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042 彼女の本音

 アタシたちの前に現れたのは、ギルドの受付にいたランザさんだった。


「なんで、アナタが……」


「どうして……」


「え?」


「どうして、ここで邪魔をするのよ!」


 ローラさんの後ろで目立たないようにしていた時とは違い、憎悪の感情をむき出しにしてランザさんは怒鳴る。


「……様子がおかしい」


「う、うん」


 ユーデスにそう言われ、アタシも警戒をする。


「これが終われば、私は幸せになるの! もう今までの“つまらない女”じゃなくなる! この狭苦しい島を出て、私はマルカトニー様と一緒になるの!!」


 “つまらない女”……その言葉にアタシの胸がズキリと痛む。


 彼女が何のことを言っているのかは分からない。


 ただ、最初に見た瞬間、アタシは彼女の中に自分の存在を感じた。


 そう。転生する前、デヴで陰気で何をやってもダメだった女だ……


 強い自己否定。


 どうしようもない嫌悪感が強まっていく。


 もがき、苦しみ、悲しんで……

 

 アタシは……私は……自分を棄てた……


「レディー」


「…ユーデス」


「大丈夫。君の動揺は私にも伝わってくる。でも、心配しないで。君には私がついている」


 そう。この言葉がどれだけ心強いか……


 ユーデスが側にいてくれたから……


 ダメなアタシでも……


「私はこんなところで終われない!!」


 ランザさんが胸元から取り出したのは、紫色の液体に満たされた小瓶だった。


「!? あれは!!」


「ユーデス?」


「ダメだ! 止めるんだ! レディー! あれは…」


 ユーデスに言われ、慌てて走りだそうとしたけれども…間に合わなかった。


 ランザさんは一口で小瓶の中身をあおり、空瓶を放り捨てる!


「あああああッ!!」


「まずい! レディー、急いでここから逃げるんだ!」


「でも、2人が!」


「クッ! 彼らの身体に、私を一瞬だけ押し付けて!」


「え?」


「いいから! 急いで!」


 ユーデスに言われるまま、アタシはウィルテとフィーリィーに剣の側面を当てる。


「ぎにゃッ!」「グウッ!」


 まるで電気でも走ったかのように、2人はビクンと跳ねたかと思うと目覚めた。


「一瞬だけ魔力を流して、気付けした! さあ、急いで!」


「うん! さあ、行くよ! 2人とも!」


「な、なんにゃ?!」「レディー? 私は……」


「いいから! 立って! 急いで!!」


 寝ぼけ(まなこ)の2人を立たせ、振り返らずに走る!


 正直、何が起きているのか分からない。


 ランザさんのことも気になる。だけれど、ユーデスあの焦り方は普通じゃなかった。


 アタシたちは必死で屋敷から逃げ出す。


 そして、屋敷を出た瞬間に……

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