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俺の幼馴染は甲子園を目指す  作者: かのさん
高校一年生編
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五月の蒼い風


「あたし、みんなの分のお弁当作りますよ? もともと、お父さんとあたしの分は毎朝作ってるし」

 法事のために家を空けるお袋に、みづほが言った。

「あら、そう……悪いわね。二日間だから、うちの男どもはパンでも買ってくれたらいいんだけど」

 冗談じゃない。パン2、3個くらいじゃ練習後には餓死しちまう。

「俺はともかく、千尋はパンじゃ腹がもたんだろ。ここはみづほちゃんのお言葉に甘えようや」

 俺の気持ちを代弁するように、親父が助け舟を出してくれる。


「念のため訊くけど、お父さんもちーちゃんも好き嫌いとか、食べられないものはないわね?」

「……! おじちゃんの分も作ってくれるのかい? もちろんだよ、何でも美味しくいただくよっ!」

 親父は大喜びでガッツポーズをしている。わが親ながら、分かりやすい。


「あらあら、うちのまで? みづほちゃんには手間かけさせるわね、ごめんね」

「なーに言ってんの。あたしはお母さんの娘よ?」

「みづほちゃん……」

「お母さん……」

 ひしっと抱き合うふたり。

 お袋とみづほの過剰なスキンシップは、秋山と遠野、それぞれの家庭に足りない成分を補い合っているような気もする。

 男所帯のお袋は、娘を持った気分を。

 みづほは、もうけして逢うことのできない、亡き母のぬくもりを。


 自転車でみづほとふたり、高校へ向かう。五月の朝の風が、気持ちいい。

「みづほ、毎日弁当作ってたんだ」

「そうよ? だから早朝ランニングやめたんじゃない」

 そうだったのか。高校に入って早朝ランニングを止めたのは、代わりに自転車通学で10㎞走るせいだと思っていた。

 俺自身は起床時間が30分遅くなったので、少し楽になったんだが。

「じゃあ、みづほは起きる時間は変わんないの?」

「中学の時より30分早くなった」

 じゃあ、午前5時、てとこか。


 考えてみれば、みづほの家は父親とふたり暮らし。

 父親が仕事で忙しいとなれば、家事のほとんどはみづほが行うことになる。

「みづほはさ、洗濯も掃除もやってんの?」

「そうよ。もちろん毎日はできないけど」

 そうなのか……午後8時まで野球の練習をして、夕食は我が家で食べてるけど、それから家事をして朝は5時起き……

「お前勉強する暇あんの?」

「A組の課題って、キビシイのよー。やるしかないんだけどね」

 自宅でのみづほは、右手でボールを握りながら勉強してるのを思い出した。いつでもボールの同じとこで捕球してすぐに投げられるよう、右手にボールを馴染ませているんだ。

 右利きだが、右手はボールを持っているので左で字を書けるようになっている。


「ちーちゃん。練習終わったら付き合ってくんない? スーパーで少し買い出ししたいの」

「おう」

 野球に家事に勉強に。みづほって、思ったより大変な生活してんだな。

 明日は早めに行って、みづほの手伝いをしよう。そう思った。


 練習後、日はとうに暮れている。帰り道に寄ったスーパーでのみづほは、心なしか弾けていた。

「ねねっ、ちーちゃん。何食べたい? 何でも作ってあげる」

「んーっと、カレーライス」

「……お弁当箱に入るものにしてね」




 明朝、俺も気合い入れて5時過ぎには起きた。

 料理はからっきしな俺だが、何かみづほの役に立つことはできるだろう……そう思い、5時半前に遠野家のインターホンを押す。

「……はい」

 少し時間を置いて、みづほの声がした。

「俺、千尋。何か手伝おうと思って」

 しばらく沈黙が続く。ひょっとして、迷惑だったか?

 サプライズ的な意味で黙っていたことを後悔しかける。

「……ん。分かった。ちょっと待ってて」

 ああ、よかった。


 鍵の開く音がして扉が開く。

「おはよ、ちーちゃん……」

「おはようみづ……うわっ、ごめん!」

 玄関に立っていたみづほは、バスタオル一枚の恰好だった。

「いいよ、あがって」

 みづほは恥ずかしそうな表情のまま、かるく微笑んで手招きした。少なからず動揺したまま、みづほの後をついていく。


「お弁当の仕込みは終わって、あとは盛りつけるだけなの。朝ごはんの支度も9割方済んだし……今、シャワー浴びて、洗濯ものをお風呂場に干してたとこだったの」

 ああ、それでこんな恰好で……

 それにしても目の毒すぎる。みづほの体のラインは、バスタオルの上からでもはっきり分かる。裾からすっと伸びた脚は、太腿の付け根近くまで露わになってて……みづほは気付いてないかもしれないが、歩くたびにお尻がチラッ、チラッと顔を覗かせているんだ。

