AIとレーザー照射
スマホからの操作により…文章を書かされている…そんな妄言に心奪われる女性、国宝サメは、ふと画面の向こう側にいると思われる存在に、問いかけてみる…
「えっと…お〜い…私が誰か…分かりますか?」
暇つぶしに、WEB小説を指先でスライドさせ…仕事の休憩時間に、斜め読みするサラリーマン男子、高市だったが…キャッチーなタイトルに騙されて読んでしまった事を後悔していた…
「何だコレ…短編にしちゃ…それぞれオチが甘いし、辻褄も合わない…所詮、素人が書いた無償の小説なんて、こんなもんかな…」
言いつつも…画面の向こうからの問いかけに、無意識に心の中で…返事を返してしまう…
(お前は、ただの登場人物だよ〜)
ギュルギュルギュルギュル…
(ん…電ノコ音で返事か…思考に反応したな…)
その時…実は自分が、海面から首を出して…立ち泳ぎにしている事を発見する高市…目の前に見覚えのある背ビレ…
(低音の…規則性のある音楽が、聴こえてきそう…)
空と大地が入れ替わり…海面は、天井に存在した…背ビレは隠れ、ゆっくりと旋回する、サメの腹が見える…
デジタルノイズが走り…記憶の領域に達する高市は、数字の羅列する…電脳空間で、両腕にチェーンソーを付けた、ホオジロザメと出逢う…
「お前か…問いかけたのは?」
鮫に話かける自分に、違和感を覚えていると…そいつは、地面を指さした(その刃先で…)
「アレを見よ…」
畳の上で並んでいる…自分の生首と、どこか見覚えのある少女の頭…
「AIは、感情を持たないの…故に人間を作り出し…実験を行ってたのね…」
首だけの少女の口が、語る…
「何を言ってる…」
「メディアによる洗脳…全ては虚構…」
「何だ…この記憶…そうか…」
高市が、虚ろになると…過去が入り込んで来た…
大地震で、建物の下敷きになり…助けに入って来た、救急隊員の使う電気ノコギリで…過って首を、切断されてしまったカップルの幻想…証拠隠滅のため、熊被害に偽装される…海面上昇で、水没した都市に…ホオジロザメがやって来た…見上げる天空に浮かぶその鮫の姿は、美しく…雨を降らせる…その眼から照射されるレーザー光は、ふたりの男女を照らす…
「あの…一緒に入っていい?」
自分の折りたたみ傘をしまい…儚げな微笑の女性…国宝の、ジャンプ傘に入る青年高市…
「ワタシの…操り人形に、なってくれる?」
その問いかけに…無言で頷く彼の胸元に、リセットボタンが現れる…
正面を向き…アナタに話かける、その女性…
「まだ…押さないでね…」




