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097 創作魔法

「鎮まりたまへ!! 鎮まりたまへ!! 我輩の愛する町で好き勝手は許さんッッッ!!!」


 空にオッサンがいた。


 真っ赤な派手なマントをバタバタはためかせ、鬼ヶ島の鬼が持ってそうなメイスを片手に持っている。


 それはやけにガタイのよいオッサンで、おかしなボリュームの七三分けに、ゴリラに似たタラコ唇……どっかで見た顔だ。


 ん?


 アタシはアイジャールさんの方にいる、エムドエズを見やる。


 似ている。


 似すぎている。


 もう嫌な予感しかしない。


「お兄ちゃん! 来てくれたんだね!」


 アイスクリーム屋さんに出会ってしまった少年のような輝く瞳で、エムドエズはそう声を上げた。


 こんな顔、2体としていてたまるか…そうアタシは本気で思っていたのに。


「我輩こそが、コルダール冒険者ギルドの長! エスドエムであーーるッッ!」


 は? エムドエズじゃなく、エスドエム??


 これが……ギルド長?


「……来おったか。助かったな」


 ダルハイドさんがホッとしたように言うことから、本当にギルドマスターらしい。


「とうッ!」


 エスドエムは古い特撮ヒーローのように、地面へと着地する。


 顔つきはどう見ても戦士とか武道家なのに、服装からして魔法使いらしい。空を飛ぶ魔法が使えるんだろう…たぶん。知らんけど。


「このカニどもがッ! おりゃぁぁッ!」


 エスドエムの振り下ろしたメイスの一撃で、ガニンガーの1体がグシャグシャに潰れる!


「な、なんて攻撃だ!」


「よく見ておけ、マイザー。あれが現役時代パープルまで登りつめた男の戦い方じゃ」


「パープル!? あの、船長によく似たオッサンがパープルのレンジャー!?」


 大変に不愉快だけれども、アタシもマイザーと同意見だ。


 ガニンガーたちは明らかに警戒した様子で、エスドエムを囲う。


「貴様! よくもジャクリンをカニ!」


「フン! カニに名前があるのか? 皆、我輩には同じに見えるわ!! 区別がつかん! もうちょっと個性的にしろ! このモブどもが!」


 大変に不愉快だけれども、アタシもエスドエムと同意見だ。


「大将軍には、貴様には苦しんで死んでもらうように厳しく言いつけられているガニィ!」


「恨まれる覚えもないが、売られた喧嘩は買うのが我輩の性分! かかってこい!」


 怒り狂ったガニンガーたちが、一斉にエスドエムに向かって襲いかかる!


「創作魔法! 【爆裂鳩胸】!!」


 エスドエムが何かの魔法を使う。


 そしてエスドエムの胸が…爆発的に膨れ上がる。


 なにこれ?


 オッサンの胸が巨大になって…なにこれ?


「筋肉増加魔法の【ストレングス】にゃ…でも、なんて意味のない使い方にゃ」

 

 ウィルテがフレーメン反応を起こした猫の顔をしている。


「意味がないだと? 意味は後から創るのだ!! 【パイパンチ】ッ!!」


 エスドエムはそう言い、自分の乳房を振り回す。


 ゴグシャアッ!!


「ガニィ!!」


 乳に殴られ、ガニンガーがグチャグチャに砕かれる。メイスで殴った時よりも派手に砕け散った。


「【パイプレス】ッ!!」


 ゴゴグシャアッ!!!


 乳で叩き潰す。人間で言うところの頭蓋骨陥没だ。


「どうだぁ!?」

 

 モデルみたいに腰に手を当て、脚を交差させるな…。


「我輩の【ダブルパイパイ】に敵は無し!」


「「あ"?」」


 アタシとウィルテは一緒に声を出していた。


「た、助けてぇ〜!」


 え? 叫び声が聞こえて、アタシは振り返ると、そこにはガニンガーに捕まったギグくんがいた。


「小僧! しまったにゃ! あまりにアホらしい戦いっぷりに気が散ってたにゃ!」


「我輩が“乳くり”あっている時に子供を人質にするとは小賢しいことよ!」


 ふざけんな! 

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