「そうねえ……お弁当の盛りつけは、あたしやりたいから、ちーちゃんは洗濯もの干すの手伝ってくれる?」

 俺たちはそのまま、風呂場に直行した。


 みづほん家の風呂場はガキの時以来で、リフォームされて見違えるように綺麗になっていた。

 風呂場の乾燥機能を使って洗濯ものを干しているらしい。脱衣所に置いてあった籠に、洗濯したての衣類が入っていた。

「乾燥機つけたばっかでお風呂場まだ濡れてるから、ちーちゃんは入って来なくていいよ。洗濯もの伸ばして、手渡してくれる? あたしが干すから」

 若干恥ずかしそうな素振りはあるが、いつものみづほらしいキビキビした動作だった。


 それにしても……みづほのパンツをピッと広げるのは、かなり勇気がいる。しかもなぜか、かなりの枚数。

 自分が変態になったような気分だ。

「洗濯もの、あたしのばっかりでしょ?お父さん気を使ってるのか、Yシャツもネクタイもクリーニングに出しちゃうから……アイロンくらい、かけてあげるのに」

 いちばん刺激的だったのが、野球の時に穿くアンダーサポーターだった。

 股のとこにわずかに布地があるくらいで、尻の部分はほとんど紐だ。

 あいつ、スライディングパンツの下は、こんなの穿いてんのか……


 野球の練習着や父娘の私服なども、ピッと伸ばしてみづほに渡す。清潔で、どことなく甘い匂いが、そこかしこに漂う。

 みづほはそれを乾燥室と化した風呂場に、次々と干していく。俺はといえば、すっかり目の遣り場に困っていた。

 俺は洗濯籠を片手に、屈んでいる体勢。

 風呂場には、みづほの後ろ姿。

 洗濯ものを干そうと、干し場に向かって無防備に背伸びをしている。


 その……みづほが背伸びするたびに、見えるんだ。

 体に巻いたバスタオルが上にずれて、下から見上げるようなアングルで、裸の尻が。

 それはガキの頃、一緒に風呂に入った記憶とはまるで違う、艶めかしさと瑞々しさを放っていた。


 ……何かもう、いろいろな意味で爆発寸前だった。


「うん、おかげで早く終わった。ちーちゃん、ありがと」

 ひと仕事終えた安心感からか、すっかり無邪気な表情で微笑むみづほ。

 こいつ、自分がどんだけトンデモない恰好してるのか、自覚があるのだろうか?

「ちーちゃん、顔また真っ赤。知恵熱……なわけないよね」

 胸の谷間を見せながら近づいてくる……お願いだ、これ以上は勘弁してくれ。


 対外的にはみづほは、天然なところはあるが、どちらかと言うとお固い印象の女の子。

 俺と一緒の時だけ、どーしてこうなんだ。

 俺を男として見ててくれてるのか、甚だ不安に感じる時がある。


 廊下をぺたぺたと歩いて居間に移動中。

「うちは洗濯ものはベランダに干すけどなあ」

「それはお母さんが家に居るからでしょ。あたしん家は朝出ると夜まで誰も居ないもん。それに、あたしの下着がほとんどだから、外に干しにくいし。野球する時にブラもパンツも替えるから、自然と多くなるの」

 ああ、だからあんなに下着が多かったんだ。


「野球でアンサポに穿き替えて、お風呂で替えて。今朝は洗濯するから全部脱いで……あっ!」

 と言ったところで、突然みづほが固まった。

「……あたし……まだパンツ穿いてないじゃん……」

 ようやく、自分がどんな恰好でいるのか思い出したようだ。


 みづほがバスタオルの上から、胸と下腹部をバッと両腕で押さえた。

 恥ずかしいのだろう、小刻みに震えながら顔を真っ赤にして、上目遣いに俺の眼を覗いてくる。

「……見た……?」

 ――はっきり言おう。今さら何言ってんだ、こいつは。

「ううん、ううん、全然」

 俺はブンブンと何度も頚を横に振った。


 えー。後編に続きます(^-^;

 認定試験はその後です。

 ふたりがイチャイチャ(?w)するのをも少しご覧ください。

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