16.オムライスを食べましょう!後編
一気に登場人物を増やすものじゃないな・・・
と思いました。
王子様の護衛騎士の方々が、私の作ったオムライスを、歓喜の涙を流しながら食しています。
そ、そんなに号泣するほど美味しいのでしょうか?!
作ったかいがありますね・・・
最初は恐る恐るオムライスをスプーンで突いていた、騎士の方々。
見たことのない料理に警戒心が剥き出しでした。
ですが、王子様がオムライスを一口食べ顔を輝かせると、騎士の方々も恐る恐る一口食べ、その後は勢いよくバクバク食べだしました。
なんですか、王子様は毒見役だったのですか?!
逆なのでは?!!
護衛騎士、仕事して下さい!
「メルさん、このおむらいすという料理はとても美味しいです」
「当たり前だ!メルのおむらいすは世界一なのだ!」
王子様がオムライスを食べながら、幸せそうにそう呟くと、何故かシエルがエッヘン!と胸をはっています。
シエルもオムライスが大好きですからね。
自分の好きなものを褒められて嬉しいのでしょう。
シエル・・・尊い・・・!
私もお腹がペコペコです。
お腹が空腹を訴えてクルクル鳴いています。
よし!私もいただきましょう!
目の前のオムライスを見ていると思わずゴクリと喉が鳴ります。
卵の黄色と、トマトケチャップの赤が映えますね!!
とっても食欲をそそられます!
私は、オムライスをスプーンですくい上げると、いそいそとまずは一口。
ぱくり
食べた途端、ふんわりとした卵の優しい食感と甘味が。
そして、ケチャップライスの甘酸っぱいトマトの風味が口の中に広がります。
鶏肉もたまねぎも良い味を出していて、美味しい!
オムライスはやっぱり王道のケチャップで食べるのが一番好きです。
卵も、薄く焼いたものをライスで包むのも好きですが、ふわふわ卵も堪らなく美味しいです!
食が進んでしまいます。
オムライスをモグモグ食べていると、テーブルの向かいに座っていた近衛騎士の方々が空になったお皿を見つめながら、悲しそうな顔をしていました。
ああ・・・オムライスを食べきってしまったのですね・・・
ですが、この人数です。
おかわりは・・・ありませんよ・・・?
ああ、そんな目でこちらを見ないで下さいい!!!!
こうして、この日の夜ごはんは賑やかに終わりました。
ですが・・・問題は翌日からでした。
翌日から・・・
毎日三食一週間・・・
王子様と共に、近衛騎士メンバーも5人揃って家に食事を強請りにくるのです・・・
毎日
毎日!
毎日!!
毎日!!!
毎日!!!!
「メルさん、ご飯はまだでしょうか?」
「・・・・・・・・・」
ここは食堂ではないのですよ・・・?
田舎の村の、日々質素な暮らしをしている普通の家庭なのですよ・・・?
自分の家の畑で耕した食物と、魔の森でとれる食材やお肉に生かされている、平凡な家庭です。
家族4人で食べていくぐらいでしたら、魔の森での収穫物によっては多少贅沢も出来ますよ。
ですが、1人追加ならいざ知らず、6人です!
女性ならいざ知らず、大の男が6人!
毎日用意したご飯を、たらふく食べていきます。
しかも、この方たち、食材や食費など一切だしていません。
タダ飯ぐらいです。
ちなみに魔王のおじちゃんは律儀に毎回お土産を持ってきてくれます。
お酒とか、果物とか、お肉とか、お肉とか、お肉とか。
そういえば、最近おじちゃんの姿を見かけませんね・・・
忙しいのでしょうか。
おじちゃんがちゃんと魔王をしているのかと思うと、ちょっぴり可笑しいです。
と、おじちゃんのことはいいとして!!
王子様一行ですよ!
彼らのせいで、我が家の台所が火の車です!!
いい加減にしてください!
