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姉弟だけどいいじゃない!!  作者: 毒の花


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第2話 新しい学校だけどいいじゃない!!

星山学園に着く。今日は入学式だから校門に看板が出ている。どうでもいいけど、こういう看板って普段はどこにしまっているんだろう? 大きくて邪魔だよね。


「保護者は向こうか。じゃ、また後でな」


「うん。じゃあね」


お母さんとお父さんと別れ、お姉ちゃんと2人っきりになる。


「クラス分けの張り出しはどこだ?」


「あっちじゃないかな。行ってみよう」


人だかりがあるほうへ向かってみると、案の定、クラス分けの張り出しがされていた。


「よう、2人とも」


「相変わらず仲いいわね」


話しかけられた方向を向くと男女が一組いた。中学からの友達だ。


「おはよう、マサくん。美奈さん」


「よっ。夫婦同伴か?」


「「違う‼ 」」


男子は榎本(えのもと)正博(まさひろ)。皆、マサって呼んでる。前髪が若干長く、制服は着崩している。俗に言うイケメンで、バンドをやっている。ファンも割と多いらしく、結構モテるらしい。告白されることも多いのに、なんで彼女がいないんだろう?


女子は高橋(たかはし)美奈(みな)。短く切りそろえた茶髪は染めてるんじゃなくて天然らしい。少し焼けた肌から活発な印象を受ける。事実、中学では陸上部に所属していた。


この二人は幼馴染みらしい。幼稚園の頃から一緒だったとか。


「「こんな奴はただの腐れ縁‼ 夫婦じゃない‼」」


わー息ぴったり。


「はいはい。腐れ縁腐れ縁」


「2人とも仲いいよね」


「「うぐぐ…」」


「ところで、クラス分けはもう見た?」


二人のために話を変えてあげよう。


「ああ。俺は1組だ」


「私は2組」


あ、違うクラスなんだ。でも、どうせお昼とか一緒に食べるだろうけど。


ええと、ボク達は―――


「うにゃぁ……」


「どうした?」


視力が悪いせいでクラス分けが見えないお姉ちゃんが聞いてくる。


「ボクは1組で……お姉ちゃんは2組だ……」


「なん……だと……」


ガックリと肩を落とすお姉ちゃん。


「いや、姉弟は同じクラスにしないだろう普通」


「うるせえ‼ お前にあたしの気持ちがわかるかぁ‼」


「ブラコン、いい加減にしろ」


「お姉ちゃんと一緒がよかった……」


「シスコン、いい加減にしなさい」


 - ☆ - ☆ - ☆ -


お姉ちゃん達と別れて一組の教室に入る。席は……あ、前に張り出されてる。とりあえず座っておこうと。


「君、かわいいね~。ね、ね、入学式が終わったら2人でどこか遊びに行かない?」


席に着くと、いきなり話しかけられた。


話しかけてきたのは金髪の男子。染めてるみたい。イケメンだけどチャラチャラしていて残念臭がするというかなんというか……


「おいカズ、いきなりナンパすんなよ」


マサくんが近づいてきた。名前で呼ぶってことは知り合い?


「何言ってんだよマサ!! かわいい子がいたら声かけるだろ普通!!」


「いや、限度があるだろ」


「マサくんマサくん」


マサくんの制服の裾をくいくいっと引っ張る。


「知り合いなの?」


座っているので、必然的に見上げる形になる。立っていても見上げるんだけどね……


「……お前、それ分かってやってるのか?」


「?」


「まあいいか。こいつは俺のバンド仲間だ。まさか同じ高校とは思わなかったがな……」


「オレは吉田(よしだ)和之(かずゆき)。よろしくな!! カズでいいよ!!」


ニカッと笑う吉田くん。カズくんでいっか。


「ボクは天道優希です。よろしくね、カズくん」


ニコッと笑って挨拶すると、なぜかカズくんが赤くなった。


「お、おう。ところでさ、入学式が終わったら二人で遊びにいかない?」


「え?」


「あー、カズ。お前、勘違いしているようだが、こいつは―――」


「ちょっとよろしくて?」


「ん?」と話しかけられた方向に三人で向くと、そこにはすごい美人がいた。


緩やかにウェーブした長い黒髪をしていて、彫刻のように整った顔立ちはとても美しい。その顔にかけている眼鏡から、知的さや真面目さがにじみ出ている。さらにスタイルもよく、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。すらっと長い手足も加え、どこかのモデルのようだ。


