ウヰスキーの店
カウンターだけの小さな店内
灯りはバーにしては光が強く
御年70歳のマスターの
闊達さの現れだ
400本あるというウィスキー
店内は明らかに
客のためのものでは無かった
カウンターは勿論
店内棚が作れれば
当然の様にボトルが並ぶ
「儂は100歳まで店を続ける」
腰の曲がったマスターは
きっぱりと踏ん反り返って宣言した
気まぐれに来店した若者への
挑戦状かの様であった
それでも客が居なければ寂しかろう
物言わぬボトルに埋もれる様に
マスターは客を待っている
曰く”良い豆”のコーヒーの
爽やかな香ばしさを漂わせながら