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観覧車が周りきるまでに

作者: 黄金虫

足元お気をつけてお乗りください。


ギコーーと古びたドアが開く。


僕は君の手を持って支えるように観覧車の中へ誘った。


2人は隣に座り、無駄に狭い空間で心拍音だけ聞こえる。

多少落ち着いた気がするが、まだ君の顔を見れるほどじゃない。

ゆっっくりと顔を右に向ける。

顔の赤い君。


告白していいですか?  いやだめだ、自惚れるな。

君はただ熱いだけかもしれない。


今日のデートは2回目だ。

本当は3回目がいいとネットに書いてあったんだが、この気持ちを早く伝えたい、そう思っている。


告白のシュチュエーションもいっぱい妄想したけど、どうすればいいかわからず、今この場所にいる。


沈黙が続き、観覧車は4分の1回り終えている。


このなんとも言えない空気をどうにかするために話をかける。


「今日、楽しかった?」


「うん、楽しかった。」


今日はまあ色々あったからな。

僕のミスで開園する1時間前集合にしてしまった。

申し訳ないと思うが、僕にとっては最高の時間だった。


絶叫アトラクションを乗ったり、お化け屋敷行ったり、腰抜けちゃったね、と今日の思い出を頭に閉じ込めるように振り返っていく。


僕は正直楽しめなかった、この告白という重圧から解放するものがなかったからだ。


乗っているこの観覧車のゴンドラにも失敗した人たちの怨念があるのだろう少し寒気がする。


話を続けていると、僕たちのゴンドラは頂きまで回っている。


今が告白のポイント!  いや失敗しちゃうかな。自信がないや、、、

夜景が綺麗なのに


「わあ、外すごい綺麗だね。」 


「そうだね。」


この会話の間に僕たちのゴンドラは下がり始めた。

最悪だ、この機会を逃してしまった。

          

綺麗な夜景にどんどん近づいている。


「あ、あのさ、、」 勇気を振り絞れ!


「何?」


ぱっちりした二重、すらっとしてる鼻、綺麗な唇、肩までの短い髪、今日初めてちゃんと見る君は綺麗で、言葉が詰まり、顔だけが赤くなった。


こんな子が僕の彼女になんてなるのか、、勇気が振り絞れない。


そうこうしてるうちに観覧車は4分の3も周り終えていた。


終わった。今日は無理だ。でも今日じゃないと、

そんな葛藤が続き、、


ギコーーっと振り扉が開く

僕は彼女の手をとり支えるように綺麗な夜景へ誘った。




                                                                                                                         


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― 新着の感想 ―
[良い点] 言いたいけど言えなかったー そんな青春の香りが詰まった作品でした 私も告白しとけばよかったなぁーって思いました
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