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あいうぃるりぃゔいんでぃすわーるど  作者: 迷い猫
第一章 覚めない現実
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第一章1 「夢うつつ」




 目を開けて見えたのは、緑生い茂る木々の生えた自然あふれる光景だった。


「……へ?」


 見覚えのない景色に戸惑い、無意識に変な声が口から出てくる。


 ここは森だろうか? なんでこんなところに? 俺は確か、部屋で寝ていたはずだけれど。

 ……夢か? 明日は大学の入学式で、少し緊張して眠れなかったもんな。眠りが浅かったか……。


 夢だと思うと、混乱していた頭が少し冷静になってきた。とりあえず、現状を確認するために周りを見渡す。


 大きく野太い木々が無作為に天へ伸び、沢山の枝を広げ、綺麗な緑の葉を生やしている。枝には、鮮やかな青色をした小鳥が1匹止まっており、木漏れ日を浴びながらキョロキョロと辺りを見回していた。

 その木の周りには、淡い黄緑色の光を放つ蛍みたいな虫が数えきれないくらい飛んでいる。


 その淡い黄緑色の光が、木影で暗いはずの森を明るくし、とても美しく幻想的な森の光景を作っていた。

 地面に目を向けると、30センチ近くはあるダンゴムシのようなモノが足元近くを這っている。


「……って、デカっ!?」


 巨大ダンゴムシに驚く。それはもう、意識が目覚めたばかりのぼんやりとした思考が一気に覚めるくらいに。


 デカ過ぎだ! しかも、5匹もいるし。

 そのダンゴムシがやたらデカくて目立つが、他にも大小様々な虫たちがいるようだった。空中をバタバタと羽音を響かせながら飛び去って行く山ゴキブリみたいな黒い虫。地面をのたうちまわるミミズっぽい黄色い線に、紫色の芋虫もいる。


 虫ばっかりだ。そして、どれも大きい。何センチくらいかは分からないが、テレビで見たことのある虫たちよりもデカイはず。


 虫は嫌いではないが、流石にヒク。

 どれもこれも、節目や質感がリアルだから、ちょっと気色悪い。いや、ちょっとどころか、かなり気持ち悪いな。


 なんでこんな虫たちがいるのだろう。最近、虫を見た記憶はないのだけど。最後に見たのは、えっと……、いっだったか?


 ……まあいいや。どうせ夢なのだし。ムカデとかゲジゲジのデッカイバージョンだけ出ないことを祈ろう。


 それにしても、綺麗な森だ。

 木漏れ日や淡い黄緑色の光を放つ虫が漂っているので、とても幻想的でファンタジックな光景となっている。まるで、母親のお腹に包まれているような……。柔らかい優しさを感じてしまう。

 森林浴の心地良さというのを実体験しているのかも。


 ただ……、ここでこうしていてもどうにもならなそうだ。一向に目が覚める気配はない。幻想的な光景とはいえ、ずっと眺めているわけにもいかないだろう。

 だからといって、やらなければならないことやするべきことは思いつかないのだけど……。夢から覚める方法は知らないし……。どうしようか?


(う〜ん……)


 あれこれと考えるが、これだと思えるものは出ない。ついでに景色も変化しない。虫はさっきからそこら辺を飛んだりしているが。


 そんな光景にも慣れてきたせいか、それとも単に疲れてきただけなのか。不思議と落ち着いてくる。言い表すのなら、心が洗われていくような。森の緑を見ていると、ゆったりとした気持ちになっていく。


 ……ひとまず、一歩を踏み出した。動きば何かしら変わるだろう。たぶん。分からないけど。


 頬を撫でる緩やかな風。鼓膜を震わす木の葉の騒めき。蛍っぽい虫が飛び交う森の中を転ばないように下を見ながら、ゆっくりと進む。……デカイ虫は出来るだけ無視し、間違っても踏み潰さないようにしながら。






 長編小説初挑戦です。誤字脱字矛盾点等ありましたらご遠慮なくお申し付けください。

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