私はきっぱりと王子様に言い放ちました。
「・・・これまで我慢してきましたが、もう我慢の限界です!うちは食堂ではありませんし、タダ飯ぐらいに出すご飯はありません!」
腰に手をあて、鼻息荒く、そう宣言します。
王子様たちは、私をポカンとした顔で見ていました。
くっ・・・美形はどんな顔をしていてもカッコいいですね!
「タダ飯ぐらい・・・確かにそうですね・・・」
「おい、お前!王子に対してその態度はなんだ!無礼だぞ!」
王子様は納得して頷いているのに、ミカエルさんがプンスコ怒っています。
無礼も何も、真実なのですから。
もちろん貴方も含めた全員がタダ飯ぐらいですよ!
「よせ、ミカエル!メルさん、申し訳ありません。僕達は貴方に甘えていたようです」
「王子!」
「ミカエル、落ち着け」
「タダ飯ぐらい・・・痛い所をつかれましたね」
「たしかに、三食毎日、金も払わず食わせてもらってたもんな」
「タダ飯ぐらいと言われても仕方ない」
ミカエルさん以外は納得して下さったようです。
ミカエルさん、そんな態度ばかりとるなら、ご飯抜きにしますよ・・・?
「メルさん、ミカエルが失礼しました。ですが、スミマセン、今は持ち合わせがそんなになく・・・」
「ああいえ、金銭を求めているのではないんです。せめて食材を提供してもらえないかと思って・・・」
私たち家族+成人男性が6人もいるのです。
食べる量も半端ではないので、食材はどれだけあっても足りません。
「食材・・・ですか・・・?」
「王子になんてことを!!!!むぐぐ!!」
「ミカエル、黙ってろ」
「土地勘のない私たちが、こちらで食材捜しをするのは難しいですね・・・」
「どうせだったら、王都に来てもらって、欲しい食材を選んでもらえばいいんじゃないか?」
「そうしたら・・・僕たちも王都で美味しいご飯が食べられる・・・」
ラファエルさんがミカエルさんを抑え込んでいる間に、ウリエルさんが王都行きを提案してきました。
ガブリエルさんとアズラエルさんは、それはいい考えだ!とウリエルさんの意見に賛同しています。
え・・・ちょっと待って・・・
「ああ、それはいい考えですね!メルさん、どうでしょう。我々と一緒に王都までいらっしゃいませんか?」
「え、あの、私、生まれてこの方、旅をしたことがなくてですね、あの・・・」
「大丈夫です。僕がサポートしますし、金銭の心配もしなくていいですよ」
「えっ、えっ、ええっ・・・?」
と、突然王都に誘われましても・・・
こんな田舎な村から出たことのない私が・・・?
(魔王城へはパッと行って、パッと帰ってきたのでカウントに入れません)
よりによって、王子様一行と一緒に王都へ・・・?
いやいやいや、場違いですから!
「それに王都でしたら、珍しい食材もあるかと思います。なんせ、この国の貿易の中心地ですから」
珍しい食材・・・?
大抵の食材は魔の森で手に入るのですが、そんなことを言われたら、気になってきました。
王都か・・・
「宜しければ、王都で今流行っている甘味処にもご案内させて頂きます」
「行きます!」
王子様の言葉に・・・即答してしまいました・・・
ちょっと悔しい。
でもこの世界のお菓子が気になるのですー!
「メルが行くのなら、我も行くぞ!」
シエルが両手をあげて主張しています。
はいはい。
勿論、置いていったりなんてしませんよ。
「ふむ、王都か。王都行きは良い経験になるだろう、いってこい、メル」
「ママたちにお土産よろしくねー」
父と母も王都行きを歓迎してくれているようです。
こうして私の王都行きが決定しました。
初めての王都!!
緊張しますね!
いったいどんなところなのでしょう。
不安もありますが、わくわくの方が大きいかもしれません。
それにこれが初めての長期旅行になります。
なんといっても、王都まで三か月もかかるのですから。
急に決まった旅ですが、私は期待に胸躍らせます!
出発は2日後。
ドキドキです!
次回は、王都へ向かうメルちゃんたちのお話です。
更新まで、しばらくお待ち下さい。




