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異界球宴 7色魔球の龍人投手  作者: 田中彼方
歴史の始まり シニア1年目
2/7

交換条件

不定期投稿です。野球初心者、小説初心者ですがお付き合いいただけると嬉しいです。

 次の日の放課後、憂鬱な気持ちになりながら、辞める旨を伝えるため監督のところへ行こうとすると、美少女天月がうちのクラスにやって来た。


「輪堂君、ちょっと来てくれる?」


クラスの空気が凍りつく。かたや、学年一の美少女のヒューマン。かたや、友達ほぼゼロでクラスでも浮いている龍人。ありがちな冷やかしすら聞こえてこない。何をやってもボクの有利に働くことはないため、大人しく彼女についてボクは教室を出ていった。、、、、後はもう知らない。


「ボクはなんと言われても野球やる気はないから。」


先に切り出す。これだけ拒絶したらさすがに誘われることはないはずだ。


「あ、いやその話じゃなくて、昨日のビデオ

を職員室とPTAに提出したから、その報告。アイツらは一応処分受けて、君の野球部やめる発言も成り行きで監督と教師に聞かれたから、もう退部は受理されてる。君は下級生で被害者だからお咎めなしってさ。」


「それはありがとう、、、」


普通にありがたいけど、なんか気が削がれた。


「ところでさ、輪堂君に提案があるんだけど、この借りの分だと思って聞くだけ聞いてくれないかな?」


この女、頭いいよな。多分野球の勧誘なんだろうけど、この流れだとなかなか断りづらい。


「聞くだけなら、、」


「昨日断られてからさ、私が交換条件として提示できるものないかなってちょっと輪堂君のこと調べてみたんだけど、輪堂君ってさ、革命中学目指してるんでしょ。」


なんで知ってるんだ、、、友達いないから進路とか誰にも言ってないのに。マジで怖い。


「一応そうだけど、、」


「でも、ちょっと成績が足りなくて怪しい。」


「いやいや、ちょっと待って、なんでそんなこと知ってんの?誰にも言ってないのに、ねえ」


「それはまあ企業秘密だけど、私が勉強見てあげようか?」


いや、企業秘密は置いといたとしても、同学年の人に勉強教わってもどうしようもない気がするんだけど。


「あ、一応これ私の成績表ね。」


少し前に受けた、全国共通の学力テスト。どんなもんかと思ってみてみると。


「わお、、」


全国順位三位、そしてうちの学校ではぶっちぎりの一位。確かにこれなら教えられるだけの差があるかもしれない。ボクはうちの学校では上位一桁だけど、県内トップレベルの革命中学を目指すなら、確かにちょっと物足りない。


「じゃあ、交換条件って言ってたけどこっちは何すればいいんだ?その内容と教えてくれる頻度によっては天月さんの提案を呑んでもいい。」


「週三回で合計六時間勉強見てあげる。対価は、受験が終わったあとシニアのチームに一年間所属すること。」


「一年経ったらやめていいの?」


「別にいいよ。まあ、やめたくなくなると思うけど。」


天月はクスクス笑った。


一年間野球を続けるだけで、全国トップクラスの天才から勉強を教えてもらえるのか、、、

 悪くはない、いやむしろ好条件過ぎるかもしれない。

ただ、彼女がなんでボクが野球することにここまでこだわるのかがわからない。


「その条件なら野球をやってもいいよ。けど、なんでいきなりボクにそんな提案をするの?野球部やめた人全員を誘ってる訳じゃないでしょ。」


「うーん、まあ、才能があったからかな。あとは、、、まあいいや。今話すことじゃない。」


「ボク野球上手いかわかんないよ。まともに練習させてもらえなかったし、、」


「見たらわかるよ、君は間違いなくピッチャーとしての才能がある。私が言うんだから間違えない。」


ボクは彼女のことを何も知らなかったけど、なぜかその言葉が正しいことには確信が持てた。

まだ、野球に対して抱く悪感情は変わらなかったけど、彼女と野球をするのは楽しいんじゃないかなとふと思った。






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