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異界球宴 7色魔球の龍人投手  作者: 田中彼方
歴史の始まり シニア1年目
5/7

全中大会

夏の全国大会、通称全中大会、全国のシニア、ボーイズのチームがほぼ全て出場する、春の天球宴、秋の金剣杯と並ぶ大きな大会だ。

 この大会は県予選を勝ち抜いた全国49チーム(北怪道と刀京は2チーム)が出場するシニアの光史園とも呼ばれる非常に規模の大きい大会だ。i知県はそれなりの激戦区であり、爆弾シニアも昨年は出場を逃したらしい。


i知県大会 爆弾シニア 初戦 対茂武シニア

 

順 背  年        種族

1 2 1 捕手  天月 詩  ヒューマン

2 6 2 遊撃手 明石 優子 犬獣人

3 11 1 投手 輪堂 英栖 龍人

4 3 1 一塁手 大道寺 元 虎魔人 

5 4 3 二塁手 中山 金二 ヒューマン

6 5 2 三塁手 松本 一秀 熊獣人

7 7 3 左翼手 ジョン 岸 兜虫蟲人

8 8 3 右翼手 林 隆平  犀獣人

9 9 3 中堅手 市川 敏夫 エルフ


見ればわかる通り超攻撃的な布陣だ。

 1番に性格が尋常じゃなく悪いため、めちゃくちゃ粘ってくるヒットメーカー天月、      

 2番に女子ながら50m4秒台の明石さん、この人は爆弾シニアの中では、随一の守備力を誇り、内野の要、ショートを守っている。

 3番は僕、輪堂、パワーは大型系に敵わないが、ミート力はチームでもトップ3には入るし、ピッチャーもできるので、順当にスタメンだ。年功序列で背番号1は三年の先輩がつけてるけど、実質的な一番手投手。今日も大事な初戦だが、僕が先発だ。

 4番は大道寺、日本、特にアマチュア野球では最強打者が置かれる4番を1年から背負う、パワーにもミート力にも優れた爆弾シニア一の強打者。春の大会はメンバー登録が遅れたため、僕と大道寺は出場できなかったので、僕と大道寺にとってこれが初の公式試合となる。敵にしたら嫌だけど味方だと非常に頼りになるバッターだ。

 5番はキャプテンの中山さん、ヒューマンだがそれなりのレベルの肉体強化魔法を使い、大型種族なみのパワーを持っている。守備力も普通のチームのちょっと下手な人くらいにはあり、リーダーシップもある。更にイケメンと素晴らしいスペックを誇るが、凄く残念な人だ。具体的には童貞感が強すぎる。モテそうなのに、、、。

 6番から8番は守備力が壊滅的な大型種族三人組、彼らにとって白球は小さすぎるうえ、うちの守備練習の時間はゼロ、先輩だが守備に関しては、僕の方が遥かに上手い。とはいえ、やはりそのパワーは魅力だし、外野中心なので守備崩壊しないと信じたい、、、

 このチームは守備はダメだし、練習中は打たれまくるし、本当にピッチャーに厳しいと思う、、、

 そして、9番打者、外野の要、センター(中堅手)には、珍しく定石通り、エルフを配置している。エルフは風魔法を得意とするので、フライの多い外野守備に生まれながら適正がある。プロの試合ではホームランを特大フライに抑えるといったスーパープレイも見られるし、個人差はあるが、風魔法を用いた守備はかなり堅い。

キャッチャー、ピッチャー、ショート、センターの4人、センターラインがしっかりしているので、なんとかなってほしい、、、

 ちなみにこのエルフ、市川さんも打撃で選ばれており、守備貢献というのがピッチャー以外ほとんどスタメン選出に関係しないのが、この爆弾シニアの非常に恐ろしいところだ。




「ねえ、緊張してる?」


「まあ、それなりには、、、初めてだし。」


「私のリードに従いなさい、優しく・し・て・あ・げ・る」


「、、、」


「どうして、黙ったの?あれれー?何か興奮してなーい?どういうことかなー?」


天月が他のチームメイトには聞こえないように小声で煽ってくる。この性格の悪さも僕の緊張をほぐそうとしてくれてるのだと思いたい。キャッチャーは相棒じゃないのだろうか?こいつが味方だと思えたことはほとんど無い。


「何点までに抑えればいい?」


「ゼロ、と言いたいところだし、私がリードに本気出せばやれないことはないけど、まあ目標は2点かな」


「なんで?」


「10点は絶対取れるから。うちの打線は間違いなく全国トップクラス、地方の1回戦で完封されることなんて無いんだから、打たれても球数と体力を節約した方がいい。」


「抜いて投げていいの?」


「まあ、それなりにっていうか、私のリードに従えばいいよ、抜いて投げてもいい場面は適当に投げさせるから」


「まあ、頼むわ、そこだけは信頼してる」


天月は、僕には最初あったときからどうしようもないほど糞みたいな言動と行動を取り続けているが、リード、引いては野球に関してだけは無条件に信頼できる。日々のトレーニングに、ピッチングの練習、天月は絶対に嘘はつかないし、キャッチングでどれだけ痛くても弱音を吐かない。


「それだけで、充分よ。私も野球以外であなたのこと、信用してないから。」


口はやっぱり悪いが、、、


「まあ、野球に関してはあなたのことを信じてるから。」


僕の手を握りながら耳元で囁く。思わずドキッとして、天月の顔を見るといつも通りのニヤニヤ笑い。


「あれー?試合前なのにナ・ニに緊張してるのかなー?」


訂正、性格はもっと悪い。







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