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人は見掛けで判断してはいけません!  作者: 内守谷ひみか
1章 灰色世界
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9話 一難すぎてもう一難

シン…と静まり返る会議室に、ふと間の抜けたような声が静かに響いた


「え?どえむおおじ?何ですか?それ…」


…………………………はい?

えっと、どえむおおじって言ったよね?

って事は、まだバレてないから大丈夫と言うことでオッケーだよ………ね?

これって、バレて無いって事だよね?


ハァ〜焦った〜

この言葉の意味が分かったりしたら僕は、真実が周りに知られる前に◯◯しなくてはいけない契約だから。


「私はマゾではない上に王子でもないんですけれども?」


僕にとって良いように勘違いしてくれているシュヴィに最大限の感謝を贈る。


「いえ、決してシュヴィーラ様の事を言ったわけではございません。お気分を害してしまい大変申し訳なく思います。どうかご容赦頂きたく」


大臣が青い顔をしながらペコペコ謝り倒していた。

しまいには土下座でもしそうな勢いだった。これにはシュヴィも(引きながら)謝罪を受け取るしかなかったみたいで、すんなり自体は収まった。



「では、気を取り直して採決を取りましょう。シュヴィーラ王女の案に賛成の方、挙手を……はい、ありがとうございます御手をお下げ下さい。では反対の方挙手を……ありがとうございます御手をお下げ下さい」


進行役の男性は、どうやら反対派だったのか髪の事で笑われた時は表情1つ変えなかったのに、今は苦虫を噛み潰したような顔をしている。

どうやら、

シュヴィの案が通ったらしい。

僕としては、女装しなきゃいけないわ囮にならなきゃいけないわであんまり喜べた状況では無いものの、シュヴィの、いや、友達の嬉しそうな顔を見れたのでよしとしよう。


「では、これから大臣方で作戦の具体的な内容を詰めていきたいと思うので、どうぞ後のことは我々に御まかせください」


そう言われては退室しない訳にはいかないので、僕たちは会議室を後にし、ヒイロの待つ応接室へ向かうことにした。


道すがらシュヴィは、王子と言われたことやドエム呼ばわりされた事を(勘違いなのに)ブツブツ言いながら歩いていた。

応接室へ案内してくれたシュヴィ専属護衛隊の1人と自己紹介してシュヴィに引かれていた確か名前はトムオ・フルオープが笑いを堪えていたことは内緒である。


「お待たせ、ヒイロ」


「遅いです!兄さんが会議で良いように弄ばれて今頃泣いているのでは無いかと心配に心配を重ねていた私のこの気苦労、一体どうしてくれるというのですか!」


ガーーーとまくし立てて僕への不満を一気に解き放つヒイロ。

よく見てみれば部屋に居る、監視みたいな人がとても疲れたような顔をしていた。

なおも、怒り冷めやまぬといったヒイロを見て僕とシュヴィは完全に理解する。

そして、監視員(仮)に向かって手を合わし心の中でこう言っておく、


見事な人柱でした。


と。

実際には、

僕を見たことで怒りが再噴火しているのであまり意味の無い人柱だったのだが、そう言わずにはいられなかった。


そして、15分後

やっと、ヒイロの怒りが収まったところで僕とヒイロは王城を後にした。

そして、

もうすっかり暗くなり、人気のなくなった大通りを歩きながら会議での内容を話し合っていた。


「へぇ〜、つまりこうですか、チョコをリスのごとく頬張っていたシュヴィが可愛かったと、こういう事ですか」


何がどうして、そういう話になったのか僕には全く分からないよ…


何故我が妹は、僕が他の女の(シュヴィ)と一緒に居た時の話をしたり、会話したりしていると怒るのか…

うーむ、


あ、わかった!


「何でヒイロが他の女の子の話すると怒るのか分かったよ!」


今までスラスラと、良く噛まないな〜と思うくらい早口で文句を言っていたヒイロが「へぇあ⁈」という奇声を上げた。

更には、


「分かってしまったって…え?まさか、いやいや、ありえないです。だって今まで完璧に隠して来たし…そりゃ今日は何年かぶりに会ったからボロが出かけた事が何回かあったけど…すごいど天然ジゴロで難聴系主人公な兄さんが気がつくわけがry…」


などと、散々な事を言っているが聞こえないもん聞いてないもん聞かないもん。


「ヒイロは!」


ゴクリと唾を飲む音、


そして…


「危ない‼︎」


「きゃっ!」


ヒイロ目掛けて飛んできた火球をヒイロを抱き寄せる事でギリギリでかわした。


「な、何なんですかいきなり!兄さん、いくら分かってしまって今人通りが無いからってこんな大通りでなんて……………………え?」


今まで僕たちがいた所に大きな穴が空いている。直撃したら、ひとたまりも無い事が一目瞭然だ。


「チッ、まぐれで避けやがって」


噴水の裏の濃い影からヌルリと出てくる人影に僕たちは息を呑んだ。

今の発言からでも分かるように、明らかに僕たちを狙っている。

まさか、これが例の通り魔⁈

まさかまた女の子に間違えられてるの僕⁈


「俺は通り魔じゃねぇぞ、あー、あれだ老ぼれで権力大好きジジイ共から勅令を受けた……所謂暗殺者ってとこだな」


心の中を言い当てられて、ギクリとなる僕に暗殺者はさらに続ける、


「しっかし、お前本当に男かぁ?まるで女の子じゃねぇか、俺ぁ男趣味は無かったがお前なら良いかもしれねぇな……………………さて、見るからに弱そうだしさっさと捕まえて俺のペットにしてやるよ、殺すのはやめだ、感謝しろよ?」


寒気がする!

あと、勝手に途中で黙り込んで考えまとめないで下さい!怖いです!


よく意味が分からないけど捕まったらやばい。


あと、これだけはよく分かった、


なんか、僕の尊厳とか諸々が危険だと言うのはよく分かった。

幸いな事に暗殺者は、僕の事を弱そうだと見ている。

ここの隙を付けばなんとか勝利への道が見えそうだ。


さあ、目に物みせてやれ。


今ここに勝手な事を言う暗殺者と僕の尊厳をかけた戦いが始まった。


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