「あ、もしかして逆ナン? オレはかわいい子や美人ならいつでもウェルカムさ!!」


「あなたではありません」


カズくんにぴしゃりと言い放つ美人さん。その視線はボクに向けられている。


「えっと、ボク? なにかな?」


「……あなたはご自分の格好をおかしく思わないのですか?」


「え、どこか変かな!?」


慌てて体を見回してみるが、特におかしなところは見当たらない。


「別に普通だと思うけど……?」


「何を言っているのですか。女子生徒が男子生徒の制服を着ているのはおかしいでしょう」


「へ?」


「へ? ではありません。きちんと校則にも、女子生徒は女子用の制服を着用とありますわ」


あー、この美人さん、勘違いしてるんだ。まあ、よく間違われるから仕方ないけど。


「えっと、こう見えてもボク、男だからこれでいいんだよ」


「え?」


ポカンとした表情になる美人さん。隣でカズくんも固まっている。

とどめとばかりに生徒証を見せると、ようやく信じてくれたようだ。


「ほ、本当に男ですのね……先ほどはわたくしの失言でしたわ。申し訳ありません」


「別にいいよ。いつものことだし」


「そうですか。それでは、失礼します」


そう言って席に戻っていく美人さんを見送る。そういえば、名前を訊いてなかったけど……ま、いっか。


「男……おとこ……O・TO・KO……男をナンパしちまった……」


なにやらカズくんがブツブツ言ってる。トラウマにでもなっちゃったのかな?


「くっ……こうなったら他のかわい子ちゃんに声をかけてやる!!」


「お前めげないな」


マサくんが呆れたように言う。確かに立ち直り早いね。


「とりあえず、隣のクラスの子を誘うか」


「もう決めてるんだ……」


「おう。すっげー美人がいてよ、」


やれやれ、こんなんじゃナンパなんて成功しないだろうなぁ。


「ハーフっぽい子でさ、髪とか肌とかすっげー白いの」


ん……?


「そんでウサギみたいに紅い目でさ、おまけに巨乳なんだぜきょ・にゅ・う!! こりゃもう声かけるしかないだろ」


ははは、もしかしなくてもお姉ちゃんだよね。


「ねぇカズくん」


「ん? なんだよ?」


「お姉ちゃんに手を出したら



       こ   ろ   す   よ     」



「「「「「ひいぃぃぃ!!」」」」」


なぜか周りからも悲鳴が上がった。なんでかな?


~一方その頃~


「はぁ……」


あたしは教室に入ってから何度目かのため息を吐いた。理由は言うまでもないだろうが、優希と引き離されたからだ。まったく、姉弟だからって違うクラスにすることないだろ。どうせ血はつながってないんだし。


「いい加減ため息つくのやめなさいよ」


「だってよ~」


「はぁ……あんたってほんとブラコンね」


美奈が呆れたように言う。ブラコンの何が悪い!!


『ひいぃぃぃ!!』


なぜか隣のクラスから悲鳴が聞こえてきた。


「な、なに!?」


「ん~? 大方、優希のヤンデレモードじゃねぇの?」


ヤンデレモード。誰が言い出したかは忘れたが、優希は嫉妬とかするとその状態になる。目のハイライトが消えて非常に怖い。しかも運動能力が飛躍的に上がるし、たまに包丁とか取り出してくる。

……絶対、母さんからの遺伝だよなぁ。そんなとこ似なくていいのに。


「なんでいきなりヤンデレモードになるのよ……」


あたしが知るか。


「ふぇぇぇ。間に合ったですぅ」


なんか教室にツインテールのちっこいやつが入ってきた。もうすぐHR始まるぞ。初日から遅刻ギリギリかよ。


ちっこいのはキョロキョロと周りを見回すとあたしに目を留めた。

やれやれこいつもか。先天性白皮症(アルビノ)が珍しいのはわかるが凝視すんなよ。


「ほわ~……」


ふらふらと近づいてくるちっこいの。


「天使さんです?」


「そう言われんのは初めてだな」


あたしはこんな見た目だからよくからかわれていた。そん時相手を片っ端からボッコボコにしていたら付いたあだ名が白い悪魔。あたしはどこの魔砲少女だ。


「へ~、天使ねぇ」


ニヤニヤする美奈。こいつ、あたしの昔のあだ名知ってるから面白がってやがる。


「ご、ごめんなさいです。真っ白だったからつい」


「別にいいさ」


「紗彩は、国枝(くにえだ)紗彩(さあや)です。これからよろしくです」


「おう。あたしは天道栗栖」


「私は高橋美奈よ」


お互い自己紹介をしたところで担任が入ってきた。


さてさて、これからどうなることやら。




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