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強くてカワイイが最強です! 〜魔法適性Fランクの落ちこぼれ魔法使い、Sランクの魔力蓄積量とスキル《魔力操作》で最強を目指す〜  作者: 沢谷 暖日
第2章 アレクシス王国、王都

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第19話 王女様の来訪

 私たちは王都の南門近くの宿に泊まることにした。

 ここなら冒険者ギルドも近いため良い拠点になるだろう。

 部屋は一人部屋しか無いため、少し高くはつくがドロシーとは別々の部屋だ。

 内装はシンプルにベッドとテーブルと椅子、クローゼットで構成されている。

 荷物を置いた後は街に繰り出し、ドロシーの衣服や生活に必要なものを購入し、そうしているうちにいつの間にか時計の針は夜を回っていた。


「じゃあ。早いけど、今日は寝よっか?」


 夕食を宿の一階で済ませ、私はドロシーに問いかける。


「だね〜。すごく疲れちゃった」

「明日はどうしよっか? 明日考えるでもいいし」

「うん、そうしよ。……あとクロエ、今日はありがとう。選んでくれた服も、とっても可愛い」


 と。ドロシーは嬉しそうに白のワンピースを見回している。

 だけど、どことなくぼーっとしているのは、多分眠いからなんだろう。


「ありがと。けど、可愛いのはドロシーが着てるからだと思うよ」

「……そ、そう?」


 何気なく言うと、ドロシーは顔を背け、バッと椅子から立ち上がった。


「部屋戻ろっか!」


 ドロシーの黒髪が慌ただしく揺れて、そのあとを追う。

 「じゃあまた明日」と部屋の前で別れ、着替えもせずに私はベッドに倒れ込んだ。


「はぁ〜〜……」


 あまりにも大きな溜息が飛び出る。

 天井を見上げながら、今日は本当に色々なことがあったな、と思う。

 主に朝方のことだけど、魔獣に襲われて、王女様に助けられて。

 かと思えばいつの間にか、城の中にいて……って。ほんと凄いな。


「魔獣、か……」


 思えば、私があの時、馬車を飛び出してなければ、こんなことにはなっていなかった。

 昨日の余韻か、自分への陶酔か。ともかく私のせいで迷惑をかけてしまった。

 ドロシーは私を咎めなかったけど、これに関しては反省すべきだ。

 そういえば王女様にもお礼を言えていない気がする。

 今日の私は色々とまずかった。


「…………」


 けど。王女様には、もう会えない。

 改めて考えてみても『また会おう』なんて言ってくれたのは、優しさだったのだと思う。

 それにしても、王女様は可愛かった。それこそ、五年前と変わらない。

 彼女の表情は、あの日抱いた私の夢を確かにはっきりとさせてくれる。

 私の夢──強くてカワイイ最強の魔法使い。

 だけど我ながら、やっぱり子供っぽい夢だ。

 ドロシーは、かっこいいって言ってくれたけど。

 ……私は、まだ強くない。

 それを魔獣との戦闘で、嫌というほどに実感した。

 どうすれば私は、強くなれるのだろう。

 天啓スキルの『魔力操作』が重要になるのだとは思う。

 ──って、そういえば天啓スキルもまだはっきりとはしてないんだっけ。

 天啓スキルの鑑定もして貰わないとな。……まぁ、今更感はあるけど。

 あとは、可愛くなるためにお化粧とかもしたいな。

 あとは、あとは、あとは──。


 ──意識が遠ざかる。


         ※


 ──コンコン。


 そんな音が耳に届いて、私は目を覚ました。

 刹那、付けっ放しの天井の光が目を刺す。

 寝ぼけ眼を擦りながら、私は壁掛け時計に目をやった。

 まだ深夜だった。というか、深夜ど真ん中である。


 ──コンコン。


 再び聞こえたその音に、寝ぼけていた意識は覚醒した。

 てっきりドロシーがドアを叩いたのだと思ったが、どうやら違う。

 音の出どころは窓からで、私は恐る恐るベッド横の窓に目を──。


「きゃ──!」


 思わず声が出て、身体がびくりと跳ねた。

 心臓がバクバクと脈打ち出す。

 ……窓の外に人がいる。ここは宿の二階なのに。


「え……?」


 そして。

 見間違いじゃなければ、それは王女様だった。

 それは、王女様だった。

 何回でも言おう。

 それは、王女様だった。


「開けてくれる?」


 窓越しの申し訳なさそうな顔をした彼女は、くぐもった声を届けてくる。

 ハッとした私は膝立ちでベッドに登り、ほぼ反射のように窓を開いた。

 すると王女様は「よいしょ」とベッドに転がり込んでくる。

 当然私も巻き込んで、共にベッドに倒れ込んだ。


「────」


 彼女の目が、そこにあった。

 体温と、金色の髪が私に触れた。

 なんだこれ。なんだこれなんだこれ!


「ど……どどど、どうして?」


 敬語すらも忘れて、覆いかぶさる彼女に問う。


「ごめん。……痛かった?」


 王女様は言いながら、身体を起こしベッドに正座をした。

 私は「だ、大丈夫です」と何がなんだか分からないまま、同じ体勢を取る。


「よかった。起こしちゃってごめん。朝方ぶりだね、クロエさん」

「あ、あ、朝方ぶり、ですけど。……な、なんでここが分かったんですか!」

「クロエさん、凄く大きな魔力を持ってたから、簡単に覚えちゃったの。私の天啓スキルの『魔力探知』でね」


 王女様は子供っぽく笑った。

 そこには朝のような凛々しさは感じられず、ただ、可愛かった。

 それこそ五年前の、はつらつな彼女を思い起こさせる。


「け。けど、どうしてここに……きたんですか?」

「あれ? 私、言わなかったっけ? 『またいつか、会いましょう』って」

「覚えてますけど、それがこんな夜だなんて思いませんよ……」


 言うと、王女様は両手を合わせてあざとく首を傾げた。


「ごめんね。城を抜け出せるのが、今くらいのものだったから」

「そ、そうですか……」


 とは言ったが、何一つとして腑に落ちない。


「敬語は大丈夫。気軽にリリアンって呼んで」


 とは言われるが、何一つとして受け入れ難い。


「大丈夫? 急だから驚かせちゃった?」


 と言われて、意識が現実に戻る。


「は、はい。驚きました……」

「敬語は大丈夫だって!」

「うん。……分かりました」

「だから敬語は大丈夫! 私たち同い年くらいだよね」

「はい。……そうだと、思います」

「だから──」

「分かった! 分かったから! 敬語は使わないから!」


 敬語を使い続けると、一生このやりとりが続きそうだった。

 けど。タメ口で話すというのは、なんというかムズムズ(?)する。

 だって彼女は王族だ。こんな言葉遣い、不敬だろう。

 彼女の関係者が近くにいたら、首を飛ばされかねない。

 ただ。この雰囲気が、私が敬語を使うことを許してくれそうになかった。


「改めて、私はリリアン・フォン=アレクシス。よろしくね」

「……よろしく。私はクロエ・サマラス……だ、よ」


 やっぱり落ち着かない。

 しかし王女様──リリアンは満足げに頷いていた。


「うん。それじゃあ、本題に移るんだけど──」


 パンと手を鳴らした彼女は軽く息を吸った。

 私も同調するように、息を呑んでしまう。

 その口からは、どのような言葉が飛び出すのだろう。

 期待と不安が入り混じる、そんな中で。


「私の、お友達になってくれない?」


 彼女はなんでもないことのように言い放った。

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