第39話 ハロウィンだけどいいじゃない!!
生きとったんかワレェ!!(セルフ)
これで感想欄に「生きとったんかワレェ!!」って書かれることは無いな。
「……10年という月日は色々なものを変える」
「いきなりどうしたの?」
とあるお昼お休み、皆でお昼ご飯を食べていると愛理沙さんがいきなり意味深な言葉を言い出した。いったいどうしたの?
「……物事は移り変わり、新しい流行や行事が生まれたりする」
「うん……?」
「愛理沙が変なこと言いだすのは今に始まったことじゃないだろ。気にすんな」
そんなものかなーとマサくんたちと話していると、バタバタと走ってくる足音が聞こえてくる。
「トリックオア~トリィィィィトォォォォ!!」
走ってきたカズくんがいきなり叫んだ。え、ハロウィン?
「いきなり何言ってんだよお前」
「ハロウィンってもうちょっと先じゃない?」
「いや購買でハロウィン商品が出てたから先取りしたくなっちゃって。つーわけでトリックオアトリィィィィトォォォォ!!」
「いきなり言われてもお菓子は無いです」
「あたしもねぇぞ」
「ほほぅ、お菓子が無いと。ならトリートだなぁ!!」
「ふにゃあぁぁぁぁ!!」
「ぐあぁぁぁぁ!!」
お姉ちゃんに飛びかかってきたカズくんの顔を引っ搔いて叩き落す。
「カズくん?今お姉ちゃんに手を出そうとシタ?」
「ヒェッ、ごめんなさい……」
「お前も学ばないな……」
「にしても、ハロウィンかー、うん」
お姉ちゃんどうしたの?うなずいて。
「優希、トリートオアトリート!!」
「えーっと、飴なら―――え、いたずらオンリー!?」
「ふっふっふ、さあ覚悟しろ!!」
「させませんわよ」
ガシッと雅さんがお姉ちゃんを抑え込む。
「放せーお前だって心の中ではいたずらしたいくせにー!!」
「実行はしませんわ!!」
え、雅さんボクにいたずらしたいの……?意外にいたずらっ子だったりする?
「ところで、ハロウィンって結局何するんだ?俺はよく知らないんだが」
マサくんの言葉にボクたちは顔を合わせる。正直、よくわからないんだよねぇ。
「お菓子をもらうかいたずらする日じゃないの?」
「テレビではコスプレしてるの見たことあるです」
「あぁ、渋谷の」
「小さい子が近所を周ってくるらしいよ。この間の町内会の回覧板に書いてあったよ」
「へー」
なんかふわっとした意見しか出てこない。う~ん、謎だ。
「せっかくだし、やってみる?」
「やるって何を?」
「だから、ハロウィンパーティーよ」
美奈さんの提案に皆が考え出す。お試しでやってみるのもいいかもしれないね。
「やってみようか」
「そうだな」
「面白そうです」
「……(ぐっ)」
「なら折角だし、このままやろうぜ!!」
なにやらカズくんが変なことを言い出した。
「……どういうこと?」
「いやー、なんもわかんないし、優希とかちゃんと調べて用意しそうじゃん」
そりゃそうだよ。
「このまま知らない状態でいろいろ用意したほうが面白くなりそうじゃねってこと」
「えぇ~」
なんだかカオスな状況になりそうな気がしたけど、なにやら皆が乗り気になってしまったのでミリしらハロウィンパーティーの開催が決定したのであった。
- ☆ - ☆ - ☆ -
ハロウィンパーティー当日。
「ふんふ~ん♪」
ボクたちの家でやることになったので、色々なお菓子を作ってみる。ハロウィンだし、カボチャで作ればいいよね。
「なんかたくさん作ったな」
「そう?」
パンプキンタルトにカボチャプリン、マドレーヌ、ムース、とにかくカボチャで作れそうなものを作ってみた。残ったらお土産にでもしてもらおう。
「お姉ちゃんは用意したの?」
「あー、まぁ、とりあえずシュークリーム買ってきた。カボチャ味の」
料理出来ないから買うしかないよね。カボチャ味なのは姉弟で思考が似てるのかな?
「おーっす」
「邪魔するわよ」
マサくんと美奈さんが来た。何持ってきたんだろ?
