようございます……お兄ちゃん」
「お、おはよう蜜柑……」
どうしよすごく気まずい。
「じゃ……先にリビング行くから」
「ふぁ〜い」
焦った焦った焦った〜、流石に焦るわ!何?朝起きたら妹が後ろで寝てたこの状況、やばすぎだろ。
洗面所で顔を洗いながら火が出そうな顔を冷やしていると。
「朝ごはん出来ましたよ〜」
「あ、は〜い」
ともかく、平常心を保て俺。自分にそう言い聞かし朝食を食べにリビングに向かう。
「全員そろったな、んじゃいただきます」
「「いただきます!」」
━━朝食後
「もうこんな時間かよっ」
気付いたら遅刻ギリギリの時間になっていた。
「いってきまーす」
俺は急いで家を出た。
曲がり角を曲がろうとした瞬間……
ドンッ!
「ってぇ〜」
「いたた〜」
急いでいて横から来る人に気づかなかった。
謝ろうと起き上がろうとした瞬間……
むにゅ
ん?なんだ、地面じゃ……な……い……?
確かめようと目を開くと━━そこには理想郷……じゃない見知らぬ女の子の胸だった。
「やべっ!」
慌てて胸から手を離す。
「ごごご、ごめんなさい。ビンタや、殴られる覚悟は出来ている。だから、落ち着いてほしい。」
目を瞑り、歯を食いしばって返事を待つ。
「だ、大丈夫……ですよ、私も不注意でしたし、これは事故です。それと、落ち着くのはあなたですよ。」
「やらないのか……?」
「やりません」
「そ、そうか」
ふ〜と、息を吐き冷や汗を拭う。
「そ、それじゃぁ、俺はここで」
苦笑いをしながら、その場を後にする。