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002 異動事故?

 赤ん坊から人生をやり直す。


 今度は絶対に失敗しない。


 中学の時に、太っていることを理由にフラれたようなことが二度とないように…


 それから自暴自棄になって不摂生なんてしない…


 自分をお腹や太腿の贅肉を見る度に涙を流したりなんてしない…


 100メートルすら走れない自分を罵ったりしない…


 自分に自信を持てなくて、学校でも職場でも友達が作れなかったのはこれでオシマイ…


 父さんにも申し訳ない顔をさせない。


 母さんにも無視されたりしない。


 弟……今回できるかは解んないけど、兄弟とだってちゃんと目を見て話す。


 そう。家族とだって絶対にちゃんとコミュするんだ。


 もう絶対に逃げ出したりしないもん。


 こんな惨めな人生は二度とイヤ。


 だから、この異動に後悔はない。


 私は新しく……



──己が人生を否定するのか?──



 え? 声? どこから?



──命は平等たり得ぬ。しかしても命は命──



 誰なの?



──すべからくして生まれた命を粗末にするは罪──



 粗末?


 粗末だなんて…そんなつもり…



──命を嘲笑う者に、其れに等しき命は与えぬ──



 なに? どういうこと?



──学ぶために命は与えられた。学ばない者は同じ轍を踏むだろう──



 学ぶ? 何を……?



──愚者よ。お前には“冥界”こそが相応しい──



 ひどい……ひどいよ……


 なんでそんなことを言われなきゃいけないの?



 あれ? 墜ちる?


 わ、私は墜ちる…どこへ? 



 イヤ…イヤ……


 イヤァアアア!!!



──こっちだよ。こっちにおいで──




──




「異動成功したんすか?」


「解らん。システムエラーが起きたって話だぞ」


「えー。データ…あー、全部ブッ飛んでるすよ」


「まずいな。サポート班に連絡は?」


「え? でもこの顧客、希望は“転生”すよね? だったら、この“ボディ”は破棄するんでしょ?」


「ああ。“異動交換”じゃないからな」


「そうだとすると、産まれたばっかの赤ちゃんだと追尾が難しいんじゃ…」


「事故として報告を……いや、やめとこう」


「え? いいんすか? 先輩」


「どうせもうこの世界にはもういないんだ。クレームつけるところもないだろう」


「ま、それもそうすね」


「白木博士には俺から連絡しておく」


「あー、はい。あれ? でも、オーナーに直接なんすか?」


「オーナーだが、現場責任者でもある」


「はあ。よくわかんねぇすね。そこんとこ」


「いいんだ。俺たちは知らなくて。…“異動”させられても知らんぞ」


「こっわ!」


「…本当にそう思ってるのか?」


「…しっかし、ブスな上にデヴすね。この女。せっかく全裸だってのにありがたみもねぇや」


「……おい。あんまり変なことはするなよ」


「あー。ヘイヘイ、この娘じゃ、大丈夫す。こっちから遠慮します」


「……そういうことじゃない」

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