「俺はクモをイメージしたんだが、クモを食うわけにもいかないだろ?だからクモの巣っぽいわたあめにしたわ」
マサくんは家庭用のわたあめ製造機を持ってきたようだ。中々ひねってきたね。
「私はカボチャグラタンを作ってきたわ」
「へー、グラタン?」
「甘いものは優希がたくさん用意するって思ったからね。ならしょっぱいものでも用意しよっかなって」
なるほど、確かにそれも大事だね。ボクは甘いのだけでいいけど。
「こんにちわですー」
「よぉ、紗彩は何持ってきたんだ?」
「肉まんとあんまんです。お化けの顔が書いてあるです」
おぉ、紗彩さんらしいかわいいものだね。
「……来た」
「おぉう、いきなり現れるなよ。いやマジでいつ入ってきた?」
「……些細な事」
「えーっと、で、何持ってきたの?」
「……ハロウィンらしいもの」
「カボチャ?お化け?」
「……コウモリ」
あぁ、それもあったね。コウモリをイメージしたものってどんなものだろ?
「……フルーツバットの煮込み」
「ガチコウモリ!?」
まさかのものだった。どうやって手に入れたの!?日本じゃ手に入らないよね!?
「……現地でなら狩れる」
「えぇ!?」
「……見た目にはわからないようにしといた」
さすがに姿煮は遠慮したのか、原形がわからないようになってる。いやでもコウモリかぁ。
「……甘めの肉」
「味の心配をしているわけじゃないよ」
まぁ、珍味……なのかな?
「よぉーっす、真打の登場だぜ!!」
「おー、テンション高いな」
「ふっふっふ、オレは皆が度肝を抜くような代物を持ってきてやったからな」
「そんなに驚くモン持ってきたのか?」
「あぁ。オレが持ってきたのはこれだぁ!!」
もったいぶりながらカズくんが取り出したものは、
「食用タランチュラだぁぁぁ!!」
「「「「いやぁぁぁぁ!!」」」」
皆から悲鳴があがる。なんてもの持ってきてるの!!
「ハロウィンにはクモのモチーフもあるからな。だから本物を持ってきたんだぞ」
「持ってくんな!!」
「気持ち悪いです!!」
「なんでそれでいいと思ったのよ!!」
「……配慮は必要」
「もっと考えるべきだったろ。しかもクモって俺と被ってるし」
「そんな責めることかよー!!」
いやクモそのものは嫌だよ……
「責任取って自分で食べなさいよ」
「え、いや1人で食うのはちょっと……」
「そんなもん持ってくんな!!」
素揚げくらいはしてあげるから食べなよ。
「こんにちは。あら、わたくしが最後ですか」
「ようこそ、いらっしゃい」
「あらあら、優希さんは今日も可愛いですね」
「やーっと来たか。さ、出すもん出してもらおうか」
「貴女はどこのチンピラですか。こちらをどうぞ、爺に冬に食べるカボチャ料理を用意してもらいました」
そう言って雅さんはタッパーを取り出す。中に入っていたのはカボチャと小豆を煮た、
「いとこ煮ですわ」
「それは冬至の食べ物だよ!!」
日本の伝統だよ!!
「そんな……どうりで何やら古臭いと思ったわけですわ……」
「いや気づけよ。お嬢様なんだし」
「お風呂に入れる柚子も持ってきましたのに……」
あぁ、うん、貰っておくね。
「ま、とりあえず料理もたくさんあることだし、パーティーを始めるか」
「美味そうだな!! 食うぞー」
「紗彩も腹ペコなのです」
「……食べ放題」
わーい、ハロウィンパーティーだーって言いたいけど、ちょっと他に言いたいことがあるんだよなぁ。
「ねぇ皆、ひとついい?」
「どうしたのよ?」
「まぁ、俺たちの間で遠慮はいらないだろ」
じゃあ遠慮なく。
「なんで皆コスプレしてないの!?」
全員私服である。ただし、ボクは猫耳と尻尾を生やして黒ワンピを着ている。ついでに尻尾を増やして猫又っぽくなってるので、お姉ちゃん曰く「猫又美少女のコスプレ」になってる。
「いやパーティーは急だったし、衣装なんて用意できないって」
「そんな……皆がコスプレするって聞いたからボクもこんな格好してるのに……」
「誰だよそんなの言ったやつ」
「お姉ちゃぁぁぁん!!」
よく見るとお姉ちゃんも普通の服じゃん!! なんで僕だけ着せたの!?
「優希」
「うん」
「あたしは単純に可愛い恰好をしたお前が見たいだけだ」
そんなことだろうと思ったよ!!
「まぁまぁ、可愛らしいのでいいのでは?」
「そーそー、それに、あたしもコスプレしてるぞ」
「え、なんの……?」
「コーディネートがわからなくてマネキンの服を一式買った女のコスプレ」
「普段着だよねぇ!!」
「……優希、落ち着くといい」
「え?」
「……生まれたままの姿をしていない私はコスプレをしていると言える」
「言えないよ!!」
なんやかんやパーティーは楽しんだけど、結局コスプレしてるのはボクだけだった。
読まずに溜まりまくった感想を流し読みしていたらハロウィンという単語が目に入ってきて書きたくなった。
じゃ、また10年後に?




