第1話 こんな家族だけどいいじゃない!!
にじファンで書いていたころに作ったキャラの設定を変えて書いてみました。大幅に変えたせいで名前と容姿ぐらいしか残ってませんが……
ラブコメでも書きたいなと思っていたので書いちゃいました♪
ピピピピッ!! ピピピピッ!!
「う……にゃ……」
朝。目覚まし時計の音で目が覚める。
腕を伸ばしてアラームを止め、起き上がる。
「ふにゃ~~~」
あくびをして目をこする。数回まばたきをすると、壁にかけてあるものが目に入る。
ブレザーとネクタイ、それとズボン。私立星山学園の制服一式だ。
ボク、天道優希は今日から高校1年生だ。
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洗面台で顔を洗い、タオルで拭く。顔を上げると、鏡に自分の姿が映し出されている。
女子の平均よりも若干低くて華奢な身体。腰まで伸びているサラサラした長い黒髪には一房だけ白髪が混ざっている。ぱっちりした二重瞼と長いまつ毛といい、ふっくらした薄桃色の唇といい、我ながら結構かわいい顔立ちをしていると思う。
……うん、どう見ても女の子にしか見えない。まあ、かわいいって言われるのはなんだか嬉しいから別にいいけど。
そういえば、髪って切らなくていいのかな? 中学のときはなあなあで済ませてたけど……切るのはなんかヤだなぁ。とりあえず、後ろで纏めておこう。白髪は……三つ編みでいっか。
「おはよ~、優希」
ボクが鏡を見ながら考えていると、お姉ちゃんが入ってきた。まだ眠そうにしている。
お姉ちゃんの名前は天道栗栖。先天性白皮症という遺伝子病のせいで、肌や長い髪は真っ白で、瞳は紅い。紫外線に弱いから外に出るのが大変だっていつも言ってる。
お姉ちゃんは結構美人だ。すらっと背が高くて、そこいらのグラビアモデルが真っ青になるくらいスタイルがいいし、ハーフ特有の東洋と西洋の混ざった顔立ちはとってもきれい。
……ここまで言えば分かるだろうけど、ボクとお姉ちゃんは血がつながっていない。お姉ちゃんは養子なのだ。なんで養子になったのかを話すと長くなるから、また今度ね。
とにかく、ボクとお姉ちゃんは双子という設定になっている。今日から一緒の学校に通うんだ。
「あ、おはよう、お姉ちゃん。今日は早いね」
いつもはボクが起こしに行くまで寝ているはず。
「あ~、なんか目が覚めてな」
たぶん、高校が楽しみなんだろうね。遠足の時に早く目が覚めるみたいな感じかな。
「そっか。じゃあ、ボクは朝ごはんを作るから、ちゃんと顔洗って身支度を整えてね」
「へいへい。わかってるって」
生返事のお姉ちゃんに苦笑しつつ、洗面所を後にした。
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「ふんふんふ~ん♪」
鼻歌交じりに朝ごはんを作っていく。なんでボクが作っているかというと、お母さんの料理の腕がからっきしだからだ。元々、留守にしがちな両親だし、ボクが作るようになってからは料理はボクの担当ということになった。
お姉ちゃんは……まあ……暗黒物質……いや、そんな生易しいものじゃない。未確認物質を量産するね。
今日の朝ごはんは洋食。ベーコンエッグにトースト、サラダ、それとコーンスープ。本当はオニオンスープがいいんだけど、お母さんが玉ねぎアレルギーらしく、お母さんがいる日は作れない。
「おはよう、優希。何か手伝うことはあるか?」
「おはよう、お母さん。じゃあ、お父さんにコーヒー持ってってくれる?」
お母さんは身内から見ても美人に見える。大和撫子という言葉がよく似合う。性格は男勝りだけど。その辺、お母さんとお姉ちゃんって似てるなぁ。
「ああわかった」
あらかじめ淹れておいたコーヒーを持っていってもらう。
「お父さん、コーヒーだ」
「ああ、ありがとう」
黒髪の中に混ざっている白髪をいじりながら新聞を読んでいたお父さんは新聞を畳んでコーヒーを受け取る。ボクの白髪って、絶対お父さんからの遺伝だよね。なんだろう、これ。
そういえば、お父さんは白髪をいじる、ボクは噛む癖があるけど、癖ってなんでやっちゃうんだろうなぁ。
そんなことを考えながら盛り付ける。テーブルに持っていくと、すでにお姉ちゃんも席に着いていた。長い髪を後ろで纏め、制服を着ている。女子は男子と違って、ネクタイじゃなくてリボンだ。というか、お姉ちゃんのスカートが短いような……ま、いっか。
「「「「いただきます」」」」
挨拶をして食べ始める。うん、今日もおいしく出来てる♪
「そーいやさぁ優希」
「うにゃ?」
猫舌のため、スープをふーふーと冷ましているとお姉ちゃんが話しかけてきた。
「本当にあたしと同じ高校でよかったのか? お前ならもっといい高校を、それも推薦で行けたろ」
確かに、ボクはお姉ちゃんと比べて勉強がよくできる。先生ももっといい高校を勧めてくれた。けど―――
「お姉ちゃんと一緒に行きたいからいいの」
やっぱり、お姉ちゃんと一緒にいたいから。
「そ、そうか」
若干赤くなるお姉ちゃん。肌が白いから赤くなるとすぐ分かる。
「うんうん、やはり好きな人とは共にいたいものだな」
同じく猫舌のため、スープをふーふーと冷ましていたお母さんが言う。
「お母さんも、お父さんと共にいたかったから、がんばったものだ」
「ははは、そうだねぇ。よく追いかけられていたっけ」
「元ヤンだったからな。それくらいしかできなかったんだ」
「元ヤン……」
「意外だな……」
お母さんが元ヤンキーだったなんて想像がつかないなぁ。あ、もしかして男勝りな性格なのもそれが理由だったりして。
「そういえば、あの頃使っていた鉈はどこいったかな」
「よく殺されかけたっけね」
「「元ヤンデレ!?」」
元ヤンキーより怖い事実が発覚した。知りたくなかったよそんな事実。
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「おーい、栗栖。まだかー?」
「今行くー」
バタバタとお姉ちゃんが走ってくる。外に出るための準備をしていたのだ。
「日焼け止めはちゃんと塗ったか?」
「おう。ばっちり」
そう言ってサングラスをかけるお姉ちゃん。オシャレのためのものじゃなくて、UVカットを目的とした薄い色のものだ。
お姉ちゃんは紫外線に弱いから、いつもこういった対策をしてから外に出る。おまけに、視力も悪いからコンタクトレンズをつけている。先天性白皮症って大変だね。
「じゃあ行くか」
「うん。……それにしても、二人ともよく有給とれたね」
いつも仕事で忙しい両親と一緒に家を出るなんて結構珍しい。
「我が子の晴れ舞台なんだ。多少の無茶は通すさ」
「あんまり親らしいことをしてあげられていないし、これくらいいいよ」
そう言って「ははは…」と笑う二人。ちょっと無理させちゃったのかなぁ。
「まあいいからさっさと行こうぜ。遅刻すんぞ」
「そうだね」
お姉ちゃんと指を絡ませながら手をつなぐ。
「行くか」
「うん」
家族全員で歩き出す。
これから、どんな学校生活になるのかな。